精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:64

ADHD患者の不安症やうつ病の併発、その影響はどの程度か

 注意欠如多動症(ADHD)患者では精神医学的疾患の併発が多く、診断に難渋したり、治療のアウトカムおよびコストに影響を及ぼしたりする可能性がある。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのJeff Schein氏らは、同国におけるADHDおよび不安症やうつ病を併発した患者の治療パターンとコストを調査した。その結果、不安症やうつ病を併発したADHD患者では、これらの併存疾患がない患者と比較し、治療変更が行われる可能性が有意に高く、治療変更の追加によるコスト増加が発生することが明らかとなった。Advances in Therapy誌オンライン版2023年3月13日号の報告。

ブレクスピプラゾールの治療継続に影響を及ぼす8つの因子

 治療中止に関連する未知の因子の特定は、自然言語処理(NLP)のテクノロジーを用いて精神科電子カルテのテキスト情報を分析および整理することにより可能であると考えられる。千葉大学の伊豫 雅臣氏らは、NLPのテクノロジーを用いたMENTATによるデータベースを使用し、ブレクスピプラゾールの治療継続率および治療中断に影響を及ぼす因子の評価を試みた。その結果、ブレクスピプラゾールの治療中止と関連する可能性のある、8つの潜在的な新たな因子が特定された。著者らは、今後の統合失調症患者に対する治療戦略や治療継続率の改善につながるとまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2023年3月27日号の報告。

日本人救急医における不眠症・睡眠薬使用リスク

 救急医は、不眠症の有病率や睡眠薬の使用頻度が高いといわれている。救急医の睡眠薬使用に関するこれまで研究では、回答率の低さから、現状を十分に把握できていなかった。国際医療福祉大学の千葉 拓世氏らは、若手日本人救急医を対象に、不眠症の有病率および睡眠薬使用状況を調査し、不眠症や睡眠薬使用に関連する因子の評価を試みた。その結果、日本における若手救急医は慢性不眠症の有病率および睡眠薬の使用率が高く、慢性不眠症には長時間労働やストレスが、睡眠薬の使用には性別、婚姻状況、ストレスが関連していることが報告された。The Western Journal of Emergency Medicine誌2023年2月20日号の報告。

妊娠中期のケトン体濃度が高いと産後うつリスクが高い

 妊娠中期の血清ケトン体濃度が、産後うつリスクの予測マーカーとなり得る可能性が報告された。北海道大学大学院医学院産婦人科の馬詰武氏、能代究氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に2月2日掲載された。  国内の妊産婦の死亡原因のトップは自殺であり、その原因の一つとして、産後うつの影響が少なくないと考えられている。うつ病を含む精神・神経疾患のリスク因子として栄養状態が挙げられ、脂質をエネルギー源として利用する際に産生されるケトン体が中枢神経系に有益である可能性が、基礎研究から示されている。また、妊娠中には悪阻(つわり)の影響で低血糖傾向になりやすいが、ケトン体の一種である3-ヒドロキシ酪酸が低血糖に伴う神経細胞のアポトーシスを抑制するという報告がある。さらに、3-ヒドロキシ酪酸はアルツハイマー病やパーキンソン病の進行を抑制する可能性が報告されているほか、てんかんの治療法としては古くからケトン産生食(糖質制限食)による食事療法が行われている。

統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着~メタ解析

 睡眠障害と認知機能障害は、統合失調症でみられる持続的な症状である。これまでのエビデンスにより、統合失調症患者は健康対照者と比較し、睡眠依存性の記憶の定着が損なわれている可能性が示唆されている。トルコ・Dokuz Eylul UniversityのCemal Demirlek氏らは、統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、健康成人においては睡眠が記憶の定着を改善するが、統合失調症患者では睡眠依存性の記憶の定着が不足していた。Schizophrenia Research誌2023年4月号の報告。

日本の父親・母親の産後うつ病リスクは?

 産後うつ病は、親に悪影響を及ぼすだけでなく、子供の認知機能、社会感情、行動発達などの障害につながる可能性がある。長崎大学の山川 裕子氏らは、出産後1年間の母親および父親の産後うつ病に関連する因子を調査した。その結果、父親と母親の双方にとって、ストレス対処スキルが産後1年間の産後うつ病に影響を及ぼす重要な因子であることが確認された。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年3月13日号の報告。

CGRPモノクローナル抗体に反応しやすい日本人片頭痛患者の特徴

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRPmAb)は、頭痛障害が従来の予防的治療オプションに奏効しない片頭痛患者にとって有用な薬剤であると考えられる。しかし、日本国内におけるCGRPmAbの使用実績は2年と短く、治療反応が得られやすい患者とそうでない患者を治療前に判別することは困難である。慶應義塾大学の井原 慶子氏らは、CGRPmAbに奏効した日本人片頭痛患者の臨床的特徴を明らかにするため、リアルワールドデータに基づいた検討を行った。その結果、年齢が高く、過去の予防薬治療失敗の合計回数が少なく、免疫リウマチ性疾患の病歴のない片頭痛患者は、CGRPmAbに対する良好な治療反応が期待できることが示唆された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月9日号の報告。

夢で記憶が定着、レム睡眠とノンレム睡眠はどちらが重要?

 脳は睡眠中に記憶の整理などを行っていることが、近年明らかになっている。また、睡眠中には起床時の記憶が夢に登場することがあるため、夢が記憶の定着に関連しているのではないかといわれている。そこで、米国・ファーマン大学のLauren Hudachek氏らは、学習課題に関連する夢と睡眠後の記憶との関連について、システマティックレビューおよび16試験のメタ解析を実施し、夢と記憶の間には関連があることが明らかになった。また、記憶はレム睡眠よりもノンレム睡眠との関連が大きいことも示唆された。Sleep誌オンライン版2023年4月14日号の報告。

SNSの使い過ぎが摂食障害のリスクを高める可能性

 TikTok、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディア(SNS)に投稿されている若年女性の画像は、洗練された完璧なボディーであることが多い。若い女性が、それらの非現実的とも言える画像にオンラインで絶え間なく接することが、摂食障害のリスクを高めている可能性のあることが分かった。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のAlexandra Dane氏とKomal Bhatia氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS Global Public Health」に3月22日掲載された。  摂食障害は、時に命に関わることもある精神疾患の一つ。体重増加に対する強い恐怖、極度の食事制限あるいは過食、食事と嘔吐を繰り返す、食欲不振といった症状や行為が生じる。

女性の認知症、出産回数・初産年齢との関連は弱い

 出産回数の多さや初産の年齢の高さが女性の認知症リスクと関連しているとされ、妊娠に伴う生理学的な変化への曝露と説明されてきた。しかし、社会経済学的およびライフスタイルの要因が関連しているとも考えられ、男性でも同様のパターンがみられる可能性がある。デンマーク・Statens Serum InstitutのSaima Basit氏らは、女性の出産回数の多さや初産の年齢の高さと認知症リスクとの関連性について、男女両方に当てはまるかを検討した。その結果、子供の数や親になる年齢と認知症リスクとの関連性が男女間で同様であることから、社会経済学的およびライフスタイルの要因が認知症リスクと関連している可能性が示唆された。BMC Neurology誌2023年3月1日号の報告。