泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:36

低リスク前立腺がん、監視療法の転帰に人種は影響するか/JAMA

 監視療法を受けた低リスク前立腺がん患者について、アフリカ系米国人は非ヒスパニック系白人と比較して、病勢進行および根治的治療の10年累積発生率が統計学的に有意に増加したが、転移または前立腺がん特異的死亡率は増加しなかった。米国・VHA San Diego Health Care SystemのRishi Deka氏らが、後ろ向きコホート研究(追跡調査期間中央値7.6年)で明らかにした。これまでの研究で、低リスク前立腺がんのアフリカ系米国人は、非ヒスパニック系白人に比べ進行性の疾患が隠れている可能性が懸念されるとして、監視療法が安全な選択肢であるかは不明であった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。

筋電図バイオフィードバックは女性尿失禁に対する骨盤底筋訓練に有効なのか?:多施設共同研究(解説:宮嶋哲氏)-1313

無意識に行われている体内状態を適切な計測器によって測定し、その情報を画像や音の形で自身が意識できるよう呈示することにより、従来制御することが不可能であると考えられてきた体内の諸機能を意識的に制御することが可能であることがわかってきた。人体における意識にのぼらない情報を工学的な手段によって視聴覚等で感知させ意識上にフィードバックすることにより、体内状態を意識的に希望する方向へ調節する技術や訓練をバイオフィードバックと呼び、現在、さまざまな疾患において用いられている。

がん診療病院でのCOVID-19クラスター、その教訓は/日本癌治療学会

 市中感染が広がる状況下では、感染者が院内に入り込む可能性や病院内感染発生のリスクが常にある。リスクをいかに減らし、万が一予期せぬ感染者が発覚した場合にどのような対応が必要か、がん診療をどのように維持していけばよいのか。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で、「COVID-19蔓延期の癌治療―体験と教訓―」と題した会長企画シンポジウムが開かれ、がん診療を担う病院での今春からの経験、実施している対策が相互に共有された。本稿では、加藤 秀則氏(北海道がんセンター)、佐藤 悠城氏(神戸市立医療センター中央市民病院)による発表内容を中心に紹介する。

尿失禁への骨盤底筋トレーニング、筋電図バイオフィードバック併用は?/BMJ

 緊張性・混合性尿失禁の女性に対する、骨盤底筋トレーニング(PFMT)への筋電図バイオフィードバックの併用は、24ヵ月後の尿失禁重症度の改善に対し効果が認められるというエビデンスはないことが示された。英国・Glasgow Caledonian UniversityのSuzanne Hagen氏らが、600例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果明らかにしたもので、BMJ誌2020年10月14日号で発表した。これまでにコクランレビューでは併用の有益性が示される一方、メタ解析では有益性は認められないとの結果が示され、その後の2件の小規模単施設試験では治療直後の評価では有益性が認められるなどの報告が寄せられていた。今回の大規模試験の結果を踏まえて著者は、「PFMTへの筋電図バイオフィードバックのルーチンの実施は推奨すべきではない。PFMTの効果を最大化する他の方法を検討すべきだ」とまとめている。

がん患者の禁煙、継続カウンセリングと補助薬提供が有効/JAMA

 がんの診断を受けた喫煙者の禁煙治療において、継続的な禁煙カウンセリングと禁煙補助薬の無料提供による強化治療は、4週間の短期カウンセリングと禁煙補助薬に関する助言を行う標準治療と比較して、6ヵ月後の禁煙の達成割合が高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のElyse R. Park氏らが実施した「Smokefree Support研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月13日号に掲載された。がん患者では、喫煙の継続が有害なアウトカムを引き起こす可能性があるが、米国の多くのがんセンターは、エビデンスに基づく禁煙治療をルーチンの治療に十分に導入できていないという。

がん患者・家族、食と体重の悩み5割が「相談できていない」/日本対がん協会

 公益財団法人日本対がん協会 サバイバークラブは、2020年9月30日、全がん種を対象にした、がん患者・家族がかかえる食と体重減少の悩みに関する全国インターネット調査の結果を発表。多くのがん患者・家族が食や体重減少に関する悩みを抱えており、また、相談できていない現状が明らかになった。  調査対象は、がん患者とその家族。調査期間は 2019年10月1日~2019年11月18日、回答数は1,382名(がん患者1,168名、家族214名)であった。 食の悩み6割  「食事について気になることや悩みを感じたことがある」と回答した割合は、患者本人は58%、家族は77%が、全体では61%であった。具体的な食の悩みには「食欲がない」が48%、「味が変わって感じる」40%、「吐き気・嘔吐」37%、体重減少36%などで、さまざまな悩みが混在していることがわかった。

ニボルマブ+カボザンチニブの腎がん1次治療、FDAの優先審査対象に/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブとExelixis社は、2020年10月19日、米国食品医薬品局(FDA)が、進行腎細胞がん(RCC)患者に対するニボルマブとカボザンチニブの併用療法に関して、それぞれ、生物学的製剤承認一部変更申請および医薬品承認事項変更申請を受理したことを発表。  FDAは、両申請とも優先審査の対象に指定し、処方せん薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了の目標期日を2021年2月20日に設定した。

進行または転移のある尿路上皮がんに対するアベルマブ維持療法(解説:宮嶋哲氏)-1299

アベルマブはヒトPD-L1に対する抗体であり、2017年にFDAはプラチナ製剤を含む化学療法施行中または施行後に病勢進行を認めた局所進行または転移のある尿路上皮がんの治療薬としてアベルマブの適応を承認している。わが国では、根治切除不能または転移のある腎細胞がんを適応症として分子標的薬であるアキシチニブと併用で適応が承認されている。プラチナ製剤主体の抗がん化学療法は進行尿路上皮がんの標準的1次療法であるが、無増悪生存期間と全生存期間はがん細胞の化学療法耐性獲得によって、その効果は限定的である。本研究はJAVELIN Bladder 100試験の第III相試験で、切除不能な局所進行または転移のある尿路上皮がんを有し、1次化学療法(ゲムシタビンとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用を4~6サイクル)で病勢進行を認めなかった患者を、best supportive care(BSC)に加えてアベルマブによる維持療法を行う群と行わないBSCのみのコントロール群に無作為に割り付けたものである。主要評価項目は全生存率(OS)とし無作為化された全患者(集団全体)とPD-L1陽性腫瘍を有する患者群で評価を行い、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)と安全性である。

限局性前立腺がん、積極的初回治療がQOL低下の引き金に/BMJ

 限局性前立腺がんに対して、積極的な初回治療を受けた患者は前立腺がんの診断を受けていない男性に比べ、概して自己申告QOLが長期にわたり低下しており、根治的前立腺摘出術を受けた男性はとくに性機能のアウトカムが不良であった。オーストラリア・Cancer Council New South WalesのCarolyn G. Mazariego氏らが、同国で最も人口の多いニューサウスウェールズ州で実施された大規模前向きコホート研究「New South Wales Prostate Cancer Care and Outcomes Study:PCOS」の解析結果を報告した。限局性前立腺がんは、過去20年にわたって診断後の生存率が増加してきているが、治療に関連した長期的なQOLアウトカムに関する研究はほとんどなかった。著者は、「医師および患者は、治療法を決定する際にこれら長期的なQOLのアウトカムを考慮する必要がある」とまとめている。BMJ誌2020年10月7日号掲載の報告。

医療のイノベーション、ヘルスケアベンチャー大賞で体感しよう!

 昨年盛況に終わり、今年2回目を迎える『ヘルスケアベンチャー大賞』(主催:日本抗加齢協会、共催:日本抗加齢医学会)。この最終審査が10月26日(月)に開催される。  ヘルスケアベンチャー大賞は、アンチエイジング領域においてさまざまなシーズをもとに新しい可能性を拓き、社会課題の解決につなげていく試みとして、日本抗加齢医学会のイノベーション委員会発足後、坪田 一男氏(日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長)らが2019年に立ち上げた。ベンチャー企業や個人のアイデアによるビジネスプランを書類審査、1次審査、最終審査の3段階で評価し表彰する。