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化学療法誘発性悪心・嘔吐にオランザピン5mgは有効か(J-FORCE)/Lancet Oncol

 オランザピンは、化学療法誘発性悪心・嘔吐にアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンの3剤からなる標準制吐療法への追加が推奨されるが、その用量は10mgである。オランザピン5mgは、複数の第II相試験で10mgと同等の活性と良好な安全性プロファイルが示されている。国立がん研究センター中央病院の橋本 浩伸氏らは、シスプラチンベース化学療法による悪心・嘔吐の予防における、オランザピン5mg追加の有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相J-FORCE試験を実施した。Lancet Oncology誌オンライン版2019年12月11日号掲載の報告。

新型コロナウイルス感染症、“疑い例”の定義について/日本医師会

 刻々と状況が変化する中、新型コロナウイルス感染症の「臨床的特徴」や「感染が疑われる患者の要件」について、適時アップデートが行われている。2月5日の日本医師会の定例会見では、厚生労働省発出の文書に基づく現時点での定義や、今後の医療機関での対応の見通しについて、釜萢 敏常任理事が説明した。

新型コロナウイルス、ドイツで無症候性接触者からの感染症例/NEJM

 中国・武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(2019-nCoV)を巡り、無症状の潜伏期間中に接触者へ感染を広げるケースが相次いで報告されている。ドイツ・ミュンヘン大学医療センターのCamilla Rothe氏ら研究グループが、ドイツ国内で報告された、直近に渡航歴のないビジネスマンが無症候の初発患者から感染したとみられる症例を報告した。NEJM誌2020年1月30日号オンライン版に掲載。  報告症例は、1月29日に2019-nCoV陽性反応が確認されたドイツ人男性(33歳)について。

日本人高齢男性における飲酒と認知機能との関係

 大量の飲酒は、認知機能障害のリスク因子として知られているが、適度な飲酒においても同様の影響が認められるかどうかは、よくわかっていない。これまでの観察研究では、とくに高齢者において、中程度の飲酒による認知機能への潜在的なベネフィットが報告されているが、アジア人ではこの影響が実証されていなかった。滋賀医科大学のAli Tanweer Siddiquee氏らは、認知障害のない日本人高齢男性を対象に、飲酒レベルと認知機能との関連について調査を行った。Alcohol誌オンライン版2020年1月7日号の報告。

肺がんuncommon EGFR変異に対するアファチニブの有効性/JTO

 uncommon EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアファチニブの有効性を検討した知見が示された。uncommon EGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者におけるEGFR-TKIの有効性に関する臨床データは限られている。国立台湾大学病院のJames Chih-Hsin Yang氏らは、さまざまな臨床試験のプール解析から、アファチニブは、主要なuncommon EGFR遺伝子変異および複合変異を有するNSCLCに対して有効性を示すことを明らかにした。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年1月10日号掲載の報告。

新型コロナウイルス肺炎99例の疫学的・臨床的特徴/Lancet

 中国・武漢市金銀潭医院のNanshan Chen氏らは、2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)による肺炎の疫学的・臨床的特徴を調べるため、自院の全症例について調査した。その結果、2019-nCoVは併存疾患のある高齢男性が感染するリスクが高く、急性呼吸窮迫症候群などの重症で致命的な呼吸器疾患を引き起こす可能性があることが示唆された。Lancet誌オンライン版2020年1月30日号に掲載。  著者らは、2020年1月1~20日に武漢市金銀潭医院で2019-nCoVが確認された全症例について後ろ向き調査を実施した。症例はリアルタイムRT-PCRで確認し、疫学的、人口統計学的、臨床的、放射線学的特徴および検査データを解析した。アウトカムは2020年1月25日まで追跡。

新型コロナウイルスのゲノムの特徴/Lancet

 2019年12月に中国・武漢市で患者が報告され、その後、病原体として同定された新型コロナウイルス(2019-nCoV)について、中国疾病予防管理センターのRoujian Lu氏らがゲノム配列を調べた。その結果、2019-nCoVはSARS-CoVとは異なり、ヒトに感染する新たなβコロナウイルスと考えられた。系統解析では、コウモリがこのウイルスの最初の宿主である可能性が示唆されたが、武漢市の海鮮卸売市場で販売されている動物はヒトでのウイルス出現を促進する中間宿主である可能性が示された。さらに構造解析から、2019-nCoVがヒトのアンジオテンシン変換酵素(ACE)2受容体に結合できる可能性が示唆された。Lancet誌オンライン版2020年1月30日号に掲載。

日本人統合失調症患者における長時間作用型抗精神病薬の使用と再入院率~全国データベース研究

 統合失調症患者に対する抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)について、現在の処方状況および臨床結果を調査することは重要である。国立精神・神経医療研究センターの臼杵 理人氏らは、日本での統合失調症患者に対する抗精神病薬LAIについて、その処方割合と再入院率に関する調査を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年12月25日号の報告。  日本のレセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、オープンデータセットを作成した。統合失調症の患者レコードを使用した。

多様化する皮膚病治療に対応するために~『皮膚病診療』初の全面刷新

 昨今の皮膚病領域に関する治療薬や臨床の多様化、医療トラブルや患者さんとのコミュニケーショントラブル対応など、臨床現場で求められることが広範囲に及ぶ現状を受け、雑誌『皮膚病診療』が、2020年1月号から全面刷新された。臨床医のための皮膚病総合雑誌として 1978 年に創刊されて以降、皮膚病領域の症例報告を中心に毎号発刊されてきた。症例報告中心の基本的な編集方針は維持しながら、より多くの臨床医が医療現場で役立てられる情報を見やすくわかりやすく提供することを目的に、サイズアップやフルカラー化のほか、新たな連載企画がスタートしている。

新型コロナウイルス、推計感染者数は約7万6,000人か/Lancet

 中国湖北省・武漢市で発生し、急速に拡大している新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症を巡り、中国・香港大学李嘉誠医学院のJoseph T Wu氏ら研究グループは、2019年12月以降の感染の広がりについて予測。1月25日時点で、武漢市および周辺都市における感染者数は約7万6,000人に上ると見られる推計値を発表した。なお、中国保健当局が2月4日付で公表した中国国内の感染者数は約2万400例で、本研究の推計値とは3倍超の大きな開きがある。Lancet誌オンライン版1月31日号掲載の報告。

乳がん治療、ガイドラインに従わないときの生存率

 乳がん治療において、ガイドラインで推奨される治療を受け入れない乳がん患者もいる。もしガイドラインに従わない場合、生存率にどの程度影響するのだろうか。今回、シンガポールゲノム研究所のPeh Joo Ho氏らは、大規模な乳がん患者集団において推奨治療の非順守の予測因子および生存率への影響を検討した。その結果、ガイドラインで推奨された手術や放射線療法を順守しない場合、全生存が2倍以上悪化し、ガイドラインによる適切な治療に従うことの重要性が強調された。また、高齢患者でも同様の結果が得られ、推奨治療により恩恵を受ける可能性が示唆された。Scientific Reports誌2020年1月28日号に掲載。

米国うつ病患者の薬物療法と治療パターン

 ケアの潜在的なギャップを特定するためには、リアルワールドで患者がどのように治療されているか理解することが不可欠である。米国・Janssen Research & DevelopmentのDavid M. Kern氏らは、現在の米国におけるうつ病に対する薬理学的治療パターンについて解析を行った。BMC Psychiatry誌2020年1月3日号の報告。  2014年1月~2019年1月に、4つの大規模な米国レセプトデータベースよりうつ病患者を特定した。対象は2回以上のうつ病診断歴またはうつ病入院患者で、最初のうつ病診断の1年以上前および診断後3年間にデータベースへの登録がある患者を適格とした。

慢性炎症性皮膚疾患、帯状疱疹リスクと関連

 アトピー性皮膚炎や乾癬などの慢性炎症性皮膚疾患(CISD)と帯状疱疹の関連が示された。米国における横断研究の結果、帯状疱疹ワクチン接種が低年齢層で推奨されているにもかかわらず、多くのCISDで帯状疱疹による入院増大との関連が認められたという。米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院のRaj Chovatiya氏らが報告した。CISD患者は、帯状疱疹の潜在的リスク因子を有することが示されていたが、CISDの帯状疱疹リスクについては、ほとんど知られていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CISDに特異的なワクチンガイドラインを確立する必要があるだろう」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年1月17日号掲載の報告。

レビー小体型認知症の認知機能低下~アルツハイマー病との比較

 レビー小体型認知症(DLB)患者は、アルツハイマー病(AD)患者と比較し、認知機能低下がより速いといわれている。しかし、この認知機能低下の変動の違いについては、あまり注目されていなかった。ノルウェー・Haraldsplass Deaconess HospitalのLasse Melvaer Giil氏らは、DLB患者とAD患者の認知機能低下の違いについて検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年1月2日号の報告。  このDemVest研究では、軽度認知症患者222例(AD患者137例、DLB患者85例)を対象に、ベースラインから5年間のミニメンタルステート検査(MMSE)を実施し、評価を行った。学習年数、年齢、性別、診断を独立変数として、ベースラインでのMMSEの変動およびMMSE低下の変動性を評価するため、線形混合モデルを用いた。

アテゾリズマブ+ベバシズマブの肝臓がん1次治療、FDAに申請/Roche

 Roche社は、2020年1月27日、アテゾリズマブとベバシズマブ(商品名:アバスチン)との組み合わせで米国食品医薬品局(FDA)への補足生物製剤認可申請(SBLA)の提出が完了したと発表。この申請は第III相IMbrave150研究の結果に基づいている。  IMbrave150は、全身療法を未治療の切除不能HCCの501人を対象にアテゾリズマブ+ベバシズマブまたはsorafenibを比較した国際第III相多施設共同非盲検試験。アテゾリズマブ+ベバシズマブはソラフェニブと比較して、無増悪生存率(PFSのリスクを41%減少させた。

治療方針が明確に、「皮膚真菌症診療ガイドライン2019」

 2019年12月、日本皮膚科学会は「皮膚真菌症診療ガイドライン」を10年ぶりに改訂した。日本において、真菌感染症のなかでも、足白癬の有病率は人口の約21.6%、爪白癬では10.0%と推計される。この10年間に外用剤(クリーム、液剤、スプレー)や新たな内服薬が発売され、治療状況も変化しつつあるため、改訂した皮膚真菌症診療ガイドラインのポイントを紹介する。  皮膚真菌症診療ガイドライン2019によれば、“保険診療上認められていない治療法や治療薬であっても、すでに本邦や海外において医学的根拠のある場合には取り上げ、推奨度も書き加えた。保険適用外使用についても記載した”と記され、各疾患の治療についてはClinical question(CQ)が設定されている。

高齢患者に対するスボレキサントの安全性と有効性~使用成績調査のサブ解析

 スボレキサントの第III相国際共同試験において、高齢患者と非高齢患者との間で、スボレキサントの安全性および有効性プロファイルに明らかな変化は認められなかった。しかし、日常診療でみられる併存疾患を有する高齢患者に対して、スボレキサントの臨床プロファイルは評価されていなかった。MSD株式会社の竹内 裕子氏らは、日常診療での高齢不眠症患者に対するスボレキサントの安全性および有効性プロファイルをより明らかにするため、市販後の使用成績調査のサブグループ解析を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2019年12月20日号の報告。

「患者力」を上げるため、医師ができること

 ネット上の情報に振り回され、代替医療に頼ろうとする患者、自分で何も考えようとせず、すべてお任せの患者、どんな治療も拒否する患者…。本人がそう言うならば仕方がないとあきらめる前に、医師にできることはあるのか。2020年1月12~13日、「第1回医療者がリードする患者力向上ワークショップ」(主催:オンコロジー推進プロジェクト、共催:Educational Solution Seminar、アストラゼネカ)が開催された。本稿では、東 光久氏(福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)、上野 直人氏(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)、守田 亮氏(秋田厚生医療センター)による講演の内容を紹介する。