切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法のPD-L1発現別転帰(PACIFIC)/Ann Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/15

 

 PACIFIC試験では、化学放射線療法(CRT)後に進行しない切除不能なStageIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、デュルバルマブはプラセボと比較して生存(PFSおよびOS)を大幅に改善した。探索的分析である腫瘍細胞(TC)PD-L1発現別の結果を含む、調査期間中央値3.3ヵ月の追跡結果が発表された。

・対象:CRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者
・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)
・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定によるPFS、OS
[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。

 主な結果は以下のとおり。

・合計713例の患者が2:1に無作為に割り当てられ、709例が各群の治療を受けた(デュルバルマブ473例、 プラセボ236例)。
・PD-L1評価可能症例は451例(63%)あった。その内訳は、TC≧25%以上35%、<25%は65%(<1% 33%、1〜24% 32%)であった。
・PFSは(一次分析データカットオフ2017年2月13日)、すべてのサブグループで、プラセボと比較べ、デュルバルマブで改善した([TC≧25%]HR:0.41、95%CI:0.26〜0.65、17.8対3.7ヶ月、[TC<25%]0.59、0.43〜0.82、16.9対6.9ヵ月、[≧1%]0.46、0.33〜0.64、17.8対5.6ヵ月、[1%〜24%]0.49、0.30〜0.80、NR対9.0ヵ月、[<1%]0.73、0.48〜1.11、10.7対5.6ヵ月、[不明]0.59、0.42〜0.83、14.0対6.4ヵ月)。
・OSは(データカットオフ2019年1月31日)、1%を除くすべてのサブグループにおいてデュルバルマブ群で改善した。([TC≥25%]HR:0.50、95%CI:0.30〜0.83、NR対21.1ヶ月[<25%]0.89、0.63〜1.25、39.7対37.4ヵ月、[≧1%]0.59、0.41〜0.83、NR対29.6ヵ月、[1%〜24%]0.67、0.41〜1.10、43.3対30.5ヵ月、[<1%]1.14、0.71〜1.84、33.1対45.6ヵ月[不明]0.60、0.43〜0.84、44.2対23.5ヵ月)。
・安全性はサブグループ間で類似していた。

 デュルバルマブによるPFSはPD-L1にかかわらず改善がみられ、OSはTC1%を除くすべてのサブグループでOSの改善がみられた。

(ケアネット 細田 雅之)