2022年4月以降、欧米を中心にサル痘感染が広がっている。7月23日にはWHOが緊急事態を宣言し、日本でも7月25日に感染者が確認された。今回、英国・Queen Mary University of LondonのJohn P. Thornhill氏らの国際共同研究グループ(SHARE-net Clinical Group)が、2022年4月27日~6月24日に16ヵ国43施設でPCR検査によりサル痘と確認・診断された528例について、症状、臨床経過、転帰を調査した結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年7月22日号に掲載。
<感染者の背景>
98%がゲイもしくはバイセクシュアルの男性で、75%が白人、41%がヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性、年齢中央値は38歳だった。検査を受けた377例中109例(29%)で性感染症を併存していた。精液を分析した32例中29例にサル痘ウイルスDNAが検出された。
<感染経路>
95%が性行為による感染と考えられた。
<症状>
95%に発疹/皮膚病変がみられ、その部位は肛門性器が73%、顔が25%、体幹/手足が55%だった。皮膚病変以外の所見として、発熱(62%)、リンパ節腫脹(56%)、倦怠感(41%)、筋肉痛(31%)、頭痛(27%)、咽頭炎(21%)などがみられた。
<潜伏期間>
曝露歴が明らかな23例において、潜伏期間中央値は7日(範囲:3〜20日)であった。
<入院目的>
疼痛管理(主に肛門の激痛)21例、軟部組織感染18例、咽頭炎(経口摂取制限)5例、眼病変2例、急性腎障害2例、心筋炎2例、感染制御目的13例であった。
<転帰>
死亡例は報告されていない。
(ケアネット 金沢 浩子)