治療抵抗性うつ病のリスク因子を明らかにすることは、メカニズムやリスクを有する患者を特定するために、役立つであろう。しかし、さまざまなリスク因子が治療抵抗性うつ病とどのように関連しているかは、よくわかっていない。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのFrederikke Hordam Gronemann氏らは、治療抵抗性うつ病と社会人口統計学的および臨床的なリスク因子との独立した関連性について、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年1月15日号の報告。
1996~2014年にデンマークの全国患者登録システム(DNPR)より抽出したうつ病患者19万4,074例を対象に、診断後12ヵ月間治療抵抗性うつ病のフォローアップを行った。社会人口統計学的および臨床的なリスク因子は、全国レジストリより抽出した。競合死亡リスクの分析には、Cox比例ハザード回帰モデルおよびFine-Grayモデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・治療抵抗性うつ病の強いリスク因子は、以下のとおりであった。
●再発性うつ病(調整ハザード比[aHR]:1.17、95%CI:1.14~1.20)
●うつ病重症度(aHR:2.01、95%CI:1.95~2.08)
●精神科病棟への入院(aHR:2.03、95%CI:1.96~2.10)
・治療抵抗性うつ病の発生率との関連が認められたのは、以下のとおりであった。
●65~84歳(aHR:1.96、95%CI:1.83~2.10)
●失業(aHR:1.12、95%CI:1.08~1.16)
●同居(aHR:1.27、95%CI:1.23~1.30)
●不安症合併(aHR:1.18、95%CI:1.10~1.27)
●不眠症合併(aHR:1.27、95%CI:1.06~1.51)
●片頭痛合併(aHR:1.42、95%CI:1.16~1.73)
●向精神薬の使用
・本研究の限界として、入院中の薬物治療に関する情報が得られなかった点、症状の重症度や治療反応をより正確に評価するための評価尺度に関する情報が不足していた点があげられる。
(鷹野 敦夫)