精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:92

lecanemabが早期アルツハイマー病の症状悪化を抑制、今年度中の申請目指す/エーザイ・バイオジェン

 エーザイ株式会社とバイオジェン・インクは2022年9月18日付けのプレスリリースで、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabについて、脳内アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度AD(これらを総称して早期ADと定義)を対象とした第III相Clarity AD試験において、主要評価項目ならびにすべての重要な副次評価項目を統計学的に高度に有意な結果をもって達成したと発表した。  Clarity AD試験は、早期AD患者1,795例を対象とした、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化グローバル臨床第III相検証試験。被験者は、lecanemab10mg/kg bi-weekly投与群またはプラセボ投与群に1:1で割り付けられた。ベースライン時における被験者特性は両群で類似しており、バランスがとれていた。被験者登録基準においては、幅広い合併症あるいは併用治療(高血圧症、糖尿病、心臓病、肥満、腎臓病、抗凝固薬併用など)を許容している。試験実施地域は日本、米国、欧州、中国。

慢性期統合失調症患者に対する音楽療法の有効性および睡眠障害の予測因子

 統合失調症患者に睡眠障害がみられることは少なくない。このような場合、非侵襲的介入である音楽療法が有益である可能性がある。台湾・Fooyin UniversityのMei-Jou Lu氏らは、統合失調症患者の睡眠障害に対する音楽療法の有効性を調査した。その結果、統合失調症患者の睡眠障害に対する音楽療法のメリットが実証された。Archives of Psychiatric Nursing誌2022年10月号の報告。  慢性期病棟で睡眠障害を伴う統合失調症患者を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。対象者は、標準療法のみを行う対照群と、標準療法に加えて4週間の就寝前音楽療法を行う介入群に割り付けられた。睡眠障害の重症度を測定するため、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いた。両群間のベースライン時と4週間後のPSQIスコアの変化を分析するため、一般化推定方程式を用いた。介入群における治療効果の予測因子の特定も試みた。

男女別、心血管イベントのリスク因子は/Lancet

 脂質マーカーとうつ病は、女性より男性で心血管リスクとの関連が強く、食事は男性よりも女性で心血管リスクとの関連が強いことが、カナダ・マックマスター大学のMarjan Walli-Attaei氏らによる大規模前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiological:PURE研究」の解析の結果、示された。ただし、他のリスク因子と心血管リスクとの関連は女性と男性で類似していたことから、著者は、「男性と女性で同様の心血管疾患予防戦略をとることが重要である」とまとめている。Lancet誌2022年9月10日号掲載の報告。

認知症リスク低下に寄与する1日当たりの歩数

 認知症予防ガイドラインでは身体活動を推奨しているが、認知症の発症と歩数やその強度との関連は明らかになっていない。南デンマーク大学のBorja Del Pozo Cruz氏らは、英国成人を対象に毎日の歩数やその強度とすべての原因による認知症発症との関連を調査した。その結果、歩数が多いほどすべての原因による認知症発症リスクが低く、1日当たり1万歩を少し下回る程度の歩数が、最も効果的であることが示唆された。JAMA Neurology誌オンライン版2022年9月6日号の報告。  UK Biobankの集団ベース・プロスペクティブコホート研究(2013年2月~2015年12月)を実施し、フォローアップ期間は6.9年、データ分析は2022年5月に行った。10万3,684人中、有効な歩数データを有する40~79歳の成人7万8,430人を分析対象に含め、認知症発症はレジストリベースで2021年10月までに確認した。歩数計から得られた1日の歩数、1分当たり40歩未満の偶発的な歩数、1分当たり40歩以上の意図的な歩数、1日の最も歩数の多い30分間(ピーク30分間)における1分当たりの歩数(必ずしも連続とは限らない)を分析した。主要アウトカムは、致死的および非致死的な認知症の発症とし、入院記録またはプライマリケア記録と関連付けて収集するか、死亡記録の死因を参照した。歩数との用量反応関連を評価するため、Spline Cox回帰を用いた。

第2世代抗精神病薬のLAIによる日本人統合失調症入院患者の身体拘束リスクへの影響

 第2世代抗精神病薬(SGA)の長時間作用型注射剤(LAI)が、経口抗精神病薬と比較し、再発時の精神症状の軽減に有用であるかは、よくわかっていない。福島県立医科大学の堀越 翔氏らは、日本の単一医療施設における4年間のレトロスペクティブミラーイメージ観察研究を実施し、統合失調症入院患者への隔離・身体拘束といった制限的介入の頻度(時間)に対するSGA-LAIの有用性を検討した。その結果、SGA-LAI使用により制限的介入の頻度および措置入院回数の減少が認められ、著者らは、SGA-LAIは再発時の精神症状の軽減につながる可能性があることを報告した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年9月5日号の報告。

夜間ブルーライトカット眼鏡による片頭痛予防効果

 片頭痛は有病率の高い一次性頭痛であり、現役世代で発症しやすいことから、生産性の低下による社会的損失につながることが問題視されている。国際頭痛分類第3版(ICHD-3、ベータ版)の診断基準では、片頭痛の発作時には過敏、とくに光過敏が認められ、光が頭痛の誘発因子であることが示唆されている。獨協医科大学の辰元 宗人氏らは、片頭痛発作の悪化につながる内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)への光刺激を減少させる夜間のブルーライトカット(Blue Cut for Night:BCN)眼鏡を開発し、その効果を検証した。その結果、ipRGCへの光刺激を減少するBCN眼鏡の使用は、片頭痛発作の軽減に有用である可能性が示唆された。Internal Medicine誌オンライン版2022年8月20日号の報告。

SSRIによる消化器系副作用リスク~ネットワークメタ解析

 うつ病治療では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が広く用いられている。SSRIの最も一般的な副作用は、消化器系に関連する症状であり、うつ病患者のコンプライアンス低下につながる。そのため、消化器系に対するSSRIの安全性を評価することは重要である。これまで、SSRIと他の抗うつ薬における消化器系副作用リスクを比較したいくつかのメタ解析が報告されているが、中国・Inner Mongolia Medical UniversityのZhuoyue Wang氏らは、各SSRIの消化器系副作用リスクを比較するためネットワークメタ解析を実施した。その結果、消化器系副作用リスクについては、fluoxetineが最も明確な利点を示し、セルトラリンは消化器系副作用リスクが最も高い可能性があることを報告した。Therapeutics and Clinical Risk Management誌2022年8月13日号の報告。

伝統的な子供向けゲームがインターネット依存や社交性スキルに及ぼす影響

 伝統的な子供向けゲームは、小児の身体的、感情的、精神的な健康状態を保護する可能性がある。トルコ・Civril Sehit Hilmi Oz State HospitalのDilek Kacar氏らは、伝統的な子供向けゲームがインターネット依存、社交性スキル、ストレスレベルに及ぼす影響を評価するため、検討を行った。その結果、伝統的な子供向けゲームは、インターネットの使用を減少させ、社交性スキルの向上に寄与する可能性が示唆された。著者らは、小児期は身体的、認知的、心理社会学的な発達にとって重要な時期であり、子供たちの健康状態を保護し促進するため、学校での伝統的な子供向けゲームの実施は利用可能な介入であることを報告した。Archives of Psychiatric Nursing誌2022年10月号の報告。

認知症の急性興奮症状を軽減する感覚に基づく介入

 認知症患者の興奮症状の発生を長期間にわたり軽減するための介入として、感覚に基づく介入(Sensory-based Intervention)が一般的に行われている。しかし、この介入の即効性に関するエビデンスは十分ではない。香港理工大学のDaphne Sze Ki Cheung氏らは、認知症患者の興奮症状軽減に対して使用されている感覚に基づく介入を特定し、これら介入の即時効果を調査した。その結果、認知症患者において興奮症状軽減に対する感覚に基づく介入の即時効果を検討した研究はかなり不足しているものの、音楽関連の介入における限られたエビデンスは有望である可能性が示唆された。Aging & Mental Health誌オンライン版2022年9月8日号の報告。

双極性障害患者の精神症状有病率~メタ解析

 幻覚や妄想は、双極性障害(BD)で一般的に認められる精神症状である。ノルウェー・オスロ大学のS. R. Aminoff氏らは、双極I型障害(BDI)および双極II型障害(BDII)における、精神症状の生涯および点有病率を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、BDIにおける精神症状のプールされた有病率は、これまで報告されていた値よりも高い可能性が示唆された。Psychological Medicine誌オンライン版2022年8月26日号の報告。  Medline、PsycINFO、Embase、Cochrane Libraryより、2021年8月5日までに公表された研究をシステマティックに検索した。成人BD患者における精神症状の生涯有病率を評価した研究54件(2万3,461例)および点有病率を評価した研究24件(6,480例)が選択基準を満たした。質および出版バイアスの評価を行い、有病率(95%信頼区間[CI])をランダム効果メタ解析で算出した。