医療一般|page:173

片頭痛に対する抗CGRP抗体の有効性と安全性~メタ解析

 片頭痛治療に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした抗CGRP抗体の有効性および安全性を評価するため、中国・The First Affiliated Hospital of Wannan Medical CollageのTingting Huang氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2022年3月8日号の報告。  各データベース(PubMed、Embase、Cochrane Library、Chinese National Knowledge Infrastructure、WanFang Dataなど)より、片頭痛治療薬である抗CGRP抗体の2021年3月までのランダム化比較試験(RCT)を検索した。スクリーニング後、試験の方法論的質を評価した。メタ解析には、RevMan 5.3 softwareを用いた。

統合失調症患者の慢性期うつ病と臨床アウトカムとの関連

 統合失調症患者のうつ症状は、臨床アウトカムに影響を及ぼす重要な症状である。岡山大学のYuto Yamada氏らは、統合失調症患者の慢性的なうつ症状や自殺関連症状が将来の臨床アウトカムと関連しているか、向精神薬使用により臨床アウトカムの改善が認められるかについて、検討を行った。Psychopharmacology誌2022年3月号の報告。  対象は、2010~11年に岡山大学病院で治療を受けた15~64歳の統合失調症の外来患者462例。最終来院時(平均年齢19.2歳)での臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアと過去のうつ症状、自殺念慮、自殺企図との関連を調査した。病歴を含む複数の交絡因子による調整には、重回帰分析およびロジスティック回帰分析を用いた。

末梢動脈疾患ガイドライン、7年ぶりの改訂/日本循環器学会

 日本循環器学会と日本血管外科学会の合同ガイドライン『末梢動脈疾患ガイドライン(2022年改訂版)』が、7年ぶりの改訂となった。2度目の改訂となる今回は、末梢動脈疾患の疾病構造の変化と、それに伴う疾患概念の変遷、新たな診断アルゴリズムや分類法の登場、治療デバイスの進歩、患者背景にある生活習慣病管理やその治療薬の進歩などを踏まえた大幅な改訂となっている。第86回日本循環器学会学術集会(3月11~13日)で、末梢動脈疾患ガイドライン作成の合同研究班班長である東 信良氏(旭川医科大学外科学講座血管外科学分野)が、ガイドライン改訂のポイント、とくに第4章「慢性下肢動脈閉塞(下肢閉塞性動脈硬化症)」について重点的に解説した。

3回目接種後の心筋炎、若年者での発生状況とその転帰/JAMA

 とくに若い男性で、ごく稀ではあるもののmRNAワクチン接種後の心筋炎の発生が報告されている。1回目よりも2回目接種後に多い傾向が報告されているが、3回目接種後の発生率についてのデータは十分でない。イスラエル国防軍医療部隊のLimor Friedensohn氏らは、同軍の新兵における3 回目のワクチン接種と心筋炎リスクとの関連について、解析結果を報告。JAMA誌オンライン版2022年3月17日号にリサーチレターとして掲載された。  2021年8月15日、イスラエル国防軍(IDF)は、ファイザー社のBNT162b2ワクチンによる3回目接種を開始した。本研究では、2021年9月30日までにBNT162b2の3回目接種を受け、2021年10月14日までに心筋炎と診断されたすべての軍人を対象としている。心筋炎が疑われる症例はすべて病院に紹介され、診断は、臨床検査、心電図、心エコー、心臓MRI所見に基づき行われた。すべての診断は、独立した心臓専門医によって再確認されている。集計データをもとに、ワクチン接種後1週間と2週間における心筋炎発症率を算出した。

FDAがFGFR阻害薬futibatinibを胆管がんの優先審査に指定/大鵬薬品

 大鵬薬品とその米国子会社のTaiho Oncologyは、2022年3月30日、前治療歴を有するFGFR2遺伝子再構成(融合遺伝子を含む)を伴う進行胆管がんを対象とした共有結合型FGFR阻害薬futibatinib(TAS-120)の新薬承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)が優先審査指定で受理したと発表。  米国における同剤の申請は、FGFR2遺伝子融合またはその他の再構成を有する切除不能な局所進行・転移肝内胆管がん患者103例を対象とした第IIb相試験であるFOENIX-CCA2試験データに基づくもの。

第2世代抗精神病薬に関連する体重増加と併存疾患

 多くの第2世代抗精神病薬(SGA)は、体重増加や心血管代謝系の副作用の発現と関連している。抗精神病薬関連の体重増加は治療中断と関連しており、再発や入院のリスクを高める可能性がある。米国・AlkermesのMichael J. Doane氏らは、経口SGAによる治療を開始した統合失調症または双極I型障害で、中程度から重度の体重増加リスクを有する患者における臨床的に有意な体重増加、治療中断、心血管代謝系副作用の発症について評価した。BMC Psychiatry誌2022年2月14日号の報告。  患者レベルのレセプトデータおよび電気カルテデータ(2013年1月~2020年2月のOM1 Real-World Data Cloud)より、中程度から重度の体重増加リスクを有する経口SGAの使用経験のない患者を抽出した。SGAを開始する12ヵ月前と3ヵ月後の両方の時点で1回以上の体重測定を行った患者を対象に、体重の継続的な変化、臨床的に有意な体重増加(ベースラインから7%以上および10%以上の増加)、治療中断(切り替え、中止)、心血管代謝系副作用の発症について分析を行った。

オミクロン株への感染で他の変異株への感染を防げるか/NEJM

 新型コロナウイルスにおけるオミクロン株感染後の中和抗体プロファイルについては、ほとんどわかってない。オーストリア・Medical University of InnsbruckのAnnika Rossler氏らは、オミクロンBA.1株に感染した人の回復後の血清サンプルについて6つの変異株に対する中和抗体価を分析し、他の株への感染歴やワクチン接種歴別に検討した。その結果、オミクロンBA.1株にのみ感染したワクチン未接種者は、オミクロンBA.1株以外の株による感染を予防できない可能性があることが示唆された。NEJM誌オンライン版2022年3月23日号のCORRESPONDENCEに掲載。

日本人高齢者の笑いと認知症リスク

 現在、主な社会的行動である笑いと認知症リスクとの関連を報告したエビデンスは、ほとんどない。大阪大学の王 雨氏らは、日本人高齢者における笑いのさまざまな機会と認知症リスクとの関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2022年3月14日号の報告。  対象は、日本老年学的評価研究の6年間のフォローアップデータを用いて抽出した65歳以上の高齢者1万2,165人。笑いの機会の評価には質問票を用い、認知症の評価には、介護保険制度で標準化された認知症尺度を用いた。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

ビレーズトリ、新たな吸入デバイスへの変更承認取得/AZ

 アストラゼネカ株式会社は、2022年3月30日、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療配合剤「ビレーズトリエアロスフィア56吸入/120吸入」(一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物、以下「ビレーズトリエアロスフィア」)の新たな吸入デバイスの製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。  COPD治療薬は吸入製剤が多く、患者が、医師や薬剤師の指示を理解したうえで、正しい手技で吸入することが求められる。ビレーズトリエアロスフィアの新たな吸入デバイスは主に外観を変更しており、有効成分、臨床成績、1回噴霧量および投薬方法に変更はない。

REAL-CADサブ解析で日本人の2次予防に最適なLDL-C値が明らかに/日本循環器学会

 LDLコレステロール(LDL-C)値について、“The lower, the better(低ければ低いほど良い)”という考え方があるが、日本人の冠動脈疾患(CAD)患者には必ずしも当てはまらないかもしれない。今回、日本人の安定CAD患者における最適なLDL-C目標値を検討すべく、REAL-CADの新たなサブ解析を行った結果を、第86回日本循環器学会学術集会(2022年3月11~13日)で佐久間 理吏氏(獨協医科大学病院 心臓・血管内科/循環器内科)が発表した。

lecanemabの最新知見をアルツハイマー・パーキンソン病学会で発表/バイオジェン

 エーザイ株式会社とバイオジェン・インクは、早期アルツハイマー病(AD)の治療薬として開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabに関する最新の知見を、3月15日から20日までスペイン・バルセロナおよびバーチャルで開催された「第16回アルツハイマー・パーキンソン病学会(International Conference on Alzheimer’s and Parkinson’s Diseases:AD/PDTM2022)のシンポジウム「ADにおけるAβ標的治療法2」で発表した。

ニボルマブ、尿路上皮がんにおける術後補助療法の国内承認取得

 2022年3月28日、小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは、尿路上皮がんの術後補助療法に対して、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の効能または効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(ONO-4538-33)の結果に基づいたものである。  CheckMate-274試験は、膀胱または上部尿路(腎盂または尿管)が原発である根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、ニボルマブ単剤療法群とプラセボ群を比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第III相試験。

抗うつ薬の漸減・中止に関する診療ガイドラインの推奨~システマティックレビュー

 抗うつ薬の漸減や中止は、うつ病患者のマネジメントを行ううえで重要であり、診療ガイドラインを考慮して進める必要がある。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnders Sorensen氏らは、うつ病に関する主要な診療ガイドラインにおける抗うつ薬の漸減および中止に関するガイダンスの内容や質を評価するため、システマティックレビューを行った。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2022年2月11日号の報告。  英国、米国、カナダ、オーストラリア、シンガポール、アイルランド、ニュージーランドの保健当局および主要な国家的または国際的な専門機関より発行された、うつ病に関する診療ガイドラインをシステマティックにレビューした。2021年5月25日までにPubMed、14件のガイドラインレジストリおよび関連団体のウェブサイトを検索し、診療ガイドラインの抗うつ薬の漸減および中止に関連する推奨事項について評価した。抗うつ薬の漸減および中止に関する診療ガイドラインの質の評価ツールとして、AGREE IIを用いた。

aducanumabの第III相試験結果に関する査読付き論文を発表/バイオジェン

 バイオジェン・インクは2022年3月16日、The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease(JPAD)誌が、早期アルツハイマー病治療薬であるaducanumab(米国での商品名:Aduhelm)点滴静注100mg/mLについて、第III相EMERGE/ENGAGE試験の詳細データに関する査読付き論文を掲載したことを発表した。このaducanumabの論文には臨床試験における主要、副次、3次評価項目をはじめ、安全性情報およびバイオマーカーに関するサブ試験の結果が含まれる。

医療従事者への4回目接種、その効果は?/NEJM

 イスラエルの医療従事者を対象に、3回目接種から4ヵ月後にファイザー製およびモデルナ製の新型コロナワクチンを投与した結果、4回目接種後の中和抗体価は投与前の9~10倍に増加した。一方で3回目接種後のピーク反応との比較から、著者らはmRNAワクチンの免疫原性は3回の接種で最大となる可能性が示唆されたとしている。イスラエル・Sheba Medical CenterのGili Regev-Yochay氏らによる非盲検非無作為化臨床試験の結果が、NEJM誌オンライン版2022年3月16日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント承認 /大鵬薬品

 大鵬薬品とヘルシングループは、2022年3月28日、NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント(製品名:アロカリス)について、抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)の効能・効果で製造販売承認を取得した。  化学療法に伴い発現する悪心・ 嘔吐は、患者のQOLに負の影響をおよぼし、化学療法の施行を妨げる原因となる。ガイドラインでも積極的な予防対策が推奨されている。

乳がん検診10年の偽陽性リスク、乳房トモシンセシスvs.デジタルマンモグラフィ

 デジタル乳房トモシンセシスによる乳がん検診は、デジタルマンモグラフィより偽陽性率が低い可能性がある。米国・カリフォルニア大学デービス校のThao-Quyen H. Ho氏らは、デジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィによる10年間の検診で、偽陽性の累積リスクを推定した結果、デジタル乳房トモシンセシスのほうが低く、また、モダリティの違いよりも隔年検診・高齢・非高濃度乳房が偽陽性率の大幅な低下と関連することが示された。JAMA Network Open誌2022年3月1日号に掲載。  本研究は、Breast Cancer Surveillance Consortiumの126の放射線施設において、2005年1月1日~2018年12月31日に前向きに収集したデータを用いた効果比較研究で、40~79歳の90万3,495人の結果を2021年2月9日から9月7日まで分析。乳がん診断と死亡の競合リスクを考慮し、年1回もしくは隔年でデジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィで10年間検診後、追加画像診断・短い間隔での経過観察の推奨・生検の推奨について1回以上の偽陽性リコールの累積リスクを評価した。

小児の乳製品摂取量と片頭痛との関連

 片頭痛は、病因が明らかになっておらず、理解不十分な病態生理学的経路を伴う疾患である。乳製品の摂取量と小児の慢性的な症状および片頭痛との関係についてのデータを充足するため、イラン・テヘラン医科大学のShadi Ariyanfar氏らは本研究を実施した。Iranian Journal of Child Neurology誌2022年冬号の報告。  3次医療圏の頭痛クリニックにおける人口ベースのケースコントロール研究を実施した。対象は7~14歳の小児290例。片頭痛の診断は、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の基準を用いて神経内科医が行った。人口統計学的および人体測定学的特性を収集した。食事摂取量の調査には、検証済みの半構造化された食事摂取頻度調査票(food frequency questionnaire:FFQ)を用いた。  主な結果は以下のとおり。

うつ病の早期寛解の予測因子

 抗うつ薬による治療反応は、患者ごとに大きく異なり、治療前に予測することは困難である。NTT西日本九州健康管理センタの阿竹 聖和氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびミルタザピンの治療反応と相関するサイトカイン、これらサイトカインが各抗うつ薬治療による寛解の予測因子となりうるかについて、調査を行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2022年3月9日号の報告。  抗うつ薬治療前の患者95例を対象に、酵素結合免疫吸着測定法を用いて、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターロイキン(IL)-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の分析を行った。うつ症状の評価は、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて4週間調査した。

紹介状に不満がある医師は約7割!その紹介の実態は?/1,000人アンケート

 医療連携の一環として活用される紹介状。正式名称は「診療情報提供書」である。かかりつけ医が高度医療の必要があると判断して患者を紹介したり、その逆で患者の病状が安定したからとかかりつけ医などに戻ってもらう際に使用したりする。だが、この紹介状が名ばかりで実際の情報提供になっていないことがあるらしい。そこで今回、ケアネットでは会員医師1,000人を対象に『紹介状で困ったこと・良かったこと』に関するアンケートを実施した。