新規経口抗凝固薬の眼内出血リスク、従来薬との比較

提供元:ケアネット

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公開日:2015/08/12

 

 新しい経口抗凝固薬(NOAC)は、ほとんどの血栓形成予防において標準療法に対し非劣性であることが認められているが、安全性プロファイルには差があり、とくに眼内出血のリスクについてはほとんどわかっていない。ポルトガル・分子医学研究所のDaniel Caldeira氏らは、NOACに関連した重大な眼内出血のリスクを評価する無作為化比較試験のメタ解析を行った。その結果、NOACと他の抗血栓薬とで重大な眼内出血のリスクに差はないことを報告した。ただしイベント数が少ないため、「NOACの安全性プロファイルをよりよく特徴づけるためには、眼科の日常的な臨床診療下で患者をモニターする大規模なデータベースから追加の研究がなされるべきである」とまとめている。JAMA Ophthalmology 2015年7月号の掲載報告。

 研究グループは、MEDLINE、Cochrane Library、SciELO collectionおよびWeb of Science databasesを用いて2014年11月までの論文を検索するとともに、他のシステマティックレビューや規制当局の資料も調べた。

 対象は、NOACのすべての第III相無作為化比較試験(RCT)で眼内出血イベントについて報告されているものとし、2人の研究者が独立してデータを抽出した。

 メタ解析にはランダム効果モデルを用い、試験の異質性はI2統計量で評価するとともに、重大な眼内出血については統合リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出して評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・17件のRCTがメタ解析に組み込まれた。
・心房細動患者において、NOACはビタミンK拮抗薬と比較し重大な眼内出血のリスクに差はないことが確認され(RR:0.84、95%CI:0.59~1.19、I2=35%、RCT5件)、アセチルサリチル酸と比較してもリスクの増加は認められなかった(RR=14.96、95%CI:0.85~262.00、RCT1件)。
・静脈血栓塞栓症患者において、NOACは低分子ヘパリン+ビタミンK拮抗薬と比較し重大な眼内出血のリスクは増加しないことが確認された(RR=0.67、95%CI:0.37~1.20、I2=0%、RCT5件)。
・整形外科手術を受けた患者においても、NOACと低分子ヘパリンとで差はなかった(RR=2.13、95%CI:0.22~20.50、I2=0%、RCT5件)。

(ケアネット)