早期乳がん、タキサンへのアントラサイクリン追加のベネフィットとリスク~メタ解析/SABCS2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/17

 

 早期乳がんに対するタキサンとアントラサイクリンをベースとした化学療法は、アントラサイクリンによる心毒性と白血病リスク増加の懸念から、アントラサイクリンを含まないレジメン、とくにドセタキセル+シクロホスファミド(DC)が広く使用されている。アントラサイクリン併用のベネフィットとリスクは複数の無作為化試験で検討されているが、結果が一致していない。今回、Early Breast Cancer Trialists Collaborative Group(EBCTCG)が、2012年以前に開始された16件の無作為化比較試験から約1万8,200例のデータのメタ解析を実施した。その結果、アントラサイクリン併用で、乳がん再発リスクが相対的に15%減少し、また同時投与レジメンで最大の減少がみられたことを、英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。

・比較試験の種類:
(A)アントラサイクリン+DC同時投与6サイクル vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が両群で同じ)3試験
(B)アントラサイクリン/タキサン逐次投与 vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が併用群で少ない)8試験
(C)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン±カペシタビン3試験
(D)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン+カルボプラチン2試験
・主要評価項目:再発率、乳がんによる死亡率

 主な結果は以下のとおり。

・全試験でのメタ解析では、タキサンに対するタキサン+アントラサイクリンでの再発リスクの相対的減少は15%(RR:0.85、95%CI:0.78~0.93、2p=0.0003)、10年での絶対的減少は2.5%(95%CI:0.9~4.2)だった。乳がん死亡リスクの相対的減少は13%(RR:0.87、95%CI:0.78~0.98、2p=0.02)、10年での絶対的減少は1.6%(95%CI:0.1~3.1)だった。
・再発リスクの相対的減少は、アントラサイクリン同時投与の有無による比較(A)で42%(RR:0.58、95%CI:0.43~0.79)と最大だった。一方、アントラサイクリン/ドセタキセル逐次投与とDCの比較(B、ドセタキセル累積投与量が併用群で少ない)では、アントラサイクリン併用による有意なベネフィットはなかった(RR:0.92、95%CI:0.78~1.09)。
・再発率の相対的減少について、エストロゲン受容体の発現状況やリンパ節転移の個数による違いはなかった。
・心血管疾患や白血病による死亡の有意な増加は示されなかった(長期フォローアップが必要)。

(ケアネット 金沢 浩子)