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若年女性のがんサバイバーの多くが性の問題に直面

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/10/21

 

 若い女性のがんサバイバーの多くが、性欲の減退や不快感といった性に関する問題を抱えている実態が、ウプサラ大学(スウェーデン)のLena Wettergren氏らの研究から明らかになった。がんサバイバーの女性の性生活の質には、その女性が経験したがんの種類や治療の強度が影響することも分かった。この研究の詳細は、「Acta Oncologica」に9月29日掲載された。Wettergren氏は、「この研究は、がんを経験した若年女性の性機能に関する集団ベースの研究として、これまでで最大規模のものの一つだ」と説明している。

 この研究では、2016年1月から2017年8月までの間にがんの診断を受けた18~39歳(平均年齢35歳)の女性694人を、診断の1年半後(診断から平均で465日後)に調査した。がん診断例はスウェーデンの医療レジストリを用いて同定した。対象者の約半数(349人)は乳がんサバイバーで、その他の女性は子宮頸がん、脳腫瘍、悪性リンパ腫、卵巣がんのサバイバーだった。また、「極めて高度(very)」または「最大(most)」に分類される強度や範囲の治療を受けた女性が対象者の53%(それぞれ、51%、2%)を占めていた。

 調査では、対象者に過去1カ月間の性生活に関連する8つのトピックに関する質問に回答してもらった。具体的には、満足度、関心、不快感、性行為に伴う痛み、オーガズムを感じるかどうかなどであった。また、パートナーとセックスしていない理由やボディーイメージ、精神的苦痛に関する質問にも回答してもらった。調査で得られたがんサバイバーの女性の回答を、がんの経験がない19~40歳の女性からランダムに抽出した493人の回答と比較した。

 その結果、過去1カ月間に性行為を経験した女性の割合は、がんサバイバーの女性で83%、がんの経験のない女性で87%と同程度であることが明らかになった。しかし、性に関する問題を経験している割合は、がんサバイバーの女性の方が有意に高いことが示された。

 例えば、がんサバイバーの女性では、セックスへの関心が失われたと報告した女性の割合が45%、オーガズムに達することが困難だと報告した女性の割合が34%、性生活における満足度の低さを報告した女性の割合が22%だった。一方、がんの経験のない女性でこの回答をした人の割合は、同順で32%、28%、12%だった。また、がんサバイバーの女性の63%が、外陰部の不快感や膣の乾燥などの性の問題を一つ以上抱えていることを報告していた(がんの経験のない女性では53%)。

 さらに、より年齢が高いがんサバイバーの女性や、乳がんまたはその他の婦人科がんのサバイバーの女性は、特に性に関する問題を抱えるリスクが高いことも明らかになった。同リスクは特に、高度の放射線治療や化学療法を受けたがんサバイバーで高かった。このほか、がん治療後の精神的苦痛や自分の身体に対するゆがんだ認識は、性機能障害の増大に関連することも示された。

 Wettergren氏は「Acta Oncologica」のニュースリリースで、「われわれの研究から、がんサバイバーの女性の3人中2人が性機能障害を経験していたこと、そうした性に関する問題はがんの治療や精神的苦痛に関係していることが明らかになった」と説明。その上で、「この研究結果は、日常診療や経過観察の中で性の健康(セクシャルヘルス)の状態を評価する必要性を明確に示したものだ。カウンセリングなどの対策に加え、女性に向けた特異的な介入法の開発が望まれる」と述べている。

 若年成人期にがんと診断される女性は、世界で年間50万人以上に上るという。Wettergren氏らは医療従事者に対してホルモン補充療法や膣用の保湿剤、心理的カウンセリングなどの性の健康につながるサポートを行うことを強く勧めている。

[2022年10月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら