治療抵抗性うつ病発症リスクに関連する臨床的特徴と併存疾患

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/16

 

 うつ病患者の治療抵抗性うつ病(TRD)リスクを評価するため、臨床的特徴、初期の処方パターン、初期および生涯の併存疾患との関連について、台湾・国立台湾大学のShiau-Shian Huang氏らが調査を行った。BMC Psychiatry誌2020年11月17日号の報告。

 うつ病入院患者3万1,422例を対象に、診断開始から10年以上のフォローアップを行った。TRDの定義は、2回以上の抗うつ薬治療レジメン変更または異なる2種類以上の抗うつ薬治療後の入院とした。人口統計学的共変量で調整した後、身体的および精神医学的併存疾患、精神疾患、処方パターンとTRDリスクとの関連を評価するため、多重ロジスティック回帰モデルを用いた。重要なTRD関連の臨床変数について、生存分析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・女性うつ病患者(21.24%)は男性(14.02%)よりも、TRDの割合が高かった。
・TRD患者は、非TRD患者と比較し、初期の不安症が認められる割合が高かった(81.48% vs.58.96%、p<0.0001)。
・人口寄与割合(population attributable fraction)が最も高かったのは、生涯不安症であった(42.87%)。
・複数の精神医学的併存疾患を有する患者の70%は、フォローアップ期間中にTRDへ進展した。
・Cox回帰分析により、機能性胃腸症がTRDリスクを有意に増加させることを特定した(aHR:1.19)。
・うつ病初期における抗うつ薬、ベンゾジアゼピン薬、Z薬の高用量使用は、TRDリスク増加と関連が認められた(p<0.0001)。

 著者らは「TRDリスクと関連するうつ病患者の併存疾患や多剤併用パターンは、注意深くモニタリングする必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)