重度の統合失調症患者の治療は、複雑で費用がかかることがある。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのNicole Meade氏らは、重度の統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの短期および長期的な影響について評価を行った。Journal of Psychopharmacology誌2020年8月号の報告。
6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験3件、52週間のオープンラベル拡張試験2件よりデータをプールした。短期研究では、統合失調症患者1,405例を対象にブレクスピプラゾール2~4mg/日またはプラセボを投与し、そのうちブレクスピプラゾール治療患者の412例が長期研究へ移行し、ブレクスピプラゾール1~4mg/日を投与した。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコア95超(ベースライン時の中央値スコア)を、より重度な症状として定義した。アウトカムは、PANSS合計スコアおよび個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)スコアの変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・より重度な統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール治療により、6週間にわたってPANSS合計スコアおよびPSPスコアの改善が認められた。プラセボに対する最小二乗平均差は、それぞれ以下のとおりであった。
●PANSS:-6.76(95%信頼限界:-9.80~-3.72、p<0.0001、Cohen's d:0.43)
●PSP:4.38(95%信頼限界:2.14~6.62、p=0.0001、Cohen's d:0.38)
・PSPは、「セルフケア」領域で最も大きく改善し、次いで「個人的・社会的関係」領域で改善が認められた。
・重度でない統合失調症患者においても、ブレクスピプラゾール治療はプラセボと比較し、6週の時点でPANSS合計スコアおよびPSPスコアの改善が認められ、58週にわたって改善効果は維持された。
・新たな安全性または忍容性に対する懸念は観察されなかった。
著者らは「ブレクスピプラゾール治療は、症状の重症度にかかわらず、統合失調症患者に対し効果的かつ忍容性の高い治療法である」としている。
(鷹野 敦夫)