呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:223

COVID-19重症患者に特徴的なCT所見と症状

 中国・重慶医科大学附属第二医院のKunhua Li氏らの調査により、重症または重体のCOVID-19肺炎では、臨床症状、臨床検査値、CT重症度スコアに有意な差があることがわかった。多くの因子が疾患の重症度に関連しており、重症度の判断と予後の評価に役立つとしている。Investigative Radiology誌オンライン版2020年2月29日号に掲載。  著者らは、COVID-19肺炎患者83例(重症または重体が25例、それ以外が58例)について、胸部CT画像所見と臨床データを比較し、重症度に関連する危険因子を検討した。

局所進行NSCLCに対する化学放射線療法とペムブロリズマブの同時併用/JAMA Oncol

 化学放射線療法後のPD-L1阻害薬による地固め療法は、Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)の全生存率と無増悪生存率(PFS)を改善する。一方、化学放射線療法開始時のPD-L1阻害薬導入についての評価は明らかではない。そこで、NSCLCの根治的化学放射線療法とPD-1阻害薬ペムブロリズマブの同時併用の安全性と忍容性を決定する目的で前向き多施設非無作為化比較第I相試験が行われた。

レンバチニブ+ペムブロリズマブ、進行固形がんの成績/JCO

 新しいがん治療薬として期待される免疫チェックポイント阻害薬について、その活性を増強する研究報告が示された。米国・オレゴン健康科学大学のMatthew H. Taylor氏らは、血管新生阻害による血管内皮増殖因子を介した免疫抑制の調節が、免疫チェックポイント阻害薬の活性を増強する可能性が示唆されていることから、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法の第Ib/II相試験を実施。腎細胞がん、子宮内膜がんおよびその他の進行固形がん患者を対象とした同併用療法が、有望な抗腫瘍活性と管理可能な安全性プロファイルを示したことを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年1月21日号掲載の報告。

ALK肺がんへのbrigatinib、FDAは1次治療の優先審査指定、CHMPは肯定的見解/武田

 武田薬品工業は、brigatinibについて、2020年2月23日、米国食品医薬品局(FDA)がALK陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するファーストライン治療薬としての適応追加申請を優先審査指定したこと、同3月3日、欧州医薬品評価委員会(CHMP)がALK陽性進行性NSCLC患者に対する単剤療法としての承認を推奨する肯定的見解を示したことを発表した。  FDAへのファーストライン治療適応追加申請もCHMP の肯定的見解も、ALK阻害薬未治療のALK陽性局所進行あるいは転移のあるNSCLC患者を対象にbrigatinibとクリゾチニブを比較評価する臨床第III相ALTA-1L試験の結果に基づいている。ALTA-1L試験において、brigatinibは盲検化独立審査委員会(BRIC)の評価による無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を示し、主要評価項目を達成した。

ロピナビル・リトナビルで治療したCOVID-19/日本感染症学会

 3月3日、日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特設ページの中で、宮下 馨氏(国際医療福祉大学熱海病院 糖尿病代謝内科)らによる「ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の症例報告」を公開した。  症例報告は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗船の70代・女性の症例。搬送時には無症状であったものの、のちに高熱と肺炎を生じ、抗HIV薬であるロピナビル・リトナビル配合剤(商品名:カレトラ)で治療を行ったもの。投与後は自覚症状の改善があり、入院後20日間でPCRの陰性化を確認し、退院に至った。

がん患者のCOVID-19~非がん患者と比べて/Lancet Oncol

 中国およびその他の地域では、SARS-CoV-2による重症急性呼吸器症候群が発生している。がん患者は化学療法や手術などの抗がん治療によって引き起こされる全身性の免疫抑制により、易感染状態であることが多い。そのため、SARS-CoV-2についても感染リスクが高く、さらに感染後も予後不良の可能性がある。  中華人民共和国の国立呼吸器疾患臨床研究センターと国民健康委員会が協力し、中国全土でCOVID-19症例を観察する前向きコホートを設立した。 2020年1月31日のデータカットオフの時点で、31の地方行政区域から2,007例の症例を収集。記録不十分な417例を除外し1,590のCOVID-19症例を分析している。Lancet Oncology誌2020年3月1日号では、その中から、がん患者について分析している。

capmatinib、METΔex14変異非小細胞肺がんのFDAブレークスルーセラピーに/ノバルティス

 ノバルティスは、2020年2月11日、米国食品医薬品局(FDA)がcapmatinib(INC280)の新薬承認申請(NDA)に対する優先審査を受理し、これを許可したと発表した。capmatinibは、METex14変異を有する局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の未治療患者および治療歴のある患者の治療薬として審査が行われているMET阻害薬である。  現在、METex14変異を有する進行NSCLCを標的として承認された治療法はない。NSCLCは肺がん症例の約85%を占めている。METex14変異は、新たに進行NSCLCと確定診断された患者の3~4%に認められ、発がんドライバー遺伝子として認識されている。

COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニドで改善、国内3症例の詳細

 国内における新型コロナウイルス感染症の患者を多く出したダイヤモンドプリンセス号。患者の一部について治療に当たった神奈川県立足柄上病院は3月2日、喘息治療の第1選択薬である吸入ステロイド薬のシクレソニドの投与により症状が改善した3例について、日本感染症学会のホームページにその詳細を報告した。いずれもCOVID-19による酸素化不良やCT所見などが見られたが、薬剤投与により良好な経過を得ているという。

慢性呼吸器疾患死が世界的に増加、死亡率は低下/BMJ

 1990~2017年の期間に、慢性呼吸器疾患による年間総死亡数は18%増加したが、年齢標準化死亡比は年間2.41%低下し、社会人口統計学的特性(SDI)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)、塵肺症、喘息による死亡率との間には負の相関がみられ、SDIが低い地域は疾病負担が多大であることが、中国・華中科技大学のXiaochen Li氏らによる195の国と地域のデータの解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年2月19日号に掲載された。慢性呼吸器疾患による死亡や健康損失に関するこれまでの研究は、限られたデータに基づいており、地域も限定的だという。

中等度以上の原発性自然気胸への保存療法導入について(解説:小林英夫氏)-1195

何科の医師でも気胸の疾患名はご存じと思う。その病態は紀元前から知られ、15世紀には治療導入の記録があり、疾患名称の登場は200年以上前とのことである。治療の概略は、虚脱肺の程度と治療効果に応じ、安静、脱気、胸腔ドレナージ、手術へと順次実施されるのも一般的知識であろう。治療の原則は、胸腔からの排気ではなく、胸腔への大気流入を途絶させることにある。まず、前提として日本気胸・嚢胞性肺疾患学会による用語を確認する。本論文にあるspontaneous pneumothorax(自然気胸)は内因性に発症し胸腔内に空気が漏出した病態で、原発性自然気胸、続発性自然気胸、原因不明の自然気胸の3病態を含んでいる。最多が原発性自然気胸で、肺内のブラ・ブレブ破裂に起因する病態である。少数だが自然気胸以外の気胸や緊急治療を要する緊張性気胸なども存在する。