医療一般|page:211

EGFR変異陽性NSCLCにエルロチニブ術前/術後療法のOS結果(CTONG1103)/ASCO2021

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前/術後療法としてのエルロチニブと化学療法の比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、中国・Guangdong Provincial People’s HospitalのYi-Long Wu氏から報告された。  本試験は中国国内で実施されたオープンラベル無作為化比較第II相試験であり、すでにエルロチニブによる無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が報告されている。今回は、その全生存期間(OS)の解析を含めた最終報告である。

男性の精子数、mRNAワクチン接種で減少なし/JAMA

 COVID-19感染後に男性の生殖機能に障害が生じるという複数の報告※1※2があるが、mRNAワクチン接種後に精子の状態を調べた研究では、精子濃度が高まり、精液量と精子運動性も高まったことが確認されたという。JAMA誌オンライン版2021年6月17日号Research Letterの報告。  米マイアミ大学で行われたこの単施設の前向き研究では、18~50歳までの健康な男性をボランティアとして募集。参加者は不妊症の基礎疾患がないことが確認され、COVID-19有症状者と90日以内の検査結果陽性者は除外された。参加者は2~7日間の禁欲後、1回目のワクチン接種前と2回目のワクチン接種から約70日後に精液サンプルを提出した。

1つであらゆるコロナ変異株防ぐ「スーパー中和抗体」作製/富山大

 富山大学などの研究グループは6月16日、新型コロナウイルスのさまざまなタイプの変異株の感染を防ぐことができる中和抗体を人工的に作製することに成功したと発表した。1つの抗体で多種の変異株の感染を防御できる現時点で最も理想的な抗体として、研究グループは「スーパー中和抗体」と命名。6月14日付で特許を出願し、製薬会社との共同事業化等により治療薬として実用化に向けた対応を急ぎたい考えだ。

ワクチン予診票、17ヵ国語対応版を公開/厚労省

 厚生労働省サイトでは、各国語に対応した新型コロナワクチン接種に使う「予診票」「ワクチン種類別の説明書」「接種に関するお知らせ」が公開されている。  対応言語は英語、中国語(簡体字・繁体字)、フランス語、アラビア語など計17ヵ国語。「予診票」はかかりつけ医の項目が削除された最新版に対応しており、ファイザー製とモデルナ製それぞれに対応した「説明書」は対象年齢や接種のスケジュール、接種が受けられないケースといった基本事項が説明されている。「接種のお知らせ」は接種当日の服装や持ちものについての説明が記載されている。

AML初回治療、シタラビンのプロドラッグBST-236の有用性/ASCO2021

 初発急性骨髄性白血病(AML)はシタラビンによる強力寛解導入療法が標準治療となるが、毒性が強く高齢者や合併症のある患者は不適となる。不適患者にはベネトクラクスと脱メチル化薬(HMA)の併用療法が推奨されるが、臨床応用ははじまったばかりでリアルワールドのデータは乏しい。  こうした状況において開発中のaspacytarabine(BST-236)はシタラビンのプロドラッグで、シタラビンの曝露量を減少させ、全身毒性を軽減する。このaspacytarabineの有用性をみた多施設共同シングルアーム第II相試験の中間解析結果を、ノースウェスタン大学Jessica K. Altman氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

MSI-H大腸がん1次治療、ペムブロリズマブ単剤vs.化学療法の最終結果(KEYNOTE-177)/ASCO2021

 高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移のある大腸がん(mCRC)の1次治療として、ペムブロリズマブ単剤治療と標準化学療法を比較した第III相無作為化非盲検試験「KEYNOTE-177試験」の最終結果を、フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。高いクロスオーバー率(60%)によりOSの統計学的有意差は示されなかったが、ペムブロリズマブ単剤治療の死亡低下を認める結果が得られたことを報告した。  本検討については第2回中間解析の結果として、ペムブロリズマブ単剤が化学療法として比較して無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善することが報告されていた。最終解析は、事前に計画されていた第2回中間解析後12ヵ月時点で行われた。

デュルバルマブの肺がんCCRT維持療法、5年生存4割(PACIFIC試験)/ASCO2021

 化学放射線同時併用療法(CCRT)後に疾患進行しなかった切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相PACIFIC試験において、デュルバルマブは無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示している。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)では、PACIFIC試験の5年のOSおよびPFSデータが発表された。 ・対象:cCRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者 ・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例) ・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例) ・評価項目: [主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定による無増悪生存期間(PFS)、OS [副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。

子供への新型コロナワクチン、学会が声明発表/日本小児科学会

 2021年6月16日、日本小児科学会は新型コロナワクチンの子供への接種について、学会としての見解を発表した。「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」と題したこの声明では、子供を感染から守るためには、周囲の成人が免疫を獲得することが重要とし、まずは成人の接種が優先されるべきで、とくに医療的ケア児等や重篤な基礎疾患のある子供に関わる業務従事者、そして健康な子供に関わる業務従事者は、職種・勤務形態を問わずワクチンを接種することが重要とした。  そのうえで子供自身への接種に関しては、以下のように提言している。

新型コロナ変異株、デルタ株の増加傾向顕著

 厚生労働省は6月16日、都道府県別の懸念される変異株(VOCs:Variant of Concern)について、最新の事例数を公表した(6月14日までにHER-SYSで把握した国内事例の累計)。このうち、インドで最初に報告されたB.1.617系統の変異株(デルタ株等1))への感染は新たに30例が確認され、累計は11都府県で117例となった。いわゆる南アフリカ型のベータ株やブラジル型のガンマ株がいずれも1例程度の増減だったのに比べ、デルタ株の新規感染例が大幅に増加しており、拡大が懸念される。

食道がんのニボルマブ術後補助療法、追加解析の成績(CheckMate 577)/ASCO2021

 CheckMate577試験は、食道がん/食道胃接合部がんに対する術後補助療法としての免疫チェックポイント阻害薬を評価した世界初の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、ニボルマブはプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を統計学的に有意に延長することが報告されている(N Engl J Med. 2021; 384: 1191-1203.)。米国・ベイラー医科大学医療センターのRonan Joseph Kelly氏は、既報の結果も含め有効性、安全性およびQOLに関する追加解析の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ群で無遠隔転移生存期間(DMFS)、無増悪生存期間2(PFS2;無作為化から2次治療の増悪、3次治療の開始または死亡までの期間)を延長したことを報告した。

ペムブロリズマブの腎細胞がん術後アジュバントが予後を改善(KEYNOTE-564)/ASCO2021

 淡明細胞型腎細胞がん(RCC)に対する腎摘除手術後の術後療法としてのペムブロリズマブの単剤治療が、生存の延長に寄与するという発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのToni K. Choueiri氏より発表された。  本試験(KEYNOTE-564)は、国際共同の無作為化二重盲検比較の第III相試験であり、今回が初めての中間解析結果報告である。 ・対象:腎摘除術を12週間以内に受け、再発リスク分類で中程度以上と判定された淡明細胞型RCC ・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週間ごと最長1年間投与(Pembro群) ・対象群:プラセボ 3週間ごと最長1年間投与(Pla群) ・評価項目: [主要評価項目]主治医判定による無病生存期間(DFS) [副次的評価項目]全生存期間(OS)、安全性

進行TN乳がんへのアテゾリズマブ、どの免疫フェノタイプや分子サブタイプに有効か(IMpassion130)/ASCO2021

 未治療の進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する第III相IMpassion試験の探索的解析から、免疫フェノタイプや分子サブタイプによりアテゾリズマブの上乗せ効果が異なることが示された。米国・University of Pittsburgh Medical Center Hillman Cancer CenterのLeisha A. Emens氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。  IMpassion130試験は、進行TNBCの1次治療として、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ併用群、451例)をプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群、451例)と比較した第III相試験で、PD-L1 IC+(腫瘍浸潤免疫細胞が1%以上発現)患者において、アテゾリズマブ併用群で有意な無増悪生存期間(PFS)の改善と臨床的に意味のある全生存期間(OS)の改善が報告されている。また探索的分析では、腫瘍微小環境(TME)がリッチな患者や腫瘍遺伝子変異量が多い患者におけるアテゾリズマブ併用による臨床アウトカムの改善が、PD-L1 IC+患者に限られることも報告されている。今回は、アテゾリズマブの併用効果に関連するTMEの構成要素を特定するために探索的解析を実施した。

骨髄腫新薬、ダラツムマブ皮下注が患者負担を軽減/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは5月に多発性骨髄腫の治療薬としてヒト型抗CD38モノクローナル抗体「ダラツムマブ(以下、ダラツムマブ)」を配合した皮下投与製剤「ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)」を発売開始した。これに伴い6月3日にメディアセミナーを開催し、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏が、多発性骨髄腫の基礎知識と新薬が診療に与える影響について講演を行った。  多発性骨髄腫は血液がんの一種で、骨髄にある形式細胞ががん化する疾患。国内における新規罹患者数は7,000人/年程度で、人口10万人当たりでは5.4人となる。診断時の年齢中央値は66歳で罹患率・死亡率とも高齢になるほど増加する。

統合失調症の認知機能とキノリン酸との関連

 トリプトファンとその代謝産物(TRYCATs)は、統合失調症やうつ病の病態生理に影響する末梢免疫系の活性化や中枢神経伝達物質の異常と関連することが示唆されている。しかし、これらの疾患におけるさまざまな精神病理的な関連は、まだ解明されていない。スイス・チューリヒ大学のFlurin Cathomas氏らは、統合失調症およびうつ病患者におけるTRYCATsの潜在的な違いを調査し、認知機能への影響について検討を行った。Scientific Reports誌2021年5月11日号の報告。  統合失調症患者45例、うつ病患者43例、健康対照者19例を対象に、血漿中のトリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸、3-ヒドロキシキヌレニン、キノリン酸の違い、血漿タンパク質と認知機能との関連を調査した。

ワクチン2回接種で、デルタ株に90%超の入院回避効果

 ファイザー社とアストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンが、2回の接種でB.1.617.2系統の変異株「デルタ株(インド型)」による入院回避に非常に高い効果を示すことが明らかになった。英・イングランド公衆衛生庁(PHE)が、14日付のプレスリリースで発表した。  PHEでは、2021年4月12日~6月4日の間に、「デルタ株」感染が確認された1万4,019例を対象に分析を実施。

抗HER3-ADC薬、治療抵抗性EGFR変異NSCLCに有望/ASCO2021

 前治療としてのTKIやプラチナ製剤に抵抗性となったEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるPatritumab-Deruxtecan(HER3-ADC)は、新規治療薬として有望であるとの発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのPasi A. Janne氏よりなされた。  HER3-ADCのNSCLCでの推奨用量は第I相試験で5.6mg/kgとされた。今回は第I相試験用量拡大パートの報告である。

「リモート医事(iisy)」で医療事務作業を改善/ソラスト

 医療事務受託サービスを展開する株式会社ソラストは、医療従事者の業務負担の軽減や患者の待ち時間短縮など、これからの時代に即した医療DX(Digital Transformation)パッケージ「リモート医事(iisy)」に関するメディア発表会をオンラインで行った。  今回発表された「リモート医事」は、医療機関の医療事務作業を“リモートセンター”からリアルタイムにサポートするサービスであり、医療事務だけでなく、「診療サポート」「経営支援」「ITサポート」を包括的にDX化して支援する。

早期乳がん、遺伝子診断を加えたリスク評価で術後内分泌療法も省略可能に?(MINDACT)/ASCO2021

 MammaPrintによるゲノムリスクが超低リスクの患者では、8年時の無遠隔転移生存率(DMFI)が97.0%と非常に高いことが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのJosephine Lopes Cardozo氏が、第III相MINDACT試験から、超低リスク患者の長期生存についての解析結果を報告した。  本試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する第III相無作為化試験。これまでに、臨床リスクが高いがゲノムリスクが低い患者において、化学療法が省略できる可能性があることを示唆する結果が報告されている。

片頭痛治療に対するメマンチンの有効性~RCTのメタ解析

 片頭痛患者に対するメマンチンの有効性を評価するため、中国・Wenzhou People's HospitalのZhili Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2021年5月・6月号の報告。  2020年2月までに公表された、片頭痛治療におけるメマンチンとプラセボの効果を比較したランダム化比較試験を、PubMed、EMbase、Web of Science、EBSCO、コクランライブラリーデータベースより検索した。本メタ解析では、ランダム効果モデルを用いた。