泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:34

外科医が自分の誕生日に行った手術で、死亡率増/BMJ

 緊急手術を受けたメディケア受給患者の死亡率を分析した結果、外科医が手術を自身の誕生日に行った患者の死亡率が、誕生日以外の日に行った患者の死亡率と比べて高いことが判明した。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の加藤 弘陸氏らが行った全米規模の観察研究の結果で、著者は「本所見は、外科医が手術室で、手術とは直接関係のない出来事で注意散漫になりうることを示すものである」と述べている。手術室では、臨床的出来事や個人的出来事によって、注意をそらされることが日常的に起きているという。研究室での実験では、注意散漫が外科医のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があることは示されているが、患者の転帰にどれほど影響するのか、リアルワールドのデータを使用した経験的エビデンスは限定的であった。BMJ誌2020年12月10日号クリスマス特集号の「THE CITADEL」より。

HIV維持療法、長時間作用型注射剤2剤併用2ヵ月ごと投与は?/Lancet

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者において、長時間作用型注射剤cabotegravirと長時間作用型注射剤リルピビリンの2剤併用の8週ごと投与は、4週ごと投与と比較し有効性および安全性プロファイルは類似していることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のEdgar T. Overton氏らの「ATLAS-2M試験」で明らかとなった。cabotegravir+リルピビリン2剤併用投与については、第II相試験で8週ごと投与と4週ごと投与の有用性が示唆され、第III相試験で4週ごと投与の経口抗レトロウイルス療法に対する非劣性が検証されたことから、8週ごと投与のさらなる評価が求められていた。結果を踏まえて著者は、「HIV-1感染患者の治療選択肢として、より簡便なcabotegravir+リルピビリンの2ヵ月ごと投与の使用は支持される」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年12月9日号掲載の報告。

コロナ禍初期のがん治療キャンセル・変更患者、3人に1人

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、がん患者にどれほど影響を与えているか。本稿では、オランダ・Netherlands Comprehensive Cancer Organisation(IKNL)のLonneke V van de Poll-Franse氏らが、コロナ禍において同国がん患者が、がん治療とフォローアップ治療(電話/ビデオ相談を含む)、ならびにウェルビーイングについてどのように認識しているかを調べ、一般健常者と比較評価した。その結果、がん患者の3人に1人がコロナ禍の最初の数週間でがん治療が変化したと報告し、長期アウトカムに関する監視が必要なことが示されたという。一方で、コロナ禍は、がん患者よりも一般健常者においてメンタルヘルスにより大きな影響を与えていることも報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。

フィナステリドの副作用、45歳以下では自殺傾向・うつとの関連が顕著

 インターネットやテレビで男性型脱毛症(AGA)治療の広告を目にしない日はないだろう。脱毛症の治療は身近なものになってきているが、脱毛症および良性前立腺肥大症(BPH)治療に使用されるフィナステリドについて、自殺傾向やうつ増大との関連が認められることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDavid-Dan Nguyen氏らにより報告された。同治療におけるフィナステリドの有害事象は議論の的となっており、使用男性の自殺企図または自殺例が報告されるようになったのは2012年ごろであったが、今回の検討では、45歳以下の脱毛症患者において、自殺傾向や心理的有害事象との顕著な関連性が認められたという。著者は、「今回の研究結果は、若年の患者にフィナステリドを処方する際は、自殺傾向、うつ、不安症のリスクを考慮する必要があることを示唆するものであった」と述べる一方で、「本研究によってバイアスがかかる可能性があり、さらなる調査が必要である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年11月11日号掲載の報告。

がん治療は4週遅れるごとに死亡率が高まる/BMJ

 がん治療が4週間遅れるだけで、手術、全身療法、放射線療法の適応となる7つのがんで全体の死亡率が上昇する。カナダ・クイーンズ大学のTimothy P. Hanna氏らが、がん治療の遅延と死亡率上昇との関連を定量化する目的で実施したシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。がん治療の遅れは転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、その影響の標準推定値はなく、これまでのメタ解析で治療の遅れと死亡/局所管理との関連が示されていたものの、各報告のばらつきが大きくメタ解析に限界があった。著者は、「世界的にがん治療の遅れは医療制度に問題がある。がん治療開始の遅れを最小限にするシステムに焦点を当てた政策が、集団レベルでの生存転帰を改善できるであろう」とまとめている。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ+アキシチニブ、腎細胞がん1次治療のOS延長持続(KEYNOTE-426)/Lancet Oncol

 化学療法未治療の進行性腎細胞がん患者に対する、ペムブロリズマブ+アキシチニブ併用とスニチニブ単独の有効性を比較したKEYNOTE-426試験の長期有効性・安全性を支持する結果が示された。同試験の中間解析では併用群が優れていることが示されているが、英国・Barts Cancer CentreのThomas Powles氏らは長期追跡の探索的解析を行い、その優れた有効性が維持されていたと発表した。結果を踏まえて著者は、「今回示された結果は、進行性腎細胞がんの標準治療としてのペムブロリズマブ+アキシチニブ併用による1次治療を、さらに支持するものである」とまとめている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年10月23日号掲載の報告。

低リスク前立腺がん、監視療法の転帰に人種は影響するか/JAMA

 監視療法を受けた低リスク前立腺がん患者について、アフリカ系米国人は非ヒスパニック系白人と比較して、病勢進行および根治的治療の10年累積発生率が統計学的に有意に増加したが、転移または前立腺がん特異的死亡率は増加しなかった。米国・VHA San Diego Health Care SystemのRishi Deka氏らが、後ろ向きコホート研究(追跡調査期間中央値7.6年)で明らかにした。これまでの研究で、低リスク前立腺がんのアフリカ系米国人は、非ヒスパニック系白人に比べ進行性の疾患が隠れている可能性が懸念されるとして、監視療法が安全な選択肢であるかは不明であった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。

筋電図バイオフィードバックは女性尿失禁に対する骨盤底筋訓練に有効なのか?:多施設共同研究(解説:宮嶋哲氏)-1313

無意識に行われている体内状態を適切な計測器によって測定し、その情報を画像や音の形で自身が意識できるよう呈示することにより、従来制御することが不可能であると考えられてきた体内の諸機能を意識的に制御することが可能であることがわかってきた。人体における意識にのぼらない情報を工学的な手段によって視聴覚等で感知させ意識上にフィードバックすることにより、体内状態を意識的に希望する方向へ調節する技術や訓練をバイオフィードバックと呼び、現在、さまざまな疾患において用いられている。

がん診療病院でのCOVID-19クラスター、その教訓は/日本癌治療学会

 市中感染が広がる状況下では、感染者が院内に入り込む可能性や病院内感染発生のリスクが常にある。リスクをいかに減らし、万が一予期せぬ感染者が発覚した場合にどのような対応が必要か、がん診療をどのように維持していけばよいのか。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で、「COVID-19蔓延期の癌治療―体験と教訓―」と題した会長企画シンポジウムが開かれ、がん診療を担う病院での今春からの経験、実施している対策が相互に共有された。本稿では、加藤 秀則氏(北海道がんセンター)、佐藤 悠城氏(神戸市立医療センター中央市民病院)による発表内容を中心に紹介する。

尿失禁への骨盤底筋トレーニング、筋電図バイオフィードバック併用は?/BMJ

 緊張性・混合性尿失禁の女性に対する、骨盤底筋トレーニング(PFMT)への筋電図バイオフィードバックの併用は、24ヵ月後の尿失禁重症度の改善に対し効果が認められるというエビデンスはないことが示された。英国・Glasgow Caledonian UniversityのSuzanne Hagen氏らが、600例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果明らかにしたもので、BMJ誌2020年10月14日号で発表した。これまでにコクランレビューでは併用の有益性が示される一方、メタ解析では有益性は認められないとの結果が示され、その後の2件の小規模単施設試験では治療直後の評価では有益性が認められるなどの報告が寄せられていた。今回の大規模試験の結果を踏まえて著者は、「PFMTへの筋電図バイオフィードバックのルーチンの実施は推奨すべきではない。PFMTの効果を最大化する他の方法を検討すべきだ」とまとめている。