ALS、前頭側頭型認知症に小脳の萎縮が関与

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/03

 

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)と前頭側頭型認知症(bvFTD)は、認知・神経精神学的症状および運動症状が重複して現れる多系統の神経変性疾患である。この10年の間、認知および神経精神症状の発現過程に小脳の構造が関連するというエビデンスが示されているものの、長い間、小脳は正常な運動機能に重要なものとして知られてきた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRachel H. Tan氏らは、ALSとbvFTD患者の小脳領域の状況を明らかにし、特定の小脳萎縮領域が、両疾患に重複してみられる認知症状、神経精神および運動症状と関連しているか否かを検討した。その結果、ALS-bvFTDスペクトラムに小脳が重要な役割を担っており、ALS、ALS-bvFTD、bvFTDという3つの表現型すべてにおいて、それぞれが呈する症候と関連する小脳領域の萎縮が認められることを報告した。PLoS One誌オンライン版2014年8月21日号の掲載報告。

 研究グループは、ALS-bvFTD患者の小脳領域の状況を明らかにし、特定の小脳萎縮領域が認知、神経精神および運動症状と関連しているか否かを把握するため検討を行った。ALS、ALS-bvFTD、bvFTDと診断された78例(大半はC9ORF72遺伝子異常なし)と健常対照を対象とし、認知、神経精神および機能の評価とともに、小脳小葉、小脳虫部、小脳脚の灰白質区域に関してvoxel-based morphometry(VBM)を用いた画像検査を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・VBM解析により、ALS-bvFTD患者全体を通して小脳に有意な灰白質萎縮が認められた。
・bvFTD患者では、上小脳脚において萎縮が優勢であった。
・ALS患者では、下頭頂小脳と小脳虫部において萎縮が優勢であった。
・ALS-bvFTD患者では、両方のパターンの萎縮が確認された。
・Post-hoc共分散分析により、認知および神経精神症状はとくに小脳脚および上小葉の萎縮と関連していること、一方、運動症状は下頭頂小葉の萎縮とより関連していることが示された。
・以上より、ALS-bvFTDスペクトラムに小脳は重要な役割を担っていることが示唆された。また、3つの表現型すべてがそれぞれの症候と関連する小脳領域の萎縮パターンを呈した。

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(ケアネット)