人間には、「脳内コンパス」ともいうべき、迷子にならないようにするための脳活動パターンがあることを突き止めたと、英バーミンガム大学心理学分野のBenjamin Griffiths氏らが報告した。Griffiths氏らは、空間の中での自分の位置を把握してナビゲートするために使用する体内のコンパスを人間の脳内で初めて特定したと話している。詳細は、「Nature Human Behaviour」に5月6日掲載された。この発見をきっかけに、アルツハイマー病やパーキンソン病といったナビゲーション機能や見当識がしばしば損なわれる疾患について解明が進む可能性がある。
Griffiths氏は、「自分が向かっている方向を把握することは非常に重要だ。自分がいる場所や向かっている方向に少しでも誤差があると悲惨なことになり得る」と言う。さらに同氏は、「鳥、ネズミ、コウモリなどの動物には、正しい方向に進むための神経回路があることが知られている。しかし、人間の脳が実世界でどのように対処しているのかについて分かっていることは驚くほど少ない」と話す。