空間ナビゲーション機能の障害はアルツハイマー病の初期兆候か

バーチャル空間でのナビゲーションが困難な中高年は、将来、アルツハイマー病(Alzheimer disease;AD)を発症するリスクが高まる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)認知神経科学研究所のCoco Newton氏らによるこの研究の詳細は、「Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Association」に2月29日掲載された。 嗅内皮質はADで最初に神経変性が現れる皮質領域であり、その変性は嗅内皮質のグリッド細胞の機能不全と関連することが知られている。グリッド細胞は、経路統合(path integration;PI)能力をベースにした空間行動に関与している。PI能力とはナビゲーション機能の一形態で、自分の運動を手がかりに環境での位置を推定する能力のことである。