呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:146

重症COVID-19入院患者への新たな治療薬検証する臨床試験開始へ/WHO

 WHOは、8月11日付で発表したプレスリリースにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した重症患者に対し、マラリアやがん治療などに使われている既存薬3種の治療効果を検証する臨床試験(Solidarity PLUS trial)を開始することを明らかにした。臨床試験は52ヵ国600超の病院から数千人規模の入院患者を登録し、実施される見通し。  WHOは、既存候補薬のCOVID-19入院患者への有効性を検証するため、オープンラベルのランダム化比較試験(Solidarity trial)を2020年3月から実施。単一のプロトコルを使用して同時に複数の治療法を評価するもので、試験の過程を通じて効果のない薬剤については評価を打ち切る一方、新たな候補薬を逐次追加できるデザインだ。これまでに、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル、インターフェロンβ-1aの4剤について評価が行われ、いずれも有効性が確認されず、すでに試験が打ち切られている。

家庭内濃厚接触者への抗体カクテル療法、予防効果は?/NEJM

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)感染が確認された家族と接触した感染歴のない家族に対して、カシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル「REGEN-COV」皮下投与は、症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)および無症候性のSARS-CoV-2感染を予防することが示された。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、接触4日以内の家庭内濃厚接触者第III相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を発表した。感染が認められた被験者家族における、症状解消までの期間および高ウイルス量期間を短縮したことも認められたという。REGEN-COVは、高リスクCOVID-19患者の入院または死亡のリスクを著しく低下することが示されていたが、家庭内濃厚接触者に対するSARS-CoV-2感染および感染後のCOVID-19発症を予防するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2021年8月4日号掲載の報告。

ワクチン突破新規感染(Breakthrough infection)の原因ウイルスは病原性の高い変異ウイルスが中心?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

新型コロナ感染症に対する主たるワクチン(Pfizer社のBNT162b2、Moderna社のmRNA-1273、AstraZeneca社のChAdOx1、Johnson & Johnson/Janssen社のAd26.COV2.S、Novavax社のNVX-CoV2373)の予防効果は、播種する主たるウイルスが野生株(武漢原株とそれから派生したウイルスの機能に影響を与えない株を含む:第1世代)からD614G変異株(従来株:第2世代)に置換されつつあった2020年の夏から秋にかけて施行された第III相試験の結果を基に報告された(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615.; Baden LR, et al. N Engl J Med. 2021;384:403-416.; Voysey M, et al. Lancet. 2021;397:99-111.; Sadoff J, et al. N Engl J Med. 2021;384:2187-2201.; Heath PT, et al. N Engl J Med. 2021 Jun 30. [Epub ahead of print] PMID:)。

がん悪液質は非小細胞肺がんIO-Chemo治療の予後不良因子か

 がん悪液質は免疫チェックポイント阻害薬の単剤療法の予後不良因子であることが示されているが、化学免疫療法に関する、その関係の検討は少ない。京都府立医科大学の森本健司氏らは後ろ向き解析により、非小細胞肺がん(NSCLC)において、がん悪液質が化学免疫療法予後の不良因子である可能性を明らかにした。  わが国の12施設で化学免疫療法を受けたNSCLC患者を対象に医療記録を後ろ向きに解析した。がん悪液質の定義は、化学免疫療法開始前6ヵ月以内の、5%以上の全体重減少、BMI20 kg/m2の対象者では2%を超える全体重減少とした。

COVID-19に対する薬物治療の考え方 第8版、中和抗体薬を追加/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田一博氏[東邦大学医学部教授])は、8月6日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第8版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、前回7版からの知見の追加のほか、先日承認された中和抗体薬の項目が追加された。また、デルタ株の猛威に対し「一般市民の皆様へ ~かからないために、かかった時のために~」を日本環境感染学会と連名で公開した。

無症状濃厚接触者へのコロナ抗原検査、検出感度は60%超/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染が確定した患者と濃厚接触した無症状および症状発現前の集団では、接触から5日後の迅速抗原検査によるSARS-CoV-2検出の感度は60%以上であり、ウイルス量のカットオフ値を感染力の代替指標とした場合の感度は85%以上に達することが、オランダ・ユトレヒト大学のEwoud Schuit氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年7月27日号で報告された。  研究グループは、SARS-CoV-2感染者と濃厚接触し、無症状および症状発現前の集団を対象に、接触から5日後における2種類の迅速抗原検査の診断精度を評価する目的で、前向き横断研究を行った(オランダ保健・福祉・スポーツ省の助成による)。

ブレークスルー感染も、ワクチンが変異株の重症化を抑制か/CDC

 新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株は感染性が高く、このほど米国でワクチン接種完了者によるブレークスルー感染が報告された。しかし、この報告からワクチンの効果がないと言えるのだろうかー。  CDC COVID-19 Response TeamのCatherine M. Brown氏らによると、マサチューセッツ州バーンスタブル群で発生した大規模クラスターの74%はファイザー製ワクチン接種完了者であったことが明らかになった。ただし、入院患者の割合は1.2%と、ワクチンが普及する前の既存株による重症化率と比較すると少ない傾向であることも示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)8月6日号での報告。

地域によっては宿泊療養強化が効率的、中等症も医師判断で入院を/日医

 8月2日、政府から感染急増地域における入院の対象を重症者や重症化リスクの高い者に重点化し、それ以外は自宅療養を基本とする方針が示されたことについて、日本医師会の中川 俊男会長は8月4日の定例会見で、入院の判断は医師によって適切に行われるべきであり、宿泊療養を強化するほうが効率的な地域もあるとの見解を示した。  中等症II(呼吸不全あり:SpO2≦93%)はもちろん、中等症I(呼吸不全なし:93%<SpO2<96%)についても、現場の医師が重症化リスクが高いと判断した場合は、入院の対象とすべきとの考えを強調。8月3日に行われた政府との意見交換会においてこの見解を伝え、菅首相および田村厚生労働大臣からは、「重症化する患者さんに必要な医療が提供できることが大変重要であり、医師の判断の元に対応いただきたい」との明確な回答を得ているとした。

ファイザー製とシノバック製ワクチン、中和抗体価に差はあるのか

 中国・シノバック製の新型コロナワクチンの有効性について、ファイザー製やモデルナ製のmRNAワクチンより低いとする報告が多いが、免疫原性に違いはあるのか。今回、香港の医療従事者を対象に、ファイザー製のBNT162b2ワクチンまたはシノバック製の不活化ウイルス(vero細胞)ワクチンを2回接種し中和抗体価を測定したところ、ファイザー製ワクチンのほうが大幅に上昇していた。WHO協力センターである中国・香港大学のWey Wen Lim氏らが、Lancet Microbe誌オンライン版2021年7月16日号で報告した。

コロナのブレークスルー感染、感染前の中和抗体価と関連か/NEJM

 BNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech製)を完全接種した健康な医療従事者1,497例のうち、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)へのブレークスルー感染が認められたのは39例で、いずれの感染者も非感染者に比べて、感染前(SARS-CoV-2検出前1週間以内)の中和抗体価が低いことが、イスラエル・Sheba Medical Center Tel HashomerのMoriah Bergwerk氏らによる検討で示された。また、ブレークスルー感染者のほとんどが軽症か無症状だったが、持続的な症状を呈するという。BNT162b2 mRNAワクチンはSARS-CoV-2に対する高い有効性にもかかわらず、まれなブレークスルー感染が報告されている。研究グループは、これらの感染を特徴付け、ブレークスルーと感染性の相関関係を調べた。NEJM誌オンライン版2021年7月28日号掲載の報告。