従来の統合失調症ガイドラインは、臨床的に重要な問題を解決するための方法を必ずしも提供しているわけではない。慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、精神科専門医を対象に、統合失調症の治療オプションに関する調査を行った。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2021年1月12日号の報告。
日本臨床精神神経薬理学会の認定精神科医141人を対象に、統合失調症治療における19の臨床状況について、9段階で治療オプションの評価を行った(同意しない「1」~同意する「9」)。
主な結果は以下のとおり。
・抗精神病薬の第1選択薬は、主要な症状により以下のように異なっていた。
【陽性症状】
●リスペリドン:7.9±1.4
●オランザピン:7.5±1.6
●アリピプラゾール:6.9±1.9
【陰性症状】
●アリピプラゾール:7.6±1.6
【抑うつ、不安症状】
●アリピプラゾール:7.3±1.9
●オランザピン:7.2±1.9
●クエチアピン:6.9±1.9
【興奮、攻撃性】
●オランザピン:7.9±1.5
●リスペリドン:7.5±1.5
・顕著な症状のない患者の再発予防に対する第1選択薬として、アリピプラゾール(7.6±1.0)が選択された。
・社会的統合のために選択された薬剤は、アリピプラゾール(8.0±1.6)、ブレクスピプラゾール(6.9±2.3)であった。
・錐体外路症状の懸念がある患者に対する第1選択薬は、クエチアピン(7.5±2.0)、アリピプラゾール(6.9±2.1)であった。
著者らは「これらの臨床的推奨は、特定の状況における特定の抗精神病薬使用に関する専門医のコンセンサスを表しており、エビデンスとの間の現在のギャップを補完するものであろう」としている。
(鷹野 敦夫)