オランダ・アムステルダム自由大学のRuth van Nispen氏らは、訪問看護師(home healthcare nurse)によって在宅医療を受けた、在宅フレイル高齢者の眼科スクリーニングを調査した。その結果、対象者の60%が眼科的問題を抱えており、その多くは眼科医に認識されていたものの、20%超の患者は眼科的問題について医師らに認識されていなかった。著者は、「訪問看護師による基本的な眼科スクリーニングは、年齢に関連した視力低下の負担を減らす有用な手段となり、回避可能な失明を削減し、WHOのVISION 2020イニシアチブに貢献する可能性がある」と述べている。また、「重要な健康アウトカムは、視覚障害を有することと明らかな関連はなく、むしろ一般的な健康問題と関連していると考えられる」とも結論付けている。Acta Ophthalmologica誌オンライン版2018年10月27日号掲載の報告。
研究グループは、在宅で訪問看護師の支援を受けている高齢者において、年齢に関連する眼疾患の有病率、診療所医師(GP)への紹介、視力低下と健康アウトカムとの関連性などについて検討する目的で、横断研究を行った。
訓練を受けた訪問看護師が、VISION 2020 Netherlandsでデザインされたスクリーニング(視力、視野障害など)を用い、151例の在宅患者(平均年齢80歳、範囲:50~96歳)の矯正視力も含めた眼のスクリーニングを実施し、健康アウトカムについてアンケートで評価した。
主な結果は以下のとおり。
・遠見視力が0.3以下の患者の割合は、片眼で20.5%、両眼で19.9%であった。
・近見視力が0.4以下の患者の割合は、それぞれ17.7%、33.3%であった。
・黄斑の機能障害は片眼で21.5%、両眼で8.3%、周辺視野の問題はそれぞれ11.4%、7.9%であった。
・GP受診を提案された患者は21.5%で、GPまたは眼科医に眼の問題がすでに認識されていた割合は40%であった。
・健康問題は顕著に認められたが(骨折8.6%、うつ22%、不安症18%)、視力低下と患者報告の健康アウトカムとの間に有意な関連はなかった。
(ケアネット)