神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:49

lecanemab、アルツハイマー病治療薬として米国FDAよりフル承認を取得/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとBiogen(米国)は2023年7月7日、米国商品名「LEQEMBI」注射100mg/mL溶液(一般名:lecanemab)について、アルツハイマー病治療薬としてフル承認に向けた生物製剤承認一部変更申請を米国食品医薬品局(FDA)が承認したことを発表した。今回の「LEQEMBI」のフル承認は、エーザイの大規模グローバル臨床第III相検証試験であるClarity AD試験のデータに基づいている。  「LEQEMBI」は、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、継続的に蓄積される最も神経毒性の高いAβ(Aβプロトフィブリル)をターゲットとして除去し、既存のプラークを除去するとされる。2023年1月6日にFDAより迅速承認を取得しており、さらに6月には臨床第III相Clarity AD検証試験の結果が本剤の臨床上のベネフィットを示すエビデンスであることを、FDAの末梢・中枢神経系薬物諮問委員会(PCNS)が全会一致で支持していた。今回の承認により、「LEQEMBI」は、アルツハイマー病の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを示し、フル承認を取得した世界初かつ唯一の治療薬となる。

高齢者の片頭痛患者に対する抗CGRP抗体の安全性・有効性

 抗CGRPモノクローナル抗体は、片頭痛治療において顕著な有効性および忍容性が認められているが、高齢者に対する使用データについては、臨床試験では暗黙の年齢制限があり、リアルワールドのエビデンスも限られていることから、十分であるとは言えない。スペイン・バルセロナ大学のAlbert Munoz-Vendrell氏らは、65歳以上の片頭痛患者を対象に抗CGRPモノクローナル抗体であるエレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブの安全性および有効を評価するため、検討を行った。その結果、リアルワールドにおける65歳以上の片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、安全かつ効果的な治療法であることを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2023年6月2日号の報告。

認知症リスクが排便回数と便の硬さに関連~日本人4万人の研究

 中年期以降の排便習慣と認知症との関連について国立がん研究センター中央病院の清水 容子氏らが解析した結果、男女とも少ない排便回数および硬い便が高い認知症リスクと関連することが示された。Public Health氏オンライン版2023年6月29日号に掲載。  本研究は、介護保険の認定記録を用いたコホート研究で、JPHC研究における8地区で排便習慣を報告した50~79歳の参加者を対象に、2006~16年の認知症の発症について調査した。生活習慣因子や病歴を考慮したCox比例ハザードモデルを用いて、男女別にハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

ホルモン補充療法は認知症の発症と関連するか/BMJ

 更年期のホルモン補充療法の使用経験は、それが55歳以下の時点であっても、あらゆる原因による認知症およびアルツハイマー病の発症と有意な関連があり、投与期間が長くなるほど関連性が増強することが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のNelsan Pourhadi氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年6月28日号で報告された。  研究グループは、デンマークにおける更年期ホルモン療法と認知症との関連を、ホルモン療法の種類、投与期間、年齢別に評価する目的で、全国規模のコホート内症例対照研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。

中年のコーヒーや紅茶の摂取と将来の認知症リスク~HUNT研究

 認知症予防に対するコーヒーおよび紅茶の摂取の可能性について調査した研究結果は、現状では一貫性が得られていない。ノルウェー科学技術大学のDenise Abbel氏らは、中年成人を対象に紅茶または各種コーヒーの摂取とその後の認知症リスクとの関連およびこの関連に性別、ApoE4が及ぼす影響を調査するため、本研究を実施した。その結果、コーヒー摂取の習慣とその後の認知症リスクとの関連に対し、摂取するコーヒーの種類が影響を及ぼしている可能性が示唆された。Nutrients誌2023年5月25日号の報告。

片頭痛治療薬抗CGRP抗体の比較~メタ解析

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体は、新しい片頭痛予防薬である。また、米国においてCGRP受容体拮抗薬であるatogepantが片頭痛予防薬として承認された。中国・首都医科大学のWenfang Sun氏らは、将来の臨床試験の参考となるよう、さまざまな用量の抗CGRPモノクローナル抗体およびatogepantを含む片頭痛治療に対する有効性および安全性を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、すべての抗CGRP薬は片頭痛予防に効果的であり、とくにフレマネズマブ225mg/月、エレヌマブ140mg/月、atogepant 60mg/日は、副作用リスクが低く、効果的な介入であることが示唆された。The Clinical Journal of Pain誌オンライン版2023年6月2日号の報告。

日本人反復性片頭痛に対するフレマネズマブの有用性

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、多くの第II相および第III相試験において片頭痛患者に対する有効性および忍容性が確認されている。近畿大学の西郷 和真氏らは、反復性片頭痛(EM)患者を対象とした国際共同第III相試験(HALO EM試験)および日本と韓国で実施された第IIb/III相試験のサブグループ解析を実施し、日本人EM患者におけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価した。その結果、フレマネズマブは、日本人EM患者にとって効果的かつ忍容性の高い予防薬であることが確認された。Journal of Pain Research誌2023年5月18日号の報告。

認知症リスクが高まるHbA1c値は?

 高血糖状態が続くと、アルツハイマー型認知症の原因となる「アミロイドβ」が溜まりやすくなり、認知症発症リスクが高まるとされる。糖尿病患者が認知症リスクを減らすために目標とすべき血糖コントロールはどの程度か。オーストラリア・National Centre for Healthy AgeingのChris Moran氏らの研究がJAMA neurology誌2023年6月1日号に掲載された。  1996年1月1日~2015年9月30日の期間中、50歳以上の2型糖尿病を有するKaiser Permanente Northern California統合医療システムの会員を対象とした。期間中のHbA1c測定が2回未満、ベースライン時の認知症有病者、追跡期間3年未満の者は除外した。データは2020年2月~2023年1月に解析された。

脳卒中既往のある心不全患者の心血管リスク、HFrEFとHFpEFで検討

 左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)と左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の患者における脳卒中既往と心血管イベント(心血管死/心不全入院/脳卒中/心筋梗塞)発生率を調べたところ、左室駆出率にかかわらず、脳卒中既往のある患者はない患者に比べて心血管イベントリスクが高いことが示された。英国・グラスゴー大学のMingming Yang氏らが、European Heart Journal誌オンライン版2023年6月26日号で報告。  本研究は、HFrEFとHFpEFの患者が登録されていた7つの臨床試験のメタ解析である。

認知症患者に処方される抗精神病薬と併用薬の分析

 さまざまな問題が指摘されているにもかかわらず、抗精神病薬が認知症患者に対し、依然として一般的に処方されている。北里大学の斉藤 善貴氏らは、認知症患者に対する抗精神病薬の処方状況および併用薬の種類を明らかにするため、本検討を行った。その結果、認知症患者への抗精神病薬の処方と関連していた因子は、精神科病院からの紹介、レビー小体型認知症、NMDA受容体拮抗薬の使用、多剤併用、ベンゾジアゼピンの使用であった。著者らは、抗精神病薬の処方の最適化には、正確な診断のための地域の医療機関と専門医療機関の連携強化、併用薬の効果の評価、処方カスケードの解決が必要であるとしている。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2023年5月26日号の報告。