呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:249

重症OSAは非心臓手術後30日の心血管リスクと関連/JAMA

 非心臓大手術を受ける成人において、未診断の重症閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、術後30日の心血管合併症リスクの有意な増大と関連することが示された。中国・香港中文大学のMatthew T.V. Chan氏らが、1,218例を対象に行った前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2019年5月14日号で発表した。一般集団の検討で、未診断のOSAは心血管リスクを増大することが示されていたが、OSAが周術期において同程度のリスクとなるかは不明であった。今回の結果について著者は、「さらなる研究を行い、介入によって同リスクが軽減可能かを評価する必要がある」とまとめている。

IV期NSCLCにおける放射線治療と免疫CP阻害薬の相乗効果

 切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学放射線同時療法の維持治療にデュルバルマブが適応になるなど、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせは相乗効果をもたらすとされる。しかし、IV期NSCLCにおける放射線治療の意義を明確に示した報告は少ない。埼玉医科大学国際医療センターの山口央氏らは、放射線療法(RT)の治療歴がその後のニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療効果や予後に影響を与えるかを後方視的に解析した。Thoracic Cancer誌2019年4月号の掲載報告。

CVD高リスクCOPD、LAMAの長期安全性確認/JAMA

 心血管疾患リスクの高いCOPD患者に対して、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)アクリジニウムの長期投与はプラセボと比較して、3年時点の主要心血管イベント(MACE)リスクについて非劣性であることが示された。中等症~重症COPDの1年時増悪率も有意に減少した。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のRobert A. Wise氏らが、約3,600例を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、JAMA誌2019年5月7日号で発表した。LAMAについては、COPD患者の心血管罹患率および死亡率を増大するとの懸念が示されていた。

5/9呼吸の日に「ぜん息外来.jp」リリース

 アストラゼネカ株式会社は、5月9日“呼吸の日”に喘息治療サポートサイト「ぜん息外来.jp」をオープンした。  本サイトは、「ぜん息について」「あなたのぜん息タイプは?」「知ろう、あなたのぜん息コンディション」「専門医からのメッセージ」「医療機関検索」という5つのコンテンツで構成され、疾患が起こるメカニズムや検査、重症化の原因によって分けられる喘息のタイプなど、喘息に関する最新情報を提供する。  とくに喘息患者の5~10%を占める重症喘息については、昨今の研究によって好酸球などの存在が喘息を悪化させる原因として明らかになってきた。

内容充実!『がん免疫療法ガイドライン』の第2版が発刊

 2019年3月29日、日本臨床腫瘍学会が編集した『がん免疫療法ガイドライン第2版』が発刊。2016年に初版が発行されてから2年。非常にスピーディな改定が行われた。今回の改定では、この間に明らかとなった各疾患での治療エビデンスや副作用管理などが集約化された。  本ガイドラインの構成についての大幅なリニューアルはないが、各項の解説が「発症の頻度」、「臨床症状と診断」、「治療方針」に細分化されたことで、実臨床に役立てやすくなっている。

新インフルワクチンで毎年の接種不要に? P1試験開始/NIH

 インフルエンザワクチンは次シーズンの流行予測に基づき、ワクチン株を選定して毎年製造される。そのため、新たな変異株の出現と拡大によるパンデミックの可能性に、世界中がたえず直面している。米国国立衛生研究所(NIH)は4月3日、インフルエンザウイルスの複数サブタイプに長期的に対応する“万能(universal)”ワクチン候補の、ヒトを対象とした初の臨床試験を開始したことを発表した。  この新たなワクチン候補は、菌株ごとにほとんど変化しない領域に免疫系を集中させることで、さまざまなサブタイプに対する防御反応を行うよう設計された。本試験は、米国国立アレルギー感染症研究所のワクチンリサーチセンター(VRC)が主導している。

NSCLC患者ががん治療に対し望むこと

 自分が受けているがん治療に対し、患者は何を望み、どのように考え、どんな情報を求めているのだろうか。  日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、「非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんにおける治療選択に関する意識調査」を実施し、その結果を2019年5月9日に発表した。  本調査は、2018年12月13~16日に、NSCLC治療経験のある患者(現在薬物治療中または薬物治療終了から1年未満)139例を対象に、がん情報サイト「オンコロ」にてアンケート形式で実施された。

高齢者NSCLCにおけるペムブロリズマブの成績/ELCC2019

 ペムブロリズマブの3つ無作為化比較試験KEYNOTE-010、024、042のプール解析の結果、高齢の非小細胞肺がん(NSCLC)患者では、ペムブロリズマブでの全生存期間が化学療法を有意に上回った。この研究は3件の臨床試験の高齢(75歳以上)患者264例と75歳未満の患者2,292例の結果を比較したもので、九州がんセンターの野崎 要氏らが欧州肺癌学会(European Lung Cancer Congress 2019)で発表した。対象患者はPD-L1(TPS)1%以上であり、高齢患者の半数はTPS50%以上であった。

リファンピシン耐性結核の治療期間短縮トライアル(解説:吉田敦氏)-1038

多剤耐性結核の治療は非常に難しい。薬剤数が多く、期間も長くなり、副作用も多く経験する。WHOは2011年のガイドラインにおいて、遺伝子検査を含む早期の耐性検査の実施、フルオロキノロン薬の使い分け、初期に行われるintensive phaseの治療期間の延長と合計18ヵ月以上の治療を推奨しているが、一方でそれよりも短期間の治療レジメンで良好な成績を収めた報告も存在する。今回は、RIF耐性結核例を対象とし、バングラデシュ研究で多剤耐性結核に対して用いられたレジメンと同様の9~11ヵ月の短期療法と、WHOのガイドラインに従った20ヵ月の長期療法の2法について、第III相ランダム化比較試験が実施された。

がんゲノム医療の今

 手術や放射線治療では根治できないと判断された進行固形がんにおけるがん薬物療法は、正常細胞とがん細胞との“生物学的な違い”をターゲットにする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が主流になりつつある。わが国におけるがんゲノム医療の現状は、どのようになっているのだろうか。  2019年4月、中外製薬株式会社が「第1回 がんゲノム医療に関する基礎メディアセミナー」を都内にて開催した。そこで、土原 一哉氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野 分野長)が講演を行った。