新しい形のがん患者支援キックオフ 新しい形のがん患者支援「maggie's tokyoプロジェクト」のキックオフミーティングが、先月(2014年9月)都内で開催された。ミーティングではmaggie's tokyo代表である秋山 正子氏と鈴木 美穂氏らが講演、プロジェクトの趣旨説明と設立・運営寄付への協力を呼びかけた。
大腸腺腫切除後の長期的な大腸がん死亡率(解説:上村 直実 氏)-254 大腸がんによる死亡率を低下するために、便潜血を用いた検診や大腸内視鏡検査による早期発見が推奨されているが、大腸腺腫を内視鏡的に切除した後のサーベイランスも重要な課題となっている。
家族性乳がんとPALB2遺伝子変異(解説:藤原 康弘 氏)-251 PALB2(Partner And Localizer of BRCA2)遺伝子はBRCAやPTENなどの次に高い乳がんリスク因子であることはすでに知られている(乳がんの遺伝子異常を俯瞰している最近の優れた総説はScience 2014年3月28日号を参照されるとよい)。
ASCOの妊孕性温存ガイドライン改訂 妊孕性温存は、がんサバイバーのQOLにとって重要であり、がん治療に影響を及ぼす。この重要性を鑑み、2006年にASCOは委員会を招集しガイドラインを発行。その後の妊孕性温存の進歩に伴い、2013年に改訂が加えられた。2014年8月、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、米国・ニューヨーク医科大学のKutluk H Oktay氏は「ASCO Guidelines for Fertility Preservation:2013 Updates」と題し、ASCOガイドラインの概要を紹介した。
片側性乳がんへの両側乳房切除術、全死亡率は低下せず/JAMA ステージ0~IIIの片側性乳がんに対する両側乳房切除術後の全死亡率は、放射線治療併用の乳房温存術実施後と同程度であることが明らかにされた。また片側乳房切除術の総死亡リスクは、前述のいずれの施行後よりも高く、放射線治療併用の乳房温存術と比べると約1.35倍増大することが示された。米国・スタンフォード大学のAllisonW. Kurian氏らが、片側性乳がんの診断を受けた約19万例について行った観察コホート試験の結果、報告した。最近の傾向では、片側性乳がんにおいて両側乳房切除の実施が増えている。しかし医学的および心理社会的な合併症を伴う可能性があることから、著者は今回の結果を踏まえて、「その実施とアウトカムについてよりよく理解することが、がん治療の至適化の基本となる」と指摘している。JAMA誌2014年9月3日号掲載の報告より。
PIK3CA変異乳がんは抗HER2療法の効果低い 乳がんではホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K) / AKT経路の異常はよくみられ、PIK3CAの変異が最も多い。ドイツ乳がんグループのSibylle Loibl氏らは、術前補助化学療法に加えてdualもしくはsingle 抗HER2療法を行ったHER2陽性乳がんにおいて、PIK3CA遺伝子型と病理学的完全寛解(pCR)率との関連を調査した。その結果、PIK3CA変異のあるHER2陽性乳がんでは、アントラサイクリン・タキサンの化学療法と抗HER2療法(dual抗HER2療法であっても)による術前補助化学療法後に、pCRを達成する可能性は低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年9月8日号に掲載。
乳がん、新たな抗HER2療法にさらなる期待 乳がんの抗HER2療法はトラスツズマブの登場後、飛躍的な進化を遂げているが、さらに新たな展開が期待できそうである。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、米国スタンフォード大学のMark D.Pegram氏が「New paradigms in the treatment of HER2+ BC」と題し、抗HER2療法の3つの新しいアプローチについて紹介した。
大腸がん死亡率、切除腺腫のリスクで差/NEJM 大腸腺腫切除後の大腸がん長期死亡率について、一般集団と比較して、切除した腺腫が低リスクであった患者では低下がみられた一方、高リスクであった患者は高かったことが明らかにされた。ノルウェー・オスロ大学のMagnus Lphiberg氏らが1,273例を中央値7.7年間追跡し報告した。腺腫切除後には大腸内視鏡によるサーベイランスが広く推奨されているが、同患者における大腸がん死亡についてはこれまでほとんど報告されていなかった。NEJM誌2014年8月28日号掲載の報告より。
脳卒中発症後の手術では、心血管有害事象のリスクが高く、時間依存的に関連(解説:中川原 譲二 氏)-234 虚血性脳卒中新規発症例に対する手術タイミングは重要な問題であるが、これまで不十分に扱われてきた。デンマーク・コペンハーゲン大学のMads E. Jorgensen氏らは、同国住民コホートで待機的非心臓手術を受けた約48万件の手術データを後ろ向きに解析し、とくに発作後9ヵ月未満で手術を行った場合は、脳卒中既往は術後の心血管系の有害転帰と関連することを明らかにした。
周術期心房細動、術後脳卒中リスクを1.3~2倍に/JAMA 周術期に新規心房細動が認められると、術後長期の虚血性脳卒中リスクは1.3~2倍に増大することが判明した。同関連は、心臓手術よりも非心臓手術で大きいという。米国・ワイルコーネル大学医学部のGino Gialdini氏らが、約173万例について行った後ろ向きコホート試験で明らかにした。心房細動は虚血性脳卒中リスクを増大することが知られている。一方で、周術期心房細動は生理的ストレスへの過渡反応とみなされており、また発症後の長期脳卒中リスクについては不明であった。JAMA誌2014年8月13日号掲載の報告より。