認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/10/05 認知症患者の治療では、問題行動や精神症状をコントロールするために抗精神病薬が処方されることもある。英国における認知症患者の死亡数に関する報告によると、抗精神病薬の処方と関連付けられた認知症患者の年間死亡数は約1,800名といわれている。英国のChild氏らは、認知症患者に対する抗精神病薬処方を制限することの意義について検討を行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年9月25日号の報告。 本研究は、メドウェイのプライマリケアトラスト(PCT)におけるプライマリケア施設で実施された。2つのステージによる介入を行った。まず、抗精神病薬が処方されている認知症患者を特定するため、薬剤師がプライマリケア情報システム(認知症登録を含む)を検索した。次に、プライマリケア医により抗精神病薬が処方された認知症患者の対象薬剤のレビューを行うため、専門薬剤師がデータ検索で特定した。 主な結果は以下のとおり。 ・59施設の認知症登録患者1,051例のうち、低用量の抗精神病薬が処方されていた患者は161例(15.3%)であった。 ・グループホームなどに入居している認知症患者は、自宅で生活している方と比較し、抗精神病薬の処方率が約3.5倍高かった(25.5%[118/462] vs 7.3%[43/589]、p<0.0001[Fisherの正確確率検定])。 ・認知症患者に対し低用量の抗精神病薬処方を行っていなかった施設は26件だった。 ・低用量の抗精神病薬が処方されていた161例のうち、91例は治療中に精神保健サービス等に参加していた。残りの70例について、薬局主導で抗精神病薬の処方を見直した結果、43例(61.4%)で中止または減量することができた。 関連医療ニュース ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・AD患者におけるパッチ剤切替のメリットは? (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Child A, et al. BMC Psychiatry. 2012 Sep 25; 12(1):155. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] Dr.たけしの本当にスゴい高齢者身体診察(2019/05/15) J-COSMO(ジェイ・コスモ)Vol.1 No.1(2019/04/17) Dr.林の笑劇的救急問答14<上巻>(2019/03/15) 志水太郎の診断戦略ケーススタディ(2019/02/15) Dr.長尾の胸部X線クイズ 上級編 (2019/01/15) Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡 (2018/12/15) 医師が選んだ"2018年の10大ニュース"! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】(2018/11/29) 慢性便秘症特集まとめインデックス(2018/12/01) 肩腰膝の痛みをとる Dr.究のあなたもできるトリガーポイント注射 (2018/11/15)