外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:161

トラスツズマブ術後治療1年投与と2年投与の比較-ランドマーク解析-(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(129)より-

 乳がん治療は、ここ10年間で大きく変革した。それは、乳がんの増殖因子であるHER2に対する抗体治療薬であるトラスツズマブの登場による。従来の抗がん剤治療は、殺細胞薬といって、がん細胞も正常細胞も見境なく殺してしまうものしかなく、患者は副作用に苦しむことを余儀なくされていた。1990年代後半から、がん細胞に特異的に発現しているさまざまな分子に対する分子標的治療薬の開発が行われ、分子標的治療薬は、副作用が少ない治療薬ということで注目を浴びた。血液腫瘍ではグリベックが開発され、固形腫瘍で最初に開発された薬剤が、トラスツズマブである。

HER2陽性乳がんのトラスツズマブ至適投与期間は?/Lancet

 HER2陽性乳がんの術後補助療法において、HER2阻害薬トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)の投与期間を標準的な1年投与から2年投与に延長しても有効性は改善されないことが、欧州腫瘍学研究所(イタリア、ミラノ市)のAron Goldhirsch氏らが行ったHERA試験で示された。乳がんの約15~20%にHER2遺伝子の過剰発現や増幅がみられる。トラスツズマブは、これらHER2陽性早期乳がんに対する有効性が確立され、術後補助療法として広く用いられている。現在の標準的な投与期間は1年とされるが、至適な投与期間は確立されていない。Lancet誌オンライン版2013年7月18日号掲載の報告。

n-3系多価不飽和脂肪酸、乳がんリスクを抑制/BMJ

 食事に含まれる海産物由来のn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)の摂取量が増えるほど、乳がんリスクが低減することが、中国・浙江大学のJu-Sheng Zheng氏らの検討で示された。2008年の世界的ながん統計調査では、乳がんは全がん患者の23%、全がん死の14%を占めている。また、疫学研究では魚類やn-3 PUFAの摂取は乳がんの発症に対し予防的に働くことが示唆されているが、この知見と矛盾する観察試験の結果があるという。BMJ誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。

乳がん予防にSERMは有効か?(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(103)より-

 女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏は、骨粗鬆症や高脂血症の原因となる。また、エストロゲン補充療法は、これらの症状を改善させる作用を持つが、乳がんのリスクを増加させることが問題となる。SERMとは、選択的エストロゲン受容体モジュレーターのことであり、エストロゲン受容体に相互作用を示すことにより、臓器特異的に、アゴニスト作用あるいは、アンタゴニスト作用を有する治療薬として期待がされている。

ヘパリン橋渡し療法・・・それは正しい経験則だったのか?(コメンテーター:山下 武志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(101)より-

 経口抗凝固療法を服用している脳卒中ハイリスク患者では、侵襲的治療に伴う出血と抗凝固療法中断に伴う脳梗塞のリスクを考えることがいつも難しい。抜歯や白内障の手術では抗凝固療法継続のまま行うことが常識となっているが、それ以外の侵襲的治療ではワルファリンの中断とヘパリンによる橋渡し治療が行うことが多いだろう。

選択的エストロゲン受容体調節薬、高リスク女性の乳がん1次予防に長期効果/Lancet

 高リスク女性の乳がん1次予防において、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)はその発症を長期的に抑制することが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJack Cuzick氏らの検討で示された。タモキシフェンによる術後補助療法では対側乳がんの発症率が大幅に低下し、SERMによる骨粗鬆症女性の骨折予防試験でも乳がんの抑制効果が示唆されている。早期のメタ解析では、SERMによる高リスク女性の乳がんリスク低下効果が示唆されているが、その持続期間は明らかにされていなかった。Lancet誌オンライン版2013年4月30日号掲載の報告。

血中循環腫瘍DNA、転移性乳がんに特異的で高感度のバイオマーカー/NEJM

 血中循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA)は、転移性乳がんに関し、特異的で感度の高いバイオマーカーであることが示された。従来マーカーのがん抗原15-3(CA 15-3)や血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells)よりも、腫瘍量との相関関係が強いという。英国・ケンブリッジ大学のSarah-Jane Dawson氏らが、転移性乳がん患者30例について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年3月13日号で発表した。転移性乳がん患者については、その治療反応性のモニタリングを目的とした、より適切なバイオマーカーが必要とされている。