神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:51

日本食スコアと認知症、腸内細菌との関連

 これまでの研究では、腸内細菌叢や微生物代謝産物と認知機能低下との関連が示唆されている。しかし、この関連に対する食事パターンの影響は十分に調査されていない。国立長寿医療研究センターの佐治 直樹氏らは、日本食の順守や腸内細菌叢と認知機能低下との関連を評価した。さらに、日本食事スコアの3タイプ(JDI9[米、味噌、魚介類、緑黄色野菜、海藻類、漬物、緑茶、牛肉・豚肉、コーヒー]、JDI12[JDI9+大豆・大豆製品、果物、きのこ]、rJDI12[JDI12改訂版のJDI])について評価し、認知機能や腸内細菌叢と関連性を調査した。Nutrition誌2022年2月号の報告。

ブレークスルー感染、女性・30歳以上で起こりやすい?

 ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のJing Sun氏らが新型コロナワクチン接種後のブレークスルー感染発生率と発生率比(IRR)を特定することを目的とし、後ろ向きコホート研究を実施。その結果、患者の免疫状態に関係なく、完全ワクチン接種がブレークスルー感染のリスク低下と関連していることが示唆された。また、ブレークスルー感染が女性や30歳以上で起こりやすい可能性も明らかになった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年12月28日号掲載の報告。

抗CGRP抗体中止後の頭痛や健康関連QOLに対する影響

 抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体による片頭痛治療は、患者の健康関連QOLに良い影響を及ぼす。ドイツの治療ガイドラインでは、抗CGRP抗体による治療に奏効後、6~12ヵ月間で治療を中止することが推奨されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のMaria Terhart氏らは、抗CGRP抗体治療中止後3ヵ月間における頭痛特有の一般的な健康関連QOLを評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年12月31日号の報告。  8~12ヵ月間の抗CGRP抗体治療後、予定された治療中止をこれから行う片頭痛患者を対象としたプロスペクティブ縦断的コホート研究を実施した。健康関連QOLの評価は、最後の抗CGRP抗体治療実施時(V1)、8週間後(V2)、16週間後(V3)に行った。頭痛特有の健康関連QOLの評価には、頭痛インパクトテスト(Headache Impact Test-6:HIT-6)を用いた。一般的な健康関連QOLの評価には、EuroQol-5-Dimension-5-Level(ED-5D-5L)およびPCS-12、MCS-12で構成されたSF-12を用いて評価した。3つの評価時点でのアンケート合計スコアの比較には、ノンパラメトリック手法を用いた。

治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性~年齢や性別の影響

 片頭痛の有病率は、年齢や性別により異なり、成人初期および中年の女性でとくに高いが、男性やすべての年齢の成人においても片頭痛の問題を抱えている人は少なくない。そのため、性別や年齢を超えた片頭痛予防薬の有用性を理解することは重要である。既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療が奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験である第IIIb相FOCUS試験において、ヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの安全性、有効性は明らかとなった。オランダ・エラスムス大学ロッテルダムのAntoinette MaassenVanDenBrink氏らは、FOCUS試験参加者を年齢および性別でサブグループ化し、フレマネズマブの有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年12月18日号の報告。

軽度アルツハイマー病患者の安全運転に対するメマンチンの影響

 米国・フロリダアトランティック大学のPeter J. Holland氏らは、軽度アルツハイマー病患者の安全運転能力の維持に対するメマンチンの潜在的な有効性を評価するために、プラセボ対照二重盲検比較試験の実現可能性を判断する目的でパイロット研究を実施した。Canadian Geriatrics Journal誌2021年12月1日号の報告。  スクリーニング基準を満たした60歳以上の軽度アルツハイマー病患者43例を対象に、メマンチン群22例と対照群21例にランダム化を行った。運転能力の評価には、標準化された路上運転免許試験を用いた。アウトカムは、6、12ヵ月時点の運転能力と12ヵ月間の路上試験完了率とした。

認知症者の自動運転車の利用~ケアパートナーからの視点

 自動車の運転をやめさせることは、認知症高齢者の感情や健康に重大な影響を及ぼす可能性があり、このことはケアパートナーである家族にとっても問題となる。自動車の自動運転化は、認知症高齢者やケアパートナーにとって、自動車の運転を停止することやそれに伴う悪影響を緩和するうえで役立つ可能性がある。しかし、ケアパートナーを対象に認知症高齢者の自動運転車利用に対する考えを調査した研究は、これまで行われていなかった。カナダ・トロント大学のShabnam Haghzare氏らは、ケアパートナーの視点から、認知症高齢者における自動運転車の利用について、調査を行った。The Gerontologist誌オンライン版2021年11月19日号の報告。

日本でのCOVID-19パンデミック時の認知症患者に対する身体拘束

 COVID-19パンデミックは、世界中の医療スタッフ、とくにCOVID-19陽性患者を受け入れる病院スタッフにとって、これまでにない問題を引き起こしている。日本政府によるCOVID-19に伴う診療抑制などの発表は、院内ケアに対するさまざまな制限をもたらしており、認知症高齢者への身体拘束の増加を含むケアに影響を及ぼしている可能性がある。しかし、COVID-19パンデミック時の身体拘束への影響を経験的に検証した研究は、ほとんどない。京都大学の奥野 琢也氏らは、COVID-19パンデミックによる診療規制の変更が、急性期病院の認知症高齢者の身体拘束に及ぼす影響について評価を行った。PLOS ONE誌2021年11月22日号の報告。

朝の光が認知症高齢者の睡眠障害改善に及ぼす影響

 睡眠障害や概日リズムを改善するためには、光療法が効果的であるといわれている。台湾・国立陽明交通大学のChuen-Ru Liu氏らは、睡眠障害や概日リズムの改善には、一般的な照明よりも朝の明るい周囲光への曝露がより効果的であるとの仮説を立て、認知症高齢者のための新たな照射介入モデルの検討を試みた。Sleep Medicine誌オンライン版2021年10月21日号の報告。  本検討では、単盲検縦断グループ実験デザインを用いた。認知症患者は、コミュニティおよびナーシングホームより募集した。実験グループには、2,500ルクスの周囲光を、対照グループには114~307ルクスを用いた。睡眠障害および概日リズムの測定には、加速度計(XA-5)を用いた。効果反応までの時間を測定するため、縦断実験計画法を用いた。

60歳以上の片頭痛患者に対する抗CGRP抗体フレマネズマブの有効性、安全性

 片頭痛は、高齢者において頻繁に認められる疾患ではないが、高齢片頭痛患者に対する予防的治療は、さまざまな併存疾患に対する多剤併用による治療が行われていることを考えると、より困難である場合が少なくない。また、高齢片頭痛患者に対する予防的治療の有効性、安全性、忍容性に関するエビデンスは、限られている。米国・トーマスジェファーソン大学のStephanie J. Nahas氏らは、反復性片頭痛(EM)または慢性片頭痛(CM)を有する60歳以上の臨床試験参加者を対象に、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的に作用するヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの有効性、安全性、忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年11月24日号の報告。

日本におけるコミュニティレベルの学力と認知症リスク

 コミュニティレベルの学力と認知症リスクとの関連は、あまり知られていない。浜松医科大学の高杉 友氏らは、認知症発症リスクに対し、コミュニティレベルでの低学歴の割合が影響を及ぼすかについて、検討を行った。また、都市部と非都市部における潜在的な関連性の違いについても、併せて検討した。BMC Geriatrics誌2021年11月23日号の報告。  日本老年学的評価研究(JAGES)より、2010~12年にベースラインデータを収集し、6年間のプロスペクティブコホートを実施した研究のデータを分析した。対象は、7県16市町村のコニュニティ346ヵ所の身体的および認知機能的な問題を有していない65歳以上の高齢者5万1,186人(男性:2万3,785人、女性:2万7,401人)。認知症発症率は、日本の介護保険制度から入手したデータを用いて評価した。教育年数を9年以下と10年以上に分類し、個々の学力レベルをコミュニティレベルの独立変数として集計した。共変量は、まず年齢および性別を用い(モデル1)、次いで収入、居住年数、疾患、アルコール、喫煙、社会的孤立、人口密集度を追加した(モデル2)。欠落データに対する対処として、複数の代入を行った。コミュニティおよび個人における2つのレベルでの生存分析を実施し、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。