医療ミス多いのは?24h以上の長時間勤務 vs.16h以内の2交代制/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/07/02

 

 米国小児科研修医のICUローテーション中のスケジュールについて、24時間以上の長時間勤務のほうが、16時間以内の日中・夜間勤務を繰り返すスケジュールに比べ、研修医による重大な医療ミス発生率が低かったことが示されたという。ただし、実施した施設によるばらつきは大きかった。米国・ボストン小児病院のChristopher P. Landrigan氏らが行った、2パターンの勤務シフトを比較した多施設共同クラスター無作為化クロスオーバー試験の結果で、著者は「仮説に反する試験結果となった」と述べながら、要因として「各研修医が治療するICUの患者数は、長時間勤務でないスケジュール群のほうが多かった」ことに触れている。NEJM誌2020年6月25日号掲載の報告。

米国内6ヵ所の小児ICUで試験

 研究グループは2013年7月~2017年3月にかけて、米国内6施設の小児ICUを対象に試験を行った。小児科研修医のICUローテーション中のスケジュールについて、(1)24時間以上の勤務シフトを含む、長時間勤務スケジュール(対照群)、(2)16時間以内の日中・夜間勤務サイクルを繰り返すスケジュール(介入群)の2パターンを比較した。
 主要アウトカムは、研修医による重大な医療ミスとし、直接的な観察と診療録レビューなどの、強化サーベイランスにより評価を行った。

研修医の1人当たりの平均ICU患者数、介入群で約2人増

 比較した2種の勤務スケジュール期間の、ICU患者の特性は類似していた。一方で、研修医1人当たりの平均ICU患者数で表した研修医の仕事量は、対照群が6.7人(SD 2.2)に対し、介入群が8.8人(2.8)と多かった。

 研修医による重大な医療ミス発生率は、対照群79.0件/1,000患者日に対し、介入群が97.1件/1,000患者日と高率だった(相対リスク[RR]:1.53、95%信頼区間[CI]:1.37~1.72、p<0.001)。

 ICUユニット全体の重大な医療ミスについても、対照群131.5件/1,000患者日に対し、介入群が181.3件/1,000患者日と高率だった(RR:1.56、95%CI:1.43~1.71)。

 なお、研修医による重大な医療ミス発生率については施設間のばらつきが大きく、医療ミス発生率が介入群で対照群より低かったのは1施設、同等だったのは2施設、高かったのは3施設だった。

 研修医1人当たりの患者数を交絡因子として補正後、介入群と医療ミス発生率増大には関連が認められなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

専門家はこう見る

コメンテーター : 野間 重孝( のま しげたか ) 氏

栃木県済生会宇都宮病院 院長

J-CLEAR評議員