呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:168

がん遺伝子パネル検査のスタート半年、「エキスパートパネル」の評価は?/日本臨床腫瘍学会

 2019年6月に保険適用となったがんゲノムプロファイリング(CGP)検査。その実施は、がんゲノム医療中核拠点病院、拠点病院、連携病院に限定され、検査結果は中核拠点病院、拠点病院で実施される専門家会議「エキスパートパネル」での検討が必須とされている。  ここでの方針がCGP検査を受けた患者の治療に直結するが、各エキスパートパネルの現状や判断の差異については評価されていなかった。そこで、中核拠点病院11施設での2019年6月~2020年1月における、エキスパートパネルの実績(全検討症例数および、遺伝子異常に合った投薬や遺伝相談外来の受診に結び付いた症例数)を調査するとともに、模擬症例2例を用いて各エキスパートパネル間で推奨治療に差があるかどうかを検証する研究を行った。

コロナワクチン「コミナティ」添付文書改訂、輸送・保管時の温度管理柔軟に

 2月14日に特例承認されたファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)について、3月1日付で添付文書が改訂された。薬剤の保存方法として、-25~-15℃で最長14日間の保存が可能である旨が追記された。  今回の改訂では、「薬剤調整時の注意」の細目として、新たに「保存方法」についての以下の記載が加わった。 《保存方法》 本剤は-90~-60℃から-25~-15℃に移し、-25~-15℃で最長14日間保存することができる。なお1回に限り、再度-90~-60℃に戻し保存することができる。いずれの場合も有効期間内に使用すること。

新型コロナ、医療者の転帰不良リスクはあるか?

 医療従事者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染リスクが高いが、感染後の転帰不良リスクはあるのか。北米の医療者127例を対象として後ろ向き観察コホート研究の結果が発表された。JAMA Network Open誌2021年1月28日号掲載の報告。  2020年4月15日~6月5日までに北米の36施設で確認された、1,992例のCOVID-19成人患者が対象に含まれた。データ解析は2020年9月10日~10月1日に行われ、患者のベースライン時の特性、併存疾患、症状、治療法および転帰に関するデータが収集された。

「COVID-19ワクチンに関する提言」、日本での安全性データ等追加/日本感染症学会

 2021年2月よりわが国でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まった。これを受けて、日本感染症学会(理事長:東邦大学医学部教授 舘田 一博氏)は、2月26日に「COVID-19ワクチンに関する提言」(第2版)を同学会のホームぺージで発表、公開した。  第1版は2020年12月28日に発表され、ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性、国内での接種の方向性、接種での注意点などが提言されていた。今回は、第1版に新しい知見を加え、とくにワクチンの有効性(変異株も含む)、ワクチンの安全性などに大幅に加筆があり、筋肉内注射に関する注意点の項目が新しく追加された。

新型コロナ、未承認の検査キットに強い懸念/日医

 日本医師会・今村 聡副会長が、感染症法にかかる検査キットの販売について、25日の記者会見で言及した。政府が1日20万件程度まで拡充すると昨年8月に表明した国内のPCR検査体制については、厚労省のデータによると2月4日時点で約15万件まで拡充されている。一方、民間事業者による検査能力は1日7万件に上るとの報告がある。  今村氏は、「(民間事業者による検査が)公的検査の補完につながるという意見もあるが、それを達成するためには検査精度が維持され、十分な感染症予防策などの対応が重要だ」と慎重な姿勢を示した。

非小細胞肺がんに対するKRASG12C阻害薬sotorasib第II相試験の成績(CodeBreaK 100)/日本臨床腫瘍学会

 KRASG12C阻害薬sotorasibは非小細胞肺がん(NSCLC)の第I相試験で奏効率(ORR)32.2%、疾患コントロール率(DCR)奏効期間(DoR)10.9ヵ月、無増悪生存期間(PFS)6.3ヵ月という成績を示した。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)では、初となる第II相試験の結果を静岡県立静岡がんセンターの高橋 利明氏が発表した。 対象:KRAS p.G12C変異を有する既治療(3ライン以下)の局所進行または転移のあるNSCLC 介入:sotorasib960mg/日、PDとなるまで投与 評価項目: [主要評価項目」BICR評価の奏効率 「副次評価項目]DoR、DCR、初回奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など [探索的研究]バイオマーカー  主な結果は以下のとおり。

死亡例の約2割がCOVID-19、アフリカ・ザンビアの首都調査/BMJ

 アフリカでは、南アフリカ共和国を除き、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染範囲や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響についてほとんど知られていない。米国・ボストン大学公衆衛生大学院のLawrence Mwananyanda氏らは、ザンビア共和国のルサカ市でCOVID-19の死亡への影響についてサーベイランス研究を行った。その結果、予想に反して、同市の約3.5ヵ月間の死者の約2割がCOVID-19で、COVID-19が確認された死亡例の年齢中央値は48歳、66%が20~59歳であることなどが明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2021年2月17日号に掲載された。アフリカは、COVID-19のデータがないため、COVID-19はアフリカを飛び越えて伝播し、影響はほとんどないとの言説が広く醸成されている。これは、「エビデンスはない」が、「非存在のエビデンス」として広範な誤解を招く好例とも考えられている。

EGFR変異肺がん、エルロチニブ+ベバシズマブ1次治療の全生存期間とリキッド検査の結果(NEJ026)/日本臨床腫瘍学会

 NEJ026試験はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にベバシ ズマブとエルロチニブの併用療法をエルロチニブ単剤療法と比較した第III相試験である。2018年に無増悪生存期間(PFS)において、ベバシ ズマブとエルロチニブの併用の統計学的有意が報告された。18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、全生存期間(OS)、および血漿EGFR変異検査に関する結果が宮城県立がんセンターの福原 達郎氏により発表された。

COVID-19重症化防止に抗がん剤ベバシズマブが有効である可能性

 重症のCOVID-19患者に抗がん剤ベバシズマブを投与することで、死亡率が低下し、回復が早まる可能性があることが、イタリアと中国で行われた小規模な試験によって明らかになった。Nature Communication誌2月5日オンライン版掲載の報告。  シングルアームの本試験は、2020年2月15日~4月5日に中国とイタリアの2施設において26例の成人患者が登録され、28日間のフォローアップが行われた。COVD-19感染はPCR検査で判定され、重症度は呼吸数が30回/分以上、安静時の酸素飽和度が93%以上、動脈酸素分圧/吸入酸素濃度(PaO2/FiO2)が100mm~300mmHg、胸部画像のびまん性肺炎によって判断した。適格となった参加者には標準治療に加え、100mLの生理食塩水に溶解したベバシズマブ(500mg)を90分以内に単回投与し、投与後1日目と7日目のデータを比較した。

中等~重症COVID-19に高用量ビタミンD3単回投与は有益か?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、高用量のビタミンD3単回投与はプラセボと比較し、在院日数を有意に減少させることはないことが示された。ブラジル・サンパウロ大学医学部のIgor H. Murai氏らが、ブラジル・サンパウロの2施設で実施した無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。COVID-19に対するビタミンD3補給の有効性はこれまで不明であったが、結果を受けて著者は、「中等症~重症COVID-19患者の治療として高用量ビタミンD3の使用は支持されないことが示された」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年2月17日号掲載の報告。