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うつ病へのECT、ケタミン併用の検討が進行

 英国・ニューカッスル大学のLiam Trevithick氏らは、うつ病に対する電気ショック療法(ECT)時にケタミンを併用することで、ECT後に認められる認知機能への影響を軽減しうるか否かを明らかにする多施設無作為化プラセボ対照二重盲検試験「ケタミン-ECT試験」を計画している。今回、その試験概要を報告した。試験について著者らは、「本研究は、補助的ケタミンをNHS臨床診療におけるうつ病に実施するECTにルーチンで適用すべきかどうかに関する、重要なエビデンスを提供するものになると思われる」と述べている。BMC Psychiatry誌2015年10月21日号の掲載報告。

線維柱帯切除は緑内障に対し有用

 日本緑内障学会により濾過胞感染に関する前向き多施設研究が行われている。広島大学の杉本 洋輔氏らは、その1つである「濾過胞感染発生率と治療に関する多施設共同研究(CBIITS)」において、線維柱帯切除術の有効性および安全性について解析。マイトマイシンC併用線維柱帯切除術後5年にわたり眼圧低下が得られ、線維柱帯切除術は有用な治療法であることを示した。手術成功率は、過去の緑内障手術回数、術前硝子体状態および術前眼圧などにより影響されることもわかった。Ophthalmology誌2015年11月号(オンライン版2015年9月26日号)の掲載報告。

統合失調症患者の不安症状はしばしば軽視されている

 統合失調症患者において不安症状の有症率は65%にも上り、併存するさまざまな不安障害(強迫性障害や心的外傷後ストレス障害を含む)の診断は転換期を迎えている。南アフリカ・ケープタウン大学のHenk Temmingh氏らは、統合失調症患者における不安症の臨床所見、診断、神経生物学および薬物治療についてレビューした。著者らは、「統合失調症患者の不安症状や不安障害の診断および治療はしばしば軽視されている」と警鐘を鳴らしている。CNS Drugs誌オンライン版2015年10月19日号の掲載報告。

EGFR-TKI耐性肺がんの再生検 その現状

 EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に有効な第3世代EGFR-TKIの登場で、耐性獲得後の遺伝子変異が治療方針に大きな影響を及ぼすこととなり、同時に耐性獲得時の再生検も重要性が増すことになる。再生検は、診断時生検に比べ手技的難易度が高いといわれるものの、その実施状況についての情報は少ない。そのような中、2015年11月26日から開催された第56回日本肺癌学会において、EGFR-TKI耐性NSCLCの再生検が大きく取り上げられた。

小児の乾癬発症、抗菌薬や感染症との関連は?

 抗生物質(抗菌薬)はヒトの微生物叢を破壊し、いくつかの小児の自己免疫疾患と関連している。一方、乾癬は、A群溶連菌およびウイルス感染と関連していることが知られている。米国・ペンシルベニア大学のDaniel B. Horton氏らは、抗菌薬治療や感染症が小児における偶発的な乾癬と関連しているかどうかを調べる目的で、コホート内症例対照研究を行った。その結果、感染症は小児の乾癬発症と関連しているが、抗菌薬は実質的にはそのリスクはないことを報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年11月11日号の掲載報告。

うつ病にEPAやDHAは有用なのか

 大うつ病性障害(MDD)に対するn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3PUFAs;オメガ3脂肪酸としても知られる)の有効性のエビデンスは、現時点では不明であるとする報告が、英国・ボーンマス大学のAppleton KM氏らにより発表された。プラセボを対照とした24件の試験および抗うつ薬治療を対照とした1件の試験、計25件の試験をレビューした結果、プラセボと比べうつ症状に対して低度~中等度のベネフィットがあること、抗うつ薬と同様の効果が得られることを示したが、いずれもエビデンスの質は非常に低いものであった。著者は、「今後さらなる検討が必要である」と指摘している。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年11月5日号の掲載報告。

COPD治療の新薬スピオルト レスピマット12月に発売

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)は2015年11月26日、慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤および長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)の効能・効果で薬価基準に収載されたスピオルト レスピマット28吸入(一般名:チオトロピウム臭化物水和物/オロダテロール塩酸塩製剤)(以下、スピオルト)を、12月3日に発売すると発表した。

再発・難治性多発性骨髄腫治療に対するcarfilzomibレジメン

 多種類の前治療歴を有する再発・難治性の多発性骨髄腫患者に対する治療選択肢は限られている。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJatin J Shah氏らは、carfilzomib+ポマリドミド+デキサメタゾンからなるCPD療法の治療レジメンを、多施設共同オープンラベル第I相用量漸増試験により評価した。Blood誌2015年11月12日号の報告。

C型慢性肝炎ジェノタイプ1型治療薬「ヴィキラックス配合錠」発売

 アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長 : ジェームス・フェリシアーノ)は、ジェノタイプ1型C型慢性肝炎ウイルス(HCV)に感染した成人患者(代償性肝硬変を含む)の治療薬として「ヴィキラックス配合錠」(オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合錠)を11月26日に発売した。ヴィキラックスの薬価は1錠26,801.20円。

遺伝子で抗うつ効果を予測可能か

 高齢者うつにおける抗うつ薬による寛解が、モノアミン系および代謝系経路の遺伝子発現プロファイルと関連していることを、オーストラリア・アデレード大学のHarris A. Eyre氏らが、ゲノムワイドの検討により明らかにした。検討は初となるパイロット試験であり、示された結果について著者らは「大規模なサンプルで再現する必要がある」と述べている。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2015年10月15日号の掲載報告。

重症再生不良性貧血患者へ、もう一度alloHSCTを行うべきか

 1998~2009年にEuropean Society for Blood and Marrow Transplantationに報告された、再同種造血幹細胞移植(alloHSCT)を実施した患者162例の結果を、イタリア・Azienda Ospedaliera Universitaria Integrata VeronaのSimone Cesaro氏らが分析した。その結果、重症再生不良性貧血患者の移植失敗例に対する再alloHSCTの実施は、実行可能なレスキューオプションであり、60%で良好な結果が得られると報告した。British journal of haematology誌2015年11月号の報告。

どのような精神疾患患者でメタボリスクが高いのか

 統合失調症および関連精神障害、双極性障害や大うつ病性障害を有する患者のメタボリックシンドローム(MetS)およびその構成症状(肥満、高血圧、HDLコレステロール低値など)のリスクについて、ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のDavy Vancampfort氏らはシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、重症の精神疾患を診断されたサブグループでは、MetSのリスクが同程度に上昇がみられることを明らかにした。著者らは、「これらの人には、ルーチンのスクリーニングと多職種専門家による内科的・行動マネジメントが必要である。また、治療選択の際には、個々人の抗精神病薬リスクを考慮しなければならない」と述べている。World Psychiatry誌2015年10月号の掲載報告。

加齢黄斑変性へのベバシズマブ、5年後の結果

 加齢黄斑変性に伴う脈絡膜新生血管の治療において、ベバシズマブ硝子体内投与(IVB)による初期の視力改善効果は、5年後には維持されていなかったことを、米国・ジョンズホプキンス大学 J. Fernando Arevalo氏らPan-American Collaborative Retina Study Groupが発表した。247例の後ろ向き症例シリーズによる報告で、IVBは地図状萎縮の発症または進行に関与している可能性も示唆されたという。Retina誌オンライン版2015年11月2日の掲載報告。

多発性骨髄腫に対するVTD療法 vs. VTDC療法、長期アウトカム比較

 多発性骨髄腫の導入療法として、VTD療法(ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン)とVTDC療法(VTD+シクロホスファミド)の長期アウトカムの違いを評価するため、オーストリア・Wilhelminenがん研究所のHeinz Ludwig氏らは、無作為化第II相試験のフォローアップ結果を報告した。British journal of haematology誌2015年11月号の報告。

神経障害性疼痛を伴う慢性腰痛へのプレガバリン、費用対効果は良好

 神経障害性疼痛を伴う慢性腰痛(CLBP-NeP)の治療におけるプレガバリン(商品名:リリカ)の費用対効果について、東京大学大学院 薬学系研究科・薬学部 准教授の五十嵐 中氏らが、公的医療費支払者および社会の視点から分析した。日常的な臨床診療のデータと仮定を用いた結果、わが国においてCLBP-NePに対するプレガバリンによる治療は、費用対効果が良好であることが示されたという。ClinicoEconomics and Outcomes Research誌オンライン版2015年10月7 日号の掲載報告。

新規抗てんかん薬P3、てんかん部分発作の補助治療に有用

 米国・Mid-Atlantic Epilepsy and Sleep Center のPavel Klein氏らは、選択的高親和性シナプス小胞タンパク質2Aリガンドであるbrivaracetam(BRV、国内未承認)の、てんかん部分(焦点)発作(POS)の補助治療としての有効性と安全性を明らかにする、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。その結果、発作頻度の減少および反応率のいずれにおいても、BRV100mg/日およびBRV200mg/日投与はプラセボに比べ有意に優れ、忍容性も良好であることを報告した。Epilepsia誌オンライン版2015年10月16日号の掲載報告。

アルツハイマー病、進行前の早期発見が可能となるか

 アルツハイマー病(AD)に対する新しい治療法の開発を促進するため、早期診断バイオマーカーに大きな関心が寄せられている。MRIによる神経変性の測定はバイオマーカーの良い候補と考えられているが、これまでのところ病理学的な初期段階で有効性は示されていない。フランス国立科学研究センター(CNRS)のPierrick Coupe氏らは、MRIを用いた新たな海馬評価スコアを開発し、認知機能が障害されていない患者における認知症発症の早期発見に役立つかどうかを検証した。その結果、ADへ進行する7年前の海馬評価スコアが、海馬容積やMMSEスコアよりも予測精度が高いことを明らかにした。著者らは、「今回の研究は先行研究と比較して追跡期間が長期であり、この新しい画像バイオマーカーは臨床的に重要な意義がある。精度が高いことから、ADへ進行するリスクが高い認知機能正常患者の特定に役立つだろう」とまとめている。Human Brain Mapping誌オンライン版2015年10月10日の掲載報告。