日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤の多施設二重盲検ランダム化比較試験

クエチアピンフマル酸塩は、さまざまな精神疾患に適応を有する非定型抗精神病薬であるが、日本人双極性うつ病患者に対する研究は行われていなかった。CNS薬理研究所の村崎 光邦氏らは、日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤(XR)の有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月1日号の報告。
双極I型障害または双極II型障害を有する日本人成人患者431例を対象とした多施設二重盲検ランダム化プラセボ対照固定用量試験を実施した。効果判定には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアのベースラインからの平均変化量を分析した。副次的エンドポイントは、MADRSの治療反応率および寛解率、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床的全般改善度-双極性障害(CGI-BP)スコアとした。安全性は、有害事象および臨床評価をモニタリングすることで評価した。
主な結果は以下のとおり。
・クエチアピンXR300mg/日単独療法群では、プラセボ群と比較し、8週間後のMADRS総スコアの統計学的に有意な大幅減少が認められた(-12.6 vs.-10.1、p=0.034)。
・MADRSの治療反応率(44.1% vs.35.6%)、寛解率(38.0% vs.26.6%)ならびにHAM-D17スコア、CGI-BPスコアにおいても、プラセボ群と比較し、改善が認められた。
・サブグループ解析において、プラセボ群と比較したMADRS総スコアの調整平均変化量は、双極I型障害患者で-2.3、双極II型障害患者で-2.1であった。
・有害事象の発生は、クエチアピンXR300mg/日群149例(83.2%)、プラセボ群81例(45.8%)であった。
・最も一般的な有害事象は、眠気および口渇であり、以前に報告された安全性プロファイルと同様であった。
著者らは「クエチアピンXRによる1日1回の単独療法は、日本人双極性うつ病患者に対し効果的かつ忍容性に優れた治療法である」としている。
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