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ファイザーの経口コロナ治療薬、最終結果でも重症化89%減、オミクロン株にも有効か

 米国・ファイザーは12月14日付のプレスリリースで、開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)新規経口治療薬であるnirmatrelvir(PF-07321332)/リトナビル配合剤(商品名:Paxlovid)について、第II/III相臨床試験(EPIC-HR)の最終データを公表した。それによると、Paxlovidを投与した高リスクの成人患者において、入院または死亡のリスクが、プラセボに比べ89%減少したという。これは、先月同社が公表した中間解析のデータとも一致している。  Paxlovidは、ファイザー社が新たに開発した抗ウイルス薬nirmatrelvirと、既存の抗HIV薬リトナビルとの合剤。

ESR1変異を有するHR+進行乳がん、フルベストラント+パルボシクリブへの早期切り替えでPFS改善(PADA-1)/SABCS2021

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次治療として、アロマターゼ阻害薬(AI)とパルボシクリブの併用療法で治療中の患者のうち、疾患進行前に血液中で検出されたESR1変異を有する患者は、フルベストラントとパルボシクリブの併用療法に早期に切り替えることで、無増悪生存期間(PFS)の改善がみられた。第III相PADA-1試験の結果を、フランス・Institut Curie and Paris-Saclay UniversityのFrancois-Clement Bidard氏が発表した。 ・対象:アロマターゼ阻害薬とパルボシクリブの併用による1次治療中の転移を有するHR+/ HER2-乳がん患者(ECOG PS 0~2) 1,017例 ・試験の構成: [STEP1]組み入れ時、1ヵ月後、その後2ヵ月後おきにリキッドバイオプシーで採取した血中循環腫瘍DNA(ctDNA)からdroplet digital PCR(ddPCR)を用いてESR1変異の状況を確認 [STEP2]ESR1変異が確認され、その時点で疾患進行のみられない患者(172例)を無作為化: AI+パルボシクリブ(Pal)併用群 84例 フルベストラント(Ful)+パルボシクリブ(Pal)併用群 88例 [STEP3]AI+パルボシクリブ併用群において疾患増悪後、フルベストラント+パルボシクリブへのクロスオーバーが認められた ・評価項目: [主要評価項目]STEP2における治験担当医師評価による無増悪生存期間(PFS)、安全性(Grade3以上の血液毒性) [副次評価項目]クロスオーバー後のPFS、安全性(Grade3以上の非血液毒性、SAE)など

EGFR変異肺がん外科切除例の特徴と予後~肺癌登録合同委員会からの考察/日本肺癌学会2021

 外科手術の対象となるEGFR変異肺がんの特徴や予後について、肺がん治療例の全国集計を行う肺癌登録合同委員会による2010年手術例を対象とした第7次事業の報告(以下、合同員会報告)からの考察として、第62回日本肺癌学会学術集会において近畿大学の須田健一氏が発表した。  合同委員会報告のデータを用いて、EGFR変異陽性肺がん(2,410例)とEGFR変異陰性肺がん(3,370例)の臨床病理学的因子の比較や予後解析などを行った。  その結果、EGFR変異陽性肺がんは非喫煙者、女性、すりガラス陰影(GGO)、リンパ管や脈管への湿潤のない肺がんが多かった。また、多変量解析からEGFR変異陽性肺がんは変異陰性肺がんに比べて予後が良好であることが示されていた(無増悪生存期間[PFS]ハザード比[HR]:0.894、95%信頼区間:0.814~0.980、p=0.017)。

円形脱毛症と認知症リスク~コホート研究

 円形脱毛症は、さまざまな併存疾患と関連しており、認知症と同様の徴候が認められる疾患である。また、円形脱毛症による心理社会的なマイナスの影響は、認知症のリスク因子である社会との関与の低下につながる可能性がある。しかし、円形脱毛症と認知症との関連は、これまであまり知られていなかった。台湾・台北栄民総医院のCheng-Yuan Li氏らは、円形脱毛症と認知症リスクとの関連を調査するため、コホート研究を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2021年10月26日号の報告。  1998~2011年の台湾全民健康保険データベースより、45歳以上の円形脱毛症(ICD-9診断コード:704.01)患者2,534例および、年齢、性別、居住地、収入、認知症関連併存疾患、全身性ステロイド薬の使用、毎年の外来通院でマッチさせた対照群2万5,340例を抽出し、2013年までの認知症発症状況を調査した。潜在的な交絡因子で調整した後、マッチさせた各ペアの層別Cox回帰分析を用いて、円形脱毛症患者と対照群の認知症リスクを評価した。

75歳以上のコロナワクチン、心血管イベントに影響なし/JAMA

 仏・French National Agency for Medicines and Health Products SafetyのMarie Joelle Jabagi氏らが75歳以上のフランス人において、BNT162b2mRNAワクチン(以下、ファイザー社ワクチン)接種後の重度心血管イベントの発症について短期リスクを評価。その結果、急性心筋梗塞、脳卒中、および肺塞栓症の発生率の増加は、ワクチン接種14日後に見られなかったことを明らかにした。なお、先行のイスラエルと米国の研究でも、ファイザー社ワクチン接種後42日と21日において、心筋梗塞、肺塞栓症、脳血管イベントのリスクは増加しなかったと報告している。JAMA誌オンライン版2021年11月22日号のリサーチレターに掲載された。  研究者らは、フランスの国民健康データシステムを使用し、75歳以上でかつ2020年12月15日~2021年4月30日に急性心筋梗塞、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、肺塞栓症と診断されて入院した患者(ワクチンの接種は問わない)を適格者として検証を行った。調査方法には自己対照ケースシリーズ法を用い、心血管イベントに依存する曝露、ワクチン接種のキャンセルや延期または短期の死亡率を増加させる可能性のある死亡率に関連する高いイベントを調査した。その際、イベントに先行する曝露のみが考慮された。曝露リスクの間隔は2回のワクチン投与後それぞれ1~14日で、曝露リスク間隔はさらに1~7日目と8~14日目に細分化された。ワクチン接種日以外は非リスク期間と見なされた。イベントとワクチン接種の両方のバックグラウンド率の変化を考慮するため、一時的(7日単位)に調整された相対発生率(RI)を計算した。

ニボルマブ・イピリムマブ併用のNSCLC1次治療、4年追跡結果(CheckMate 227)/日本肺癌学会2021

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのニボルマブとイピリムマブの併用療法は、PD-L1の発現状態、非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの組織型にかかわらず、化学療法と比較して長期的な生存効果を示すことがCheckMate 227試験の4年間追跡結果から示された。この結果の概要が、第62回日本肺癌学会学術集会において、がん研究会有明病院の西尾誠人氏によって紹介された。

ブロナンセリン経皮吸収型製剤への切り替えによる錐体外路症状への影響

 ブロナンセリンは、統合失調症治療に用いられる第2世代抗精神病薬であり、経口剤(錠剤、散剤)だけでなく経皮吸収型製剤としても使用可能な薬剤である。岐阜大学の大井 一高氏らは、統合失調症患者に対しブロナンセリンの経口剤から経皮吸収型製剤への切り替えを行うことにより、錐体外路症状(EPS)の減少および/または薬物動態安定による抗パーキンソン薬の投与量減少に寄与するかについて、52週間の非盲検試験の事後分析を実施し、評価を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年11月3日号の報告。

抗TROP2抗体薬物複合体Dato-DXd、TN乳がんでの第I相試験最新データ(TROPION-PanTumor01)/SABCS2021

 抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)の固形がんを対象とした第I相TROPION-PanTumor01試験のうち、切除不能なトリプルネガティブ(TN)乳がんにおける安全性と有効性に関する最新データについて、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのIan Krop氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。本データから、Dato-DXdが管理可能な安全性プロファイルと有望な抗腫瘍活性を示すことが示唆された。  本試験は進行中の多施設非盲検第I相試験で、進行/転移乳がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、その他のがんを対象に安全性と有効性が評価されている。今回、TN乳がんコホートにおける更新結果を発表した。

DLL3を標的としたBiTE抗体tarlatamabの小細胞肺がんに対する安全性と抗腫瘍効果/日本肺癌学会2021

 腫瘍組織で多く発現するデルタ様リガンド3(DLL3)は、小細胞肺がん(SCLC)の治療標的として注目されている。このDLL3を標的とする半減期を延長した二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体であるtarlatamab(AMG757)は、がん細胞とT細胞を架橋し、さらにT細胞を活性化させることでがん細胞を攻撃する。進行または再発SCLCを対象とした第I相試験の結果から、tarlatamabの安全性および抗腫瘍効果について、第62回日本肺癌学会学術集会において国立がん研究センター東病院の泉大樹氏が報告した。

日本人外来患者の片頭痛予防に対するフレマネズマブの長期安全性と忍容性

 従来の片頭痛に対する長期的な予防効果は、早期の治療中止やアドヒアランス不良による影響を受ける。そのため、長期にわたり安全性が良好な片頭痛予防薬が求められる。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本人の慢性または反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブによる予防的治療の長期的な安全性および忍容性を評価するため、検討を行った。Drug Safety誌2021年12月号の報告。  本研究は、52週間のランダム化非盲検並行群間試験として実施された。新たにエントリーされた日本人の慢性または反復性片頭痛患者を対象に、フレマネズマブを月1回投与する群と四半期ごとに投与する群にランダムに割り付けた。安全性は、注射部位の反応、検査値、バイタルサインを含む、治療による有害事象(TEAE)のモニタリングにより評価した。新たにエントリーされた患者、以前の第IIb/III相試験でフレマネズマブが投与されなかったロールオーバー患者、合計587例を免疫原性試験コホートに含めた。有効性アウトカムは、1ヵ月当たりの平均片頭痛日数のベースラインからの変化、1ヵ月当たりの中等度~高度の頭痛日数のベースラインからの変化などであった。その他の有効性アウトカムとして、障害スコアの変化を評価した。

抗精神病薬への治療反応と皮質厚との関係

 統合失調症では、クロザピン以外の抗精神病薬による治療で十分な効果が得られない治療抵抗性患者が一定数存在し、その割合は3分の1程度であるといわれている。昭和大学の板橋 貴史氏らは、治療抵抗性患者と治療反応患者において、異なる病態生理学的特徴が存在するかを調査した。NeuroImage: Clinical誌オンライン版2021年10月7日号の報告。  対象は、統合失調症患者110例(治療反応群:46例、治療抵抗性群:64例)および健康対照群52例。皮質厚に焦点を当て、MRIの国際マルチサイト断面データを用いて分析した。治療反応群または治療抵抗性群のいずれかに関連する脳領域を発見するため、L1正則化ロジスティック回帰を用いた。ネストされた10分割交差検証を行い、鑑別精度および曲線下面積(AUC)を算出した。次に、分類子の交換可能性を調査するため、治療反応群または治療抵抗性群の分類子をもう一方の群に適用させた。

コロナ抗原定性検査の種類・活用方法を患者さんに聞かれたら/臨薬協など

「ワクチン・検査パッケージ」ではPCR検査や抗原定量検査が推奨されているが、抗原定性検査の利用も可能とされ、9月からは薬局での販売も解禁されている。しかし、抗原定性検査は鼻腔ぬぐい液の採取が必要で使用に難しさがある点や、精度と活用方法を理解したうえでの使用が求められる点、未承認のキットも販売されている点など、課題も多い。日本臨床検査薬協会(臨薬協)は11月、抗原定性検査キットの適正な使用を促進し感染制御に資することを目的として、臨床検査振興協議会による一般消費者向けの啓発資料「医療用(体外診断用医薬品)抗原定性検査キットとは?」のウェブサイト掲載を受けて、ホームページ上で抗原定性検査キットの種類を「新型コロナウイルス感染症の医療用抗原簡易キット一覧」で公開している。

新薬elacestrantがHR+進行乳がん2~3次治療でPFS改善、初の経口SERD(EMERALD)/SABCS2021

 ホルモン受容体陽性/ HER2陰性の転移を有する閉経後乳がん患者への2次および3次治療において、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)elacestrantが、医師選択の標準治療と比較して死亡または疾患進行リスクを有意に減少させ、無増悪生存期間(PFS)を改善した。第III相EMERALD試験の中間解析結果を、米国・Mass General Cancer CenterのAditya Bardia氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。  現在、同患者に対しては主に内分泌療法とCDK4/6阻害薬による治療が行われているが、ほとんどの患者は最終的にこれらの治療に対する耐性を獲得し、その耐性機序の一つとしてESR1変異が考えられている。

統合失調症の抗精神病薬関連代謝異常~最新レビュー

 代謝異常や肥満は、統合失調症患者の主な心血管イベントのリスク因子である。その結果として、統合失調症患者は、そうでない人と比較し、死亡率が高く、平均寿命が短くなる。統合失調症と代謝異常との関係は、特定の遺伝学的または病理学的リスクが影響している可能性もあるが、抗精神病薬(とくに第2世代抗精神病薬)が体重増加や代謝異常リスクを上昇させていると考えられる。台湾・台北医学大学のShen-Chieh Chang氏らは、抗精神病薬に関連する体重増加や代謝異常、それらのメカニズム、モニタリングガイドライン、介入に関する文献のレビューを行った。World Journal of Psychiatry誌2021年10月19日号の報告。

12/11、第63回米国血液学会(ASH)スタート!注目演題は?

 12月11日(現地時間)から第63回米国血液学会(ASH)が米国アトランタとオンラインのハイブリッド形式で開催される。COVID-19の影響で昨年は完全オンライン開催だったが、今年はハイブリッド方式を選択。現地の参加者の交流を促すため、感染対策を行いながらウエルカムレセプションやオピニオンリーダーを囲む少人数セッションなどが企画されている。  既にAbstractが公開されており、Late-breakingには「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するポラツズマブ ベドチンとR-CHP療法併用vs.R-CHOP療法/POLARIX」「初回免疫寛容誘導(ITI)療法に対するrFVIIIFcの有効性」「B細胞非ホジキンリンパ腫2次治療としてのCAR-T細胞tisagenlecleucel vs.標準治療/BELINDA試験」などの演題が選ばれた。

ファイザー製コロナワクチン、3回接種でオミクロン株にも効果

 米国・ファイザー社は、12月8日に発表したプレスリリースで、現在拡大が懸念されているオミクロン株に対する同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの効果を調べた研究結果を公表した。それによると、初回接種(2回)では、野生株と比べ、オミクロン株に対する中和抗体力価が大幅な減少を示し、オミクロン株への保護効果が十分ではない可能性があるという。ただ、3回目の追加接種により、従来株と同等の効果が得られることも示された。同社は、より多くの人がまずは初回接種を完遂すると共に、COVID-19拡大防止には追加接種が必要であるとしている。  今回公表したのは予備的な実験データの段階だが、初回接種までの中和抗体力価は、野生株や従来の変異株などに比べ、オミクロン株に対しては有意に減少していたが、3回目の追加接種により、初回接種の25倍まで増強され、従来株並みの高い保護レベルが観察されたという。ファイザー社は、「初回接種によるコロナ重症化予防には引き続き有用だが、追加接種によりオミクロン株も含めたより高い予防効果が得られる可能性がある」とし、各国で進められている追加接種が、引き続きCOVID-19拡大防止に対する最善策であるとの見解を示した。  同社では、追加接種後のオミクロン株に対する中和抗体の持続性などを検討するため、さらにデータ収集を進めることにしている。

TN乳がん1次治療でのペムブロリズマブ、適切なCPSカットオフ値は?(KEYNOTE-355)/SABCS2021

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療において、ペムブロリズマブ+化学療法による治療ベネフィットが期待される患者の定義としてCPS 10以上が適切であることを示唆する、第III相KEYNOTE-355試験のサブグループ解析結果を、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。  本試験では、化学療法+ペムブロリズマブが、未治療のPD-L1陽性(CPS 10以上)の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん患者において、化学療法+プラセボと比べ、有意に全生存(OS)および無増悪生存(PFS)を改善したことがすでに報告されている。しかし、CPS 1以上の集団では有意なベネフィットは示されなかった。今回は、CPSのカットオフ値を追加し、CPS 1未満、1~9、10~19、20以上のサブグループに分けてOSとPFSを解析した。

日本人統合失調症患者における抗精神病薬の製剤満足度調査

 藤田医科大学の波多野 正和氏らは、服薬アドヒアランスに影響を及ぼす因子を特定するため、統合失調症患者を対象に処方された抗精神病薬の製剤に関する主観的なアンケート調査を実施した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2021年11月30日号の報告。  処方された抗精神病薬の製剤に対する患者の満足度および不満度を評価するため、薬に対する構えの評価尺度(DAI-10)を用いた。対象患者は、同一成分、同一製剤の抗精神病薬を1ヵ月以上服用している20~75歳の統合失調症患者とした。

ICIによる非小細胞肺がんの術前・術後補助療法の有効性を探る(CheckMate 77T試験)/日本肺癌学会2021

 最近のStageIIAからIIIBの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後の5年生存率は50%以下であり、その治療効果は十分とはいえず、何らかの追加治療が必要とされてきた。  1990年代から化学療法を用いた術前補助療法が行われてきたが、最近は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場。周術期治療への可能性が期待されている。そこで、化学療法にICIを加えた周術期治療の有用性を検証するCheckMate 77T試験が現在進行しており、その概要が第62回日本肺癌学会学術集会において、神奈川県立がんセンターの伊藤宏之氏から紹介された。

日本人高齢者におけるコーヒー、緑茶、カフェインと認知症リスク

 コーヒー、緑茶、カフェインは、高齢者の認知症予防の潜在的な因子といわれているが、根拠となるエビデンスは十分ではない。新潟大学のNana Matsushita氏らは、中高年の認知症リスクとコーヒー、緑茶、カフェインの摂取との関連を調査した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2021年10月8日号の報告。  本研究は、8年間フォローアップを行ったコホート研究である。対象者は、40~74歳の日本の地域住民1万3,757人。2011~13年に自己記入式のアンケート調査を実施した。予測因子は、コーヒー、緑茶の消費量とし、そこからカフェインの摂取量を推定した。アウトカムは、介護保険データベースより抽出した認知症発症とした。調整済みハザード比(HR)の算出には、Cox比例ハザードモデル、遅延組み入れCoxモデルを用いた。