精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:93

頻繁な入浴で長期的な抑うつリスク低減

 湯に浸かる入浴(浴槽入浴)の頻度と長期的な抑うつ発症との関連を調査した6年にわたるコホート研究の結果、冬に浴槽入浴を頻繁に行う高齢者では新たな抑うつの発症が有意に少ないことを、東京都市大学の早坂 信哉氏らの研究グループが明らかにした。日本温泉気候物理医学会雑誌2023年オンライン版7月24日号掲載の報告。  これまでの研究において、頻繁な浴槽入浴が高い自己評価と関連していることや、介護保険が必要になる可能性が低いことなどが報告されているが、生活習慣としての浴槽入浴が健康にどのような影響を及ぼすかについてはまだ十分に解明されていない。

スマホによる介入、不健康な飲酒を抑制/BMJ

 不健康なアルコール使用を自己申告した大学生において、アルコール使用に対する介入としてスマートフォンのアプリケーションへのアクセスを提供することは、12ヵ月の追跡期間を通して平均飲酒量の抑制に有効であることが、スイス・ローザンヌ大学のNicolas Bertholet氏らが実施した無作為化比較試験の結果で示された。若年成人、とくに学生において、不健康なアルコール使用は発病や死亡の主な原因となっている。不健康なアルコール使用者に対する早期の公衆衛生的アプローチとして、世界保健機関(WHO)はスクリーニングと短期的介入を推奨しているが、スマートフォンによる介入の有効性については明らかではなかった。BMJ誌2023年8月16日号掲載の報告。

治療前の統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率

 メタボリックシンドローム(MetS)は、性別により臨床パターンの異なるさまざまな病理学的状態を伴う臨床症候群である。統合失調症患者では、MetS有病率が有意に高いことが知られている。中国・Wuhan Mental Health CenterのKuan Zeng氏らは、初回治療および未治療の統合失調症患者におけるMetS有病率とそれに関連する要因、重症度に影響を及ぼす要因についての性差を調査した。その結果、統合失調症患者のMetS有病率とその要因には、男女間で違いが認められた。女性のほうがMetS有病率は高く、影響を及ぼす要因もより広範であることを報告した。Annals of General Psychiatry誌2023年6月28日号の報告。

アルツハイマー病治療薬レカネマブ、厚労省専門部会が薬事承認を了承/エーザイ・バイオジェン

 2023年8月21日、lecanemab(一般名:レカネマブ、商品名:レケンビ点滴静注200mg/同500mg、以下「レカネマブ」)は、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において製造販売承認が了承された。今回の了承に際して、エーザイとBiogen(米国)は共同ステートメントを発表し、「厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、レカネマブの早期アルツハイマー病治療薬としての製造販売承認が了承されたことは、わが国のアルツハイマー病治療における大きな前進であると受け止めている」とした。

日本人の双極性障害および統合失調症に関連するミトコンドリアの遺伝的変異

 双極性障害や統合失調症は、複雑な精神疾患であり、環境的要因と遺伝的要因(母性遺伝を含む)の両方が影響している可能性がある。これまで、いくつかの研究において、ミトコンドリア染色体の遺伝子変異と双極性障害および統合失調症との関連が調査されているが、研究結果は同一ではなく、参加者は欧州の患者に限定されていた。岐阜大学のRyobu Tachi氏らは、日本人集団におけるミトコンドリア染色体のゲノムワイドな遺伝的変異と双極性障害、統合失調症、精神疾患との関連を調査した。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年7月21日号の報告。

若者のうつ病・不安症、未治療での1年後の回復率~メタ解析

 抑うつ症状や不安症状を有する若者に対し、特別なメンタルヘルス介入を行わなかった場合の1年後の回復率は、どの程度か。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のAnna Roach氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、これを明らかにしようと試みた。その結果、不安や抑うつ症状を有する若者の約54%は、特別なメンタルヘルス介入を行わなくても回復することが示唆された。BMJ Open誌2023年7月21日号の報告。  1980年~2022年8月に公表された論文をMEDLINE、Embase、PsycINFO、Web of Science、Global Healthよりシステマティックに検索した。特別な介入を行わなかった10~24歳の若者を対象に、ベースラインおよびフォローアップ1年後の抑うつ症状および不安症状を評価した査読済みの英語論文を対象とした。3人のレビュアーにより関連データを抽出した。メタ解析を実施し、1年後の回復率を算出した。エビデンスの質は、Newcastle-Ottawa Scaleを用いて評価した。

統合失調症に対する長時間作用型注射剤抗精神病薬の実際の有効性

 フランス・エクス=マルセイユ大学のLaurent Boyer氏らは、統合失調症に対する長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の実臨床における有効性を評価するため、ミラーイメージ研究を実施した。その結果、LAI抗精神病薬は、経口抗精神病薬よりも投与頻度が少ないため、コンプライアンス向上や再発リスク軽減が期待できるため、コンプライアンス不良患者では女性や35歳以上の患者であってもLAI抗精神病薬治療が推奨されることを報告した。また、アリピプラゾールLAIは、コンプライアンス良好患者にとって有用な薬剤である可能性があり、さらなる調査が求められるとしている。Molecular Psychiatry誌オンライン版2023年7月21日号の報告。

アルツハイマー病のリスク因子

 アルツハイマー病は最も一般的な認知症であるが、その原因はいまだ不明である。その理由として、多因子疾患であるアルツハイマー病に関する研究が十分に行われていない可能性が挙げられる。オーストラリア・シドニー大学のMichael Allwright氏らは、UK Biobankのデータセットを用いて、アルツハイマー病に関連する既知のリスク因子をランク付けし、新たな変数を模索するため本研究を実施した。その結果、アルツハイマー病の最も重大なリスク因子は、APOE4対立遺伝子の保有であることが再確認された。APOE4キャリアにおける新たなリスク因子として肝疾患が抽出された一方で、「不眠/不眠症」は、APOE4のステータスとは無関係にアルツハイマー病の予防効果が確認された。著者らは、肝疾患を含む併存疾患の将来的な治療により、アルツハイマー病のリスクが同時に低下する可能性があるとしている。Aging Brain誌2023年6月17日号の報告。

医療者のメンタルヘルス、1日20分の在宅運動で改善

 COVID-19のパンデミック中、医療従事者のメンタルヘルスは著しく低下したことが報告されている。医療従事者を対象に、アプリを使った在宅運動プログラムの介入を行い、メンタルヘルスが改善するかどうかを見た試験の結果が、JAMA Psychiatry誌オンライン版2023年8月9日号に掲載された。  ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のVincent Gosselin Boucher氏らの研究チームは2022年4月6日~7月4日に同エリアの医療機関において参加者を募集した。参加者は指定のアプリを使い、自重インターバルトレーニング、ヨガ、バー運動など、在宅で行う20分/日、週4回の運動を、12週間継続するように求められた。運動に対するアドヒアランスはアプリ利用時間から測定した。

うつ病に対する運動療法が有効な日本人の性格特性

 産業医科大学の池ノ内 篤子氏らは、健康な日本人労働者における抑うつ症状や社会適応への性格特性の影響、運動療法前後の抑うつ症状や社会適応の変化、うつ病予防を目的とした運動療法の完遂率に対する介入前の性格特性の影響を調査した。その結果、抑うつ症状と社会適応は、運動療法前後の性格特性や同療法の完遂率と関連していることが明らかとなった。また、男性において運動療法前の誠実性は、運動療法の完遂率の高さを予測する因子であることが報告された。Frontiers in Psychology誌2023年6月21日号の報告。