早期乳がんの術後パルボシクリブ、PPI併用の影響は?(PALLAS)/ESMO Open

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/14

 

 抗がん剤とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用は薬物相互作用を引き起こし、抗がん剤の効果に影響を及ぼす可能性がある。今回、ベルギー・Hopital Universitaire de BruxellesのElisa Agostinetto氏らは、HR+/HER2-早期乳がんの術後補助内分泌療法へのパルボシクリブ追加を検討した第III相PALLAS試験の探索的解析として、パルボシクリブ投与患者においてPPI併用が生存転帰に影響するかどうかを検討し、ESMO Open誌2025年1月号に報告した。

 PALLAS試験では主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(iDFS)は改善しなかったことが報告されている。今回の探索的解析は、パルボシクリブを1回以上投与された患者を対象に、PPI併用とiDFS、無遠隔再発生存期間(DRFS)、全生存期間(OS)との関連を明らかにすることを目的とした。さらにPPI使用と好中球減少症との関連も調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・パルボシクリブ+内分泌療法を受けた2,840例中525例(18.5%)にPPIが併用されていた。
・PPI投与は、高齢、閉経後、アロマターゼ阻害薬の使用、肥満度の高さ、PSの悪化と有意に関連していた(すべてp<0.001)。
・PPI併用は、iDFS、DRFS、OSとの有意な関連は示されなかった。
・好中球減少症発現割合(全Grade)は、試験開始前にPPIを開始した患者ではPPIを開始しなかった患者と比べて数値的に低かった(調整オッズ比:0.81、95%信頼区間:0.60~1.09)。

 著者らは「今回の探索的解析において、パルボシクリブとPPIを併用した患者における生存転帰の悪化は示されなかった。とはいえ、とくに早期乳がんにおける新規薬剤の研究においては、可能性のある薬物相互作用を注意深く考慮することが重要」と提言している。

(ケアネット 金沢 浩子)