神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:50

若年性認知症の診断5年前からみられる症状

 若年性認知症には多くの根本的な病因があり、初期症状の不均一性が大きいといわれている。そのため、一般開業医が若年性認知症を発見することは困難である。オランダ・マーストリヒト大学のStevie Hendriks氏らは、若年性認知症の診断前段階でみられる一般的な初期症状の特定を試みた。その結果、若年性認知症患者では診断5年前より異なる症状が認められるが、各症状は他疾患においても認められるため、一般開業医が若年性認知症を鑑別診断することは容易ではないとしながらも、症状カテゴリーの組み合わせにより、若年性認知症を検知できる可能性が示唆されたことを報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年5月13日号の報告。

コロナ罹患後症状、中年者に多い/厚労省アドバイザリーボード

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究2題が報告された。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していた。  また、もう一方の長期合併症の実態把握と病態生理解明の研究では、12ヵ月後でも疲労感、呼吸困難、筋力低下、集中力低下などの症状が続いていた。

出張血管内治療方式では血栓回収術を開始するまでの時間が大幅に短縮された(解説:高梨成彦氏)

急性期脳梗塞患者を1次脳卒中センターから血栓回収術が可能な施設へ搬送する群(transfer group)と、治療チームを1次脳卒中センターに空輸する群(flying team group)において、治療に要する時間と機能予後を比較した試験である。2つの医療システムを比較するには地域の特性に影響されることが免れないが、同一地域で1週間ごとにシステムを変えることでこれを可能にしている。結果としてflying team groupにおいて治療方針の決定から穿刺までの時間が短く(58分 vs.148分)、また発症から再開通までの時間も短く(243分 vs.340分)、いずれも大きな差がついた。

コロナ罹患後症状を大規模調査、成人の2割以上が発症/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)が実施したコロナ罹患後症状(post-COVID、いわゆる後遺症)についての約200万人の大規模調査によると、急性肺塞栓症や呼吸器症状の発症リスクが2倍となり、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1人が、コロナ罹患後症状と考えられる症状を1つ以上発症しているという。研究結果は、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年5月27日号に掲載されている。

米国における片頭痛治療開始患者に対するフレマネズマブの有効性

 成人の片頭痛予防に承認されている、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を選択的標的としたヒト化モノクローナル抗体(IgG2Δa)フレマネズマブの有効性および忍容性は、ランダム化二重盲検比較プラセボ対照試験で実証されている。リアルワールドでのデータはこれら臨床試験のデータを支持しており、フレマネズマブの臨床的ベネフィットは明らかになっている。オランダ・Teva PharmaceuticalsのMaurice T. Driessen氏らは、実臨床診療に従って治療された成人片頭痛患者の臨床アウトカム改善に対するフレマネズマブの有効性を評価するため、チャートレビューを実施した。その結果、実臨床において、投与レジメンや過去の片頭痛予防治療の失敗数にかかわらず、最大6ヵ月間のフレマネズマブ治療の有効性が確認されたことを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2022年4月11日号の報告。

アルツハイマー病の脆弱性と出生した季節との関係

 愛知・国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、高齢のアルツハイマー病(AD)患者において、患者の出生した季節がADの病理学的脆弱性に及ぼす影響を評価するためPETを用いた検討を行った。その結果、秋冬に出生した人は、春夏に出生した人と比較し、タウ蓄積が少ないことが明らかとなった。これは、秋冬に出生した人のタウ病理に対する脆弱性を示唆しており、寒い季節関連のリスク因子による周産期または出生後の脳損傷が影響している可能性があるという。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年4月26日号の報告。

片頭痛患者の最も厄介な症状

 片頭痛の急性期治療の臨床試験において、最近、最も厄介な症状が主要なエンドポイントとして推奨されるようになっている。ほとんどの臨床試験や観察研究は欧米で実施されているが、最も厄介な症状として挙げられているのは羞明である。台湾・国立成功大学のYi-Hsien Tu氏らは、台湾の片頭痛患者の大規模サンプルにおける最も厄介な症状の分布、臨床的関連、治療反応について調査を行った。その結果、台湾の片頭痛患者における最も厄介な症状は、悪心、音声恐怖、羞明の順であったが、最も厄介な症状と片頭痛の治療反応率は類似しており、片頭痛の急性期治療のアウトカム指標と最も厄介な症状が関連していることが報告された。Headache誌オンライン版2022年4月25日号の報告。

アルツハイマー病に対する抗認知症薬の安全性・有効性の比較~ネットワークメタ解析

 カナダ・トロント大学のAreti Angeliki Veroniki氏らは、アルツハイマー病(AD)のマネジメントにおいて、患者の特徴による抗認知症薬の有効性および安全性について、比較検討を行った。その結果、抗認知症薬の治療選択において、患者の特徴を十分に考慮する必要があることを報告した。BMJ Open誌2022年4月26日号の報告。  システマティックレビューおよび患者個々のデータ(IPD)を集めたネットワークメタ解析(NMA)を実施した。MEDLINE、Embase、Cochrane Methodology Register、CINAHL、AgeLine、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した(~2016年3月)。成人AD患者2万1,138例を含む80件のRCTおよび6,906例のIPDを含む12件のRCTが抽出された。治療内容は、抗認知症薬(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン)の単独または他の抗認知症薬やプラセボとの併用であった。著者、スポンサー、データ提供プラットフォームにIPDの提供を依頼した。IPDが利用できない場合には、集計データを用いた。研究の質の評価には、Cochraneのバイアスリスクツールを用いた。2段階ランダム効果IPD-NMAを実施し、結果の評価にはCINeMA(Confidence in Network Meta-Analysis)を用いた。主要アウトカムおよび副次アウトカムは、ミニメンタルステート検査(MMSE)による認知機能の評価および有害事象とした。

非都市部の脳卒中治療、ヘリでのドクター派遣が有益/JAMA

 ドイツ非都市部の脳卒中医療センターネットワークにおいて、急性虚血性脳卒中患者への脳血管内血栓除去術(EVT)実施の決定から施行までの経過時間を検討したところ、ヘリコプターで医師らを現地に派遣するほうが、患者を別の医療機関に移送するよりも約1時間半、短縮できることが示され、3ヵ月後の機能性アウトカムに有意差はなかったという。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのGordian J. Hubert氏らが、約160例の患者を対象に行った非盲検非無作為化比較試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中へのEVTの有益性は時間に依存しており、遠隔地患者への治療推進は困難とされている。今回の結果を踏まえて著者は、「長期的な転帰を確認し、地理的条件への適用を明らかにするさらなる検討は必要だが、脳卒中治療システムにフライング治療チームを取り入れる検討をすべきことが示された」と述べている。JAMA誌2022年5月5日号掲載の報告。

片頭痛と胃腸疾患との関係

 片頭痛は世界中に蔓延している疾患であり、最近の研究によると、胃腸疾患患者において片頭痛の発症率が増加しているとされている。また、前臨床でのエビデンスでは、消化管神経系と脳腸軸などの中枢神経系との双方向性の関係が示唆されている。韓国・同徳女子大学校のJemin Kim氏らは、主要な胃腸疾患と片頭痛との関連を明らかにするため、検討を行った。その結果、胃腸疾患と片頭痛との間に統計学的に有意な関連が認められ、この関連は胃腸疾患の数が多い患者や、片頭痛の予防と急性期治療の両方で片頭痛治療薬を使用している患者において、強い相関が認められることが報告された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年3月28日号の報告。