医療一般|page:164

医療者のブレークスルー感染率、3回vs.4回接種

 オミクロン株流行下において、感染予防の観点から医療従事者に対する4回目接種を行うメリットは実際あったのか? イスラエルでのオミクロン株感染ピーク時に、3回目接種済みと4回目接種済みの医療従事者におけるブレークスルー感染率が比較された。イスラエル・Clalit Health ServicesのMatan J. Cohen氏らによるJAMA Network Open誌オンライン版2022年8月2日号掲載の報告より。  本研究は、イスラエルにおけるオミクロン株感染者が急増し、医療従事者に対する4回目接種が開始された2022年1月に実施された。対象はイスラエルの11病院で働く医療従事者のうち、2021年9月30日までにファイザー社ワクチン3回目を接種し、2022年1月2日時点で新型コロナウイルス感染歴のない者。4回目接種後7日以上が経過した者(4回目接種群)と、4回目未接種者(3回目接種群)を比較し、新型コロナウイルス感染症の感染予防効果を分析した。感染の有無はPCR検査結果で判定され、検査は発症者または曝露者に対して実施された。

外科医の手術経験数に男女格差/岐阜大

 外科医不足が深刻化しているなか、外科医に占める女性の割合は増加している。しかし、指導的立場にある女性は極端に少ないとされる。  大阪医科薬科大学の河野 恵美子氏、東京大学の野村 幸世氏、岐阜大学の吉田 和弘氏らの研究グループは、女性外科医の手術修練に着目。日本の外科医の手術の95%以上が収録されているNational Clinical Databaseを用いて、6術式(胆嚢摘出術・虫垂切除術・幽門側胃切除術・結腸右半切除術・低位前方切除術・膵頭十二指腸切除術)における外科医1人あたりの執刀数を男女間で比較した。

統合失調症患者の肥満治療~システマティックレビュー

 統合失調症の病態および抗精神病薬の使用は、臨床的に有意な体重増加や、それに伴う死亡リスクの増加と関連している。FDA、EMA、MHRAなどから承認されている減量薬が利用可能であるにもかかわらず、現在の精神医学ガイドラインでは適応外の代替が推奨されており、これは肥満に関する精神医学以外のガイドラインの内容とも異なっている。英国・Royal Oldham HospitalのKenn Lee氏らは、統合失調症および精神病における抗精神病薬誘発性の体重増加および肥満の治療に対する、承認済み減量薬の有効性の評価を行った。その結果、いくつかの承認済み減量薬のうち、リラグルチドのエビデンスが最も強力であることが示唆された。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2022年7月14日号の報告。

COVID-19陽性者のメンタルヘルスに対するヨガの効果

 COVID-19パンデミックは、社会全体にストレス、不安、うつ病の増加をもたらした。とくにCOVID-19の検査で陽性となった人々では、メンタルヘルスやウェルビーイングへの影響が大きい。インド工科大学デリー校のNitesh Sharma氏らは、COVID-19の影響を受けた患者のストレス、不安、うつ病の軽減に対するヨガ介入療法の有効性を評価するため、COVID-19病棟における準ランダム化比較試験を実施した。また、COVID-19の影響を受けた患者のSpO2と心拍数の測定も実施した。その結果、ヨガ介入療法は、COVID-19陽性者のストレス、不安、うつ病の軽減に対し、実践可能な介入である可能性が示唆された。International Journal of Yoga Therapy誌2022年1月1日号の報告。

オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請/ファイザー

 ファイザー社は8月8日付のプレスリリースで、オミクロン株対応の新型コロナウイルスワクチンを厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。今回申請したワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源株と、オミクロン株BA.1系統のスパイクタンパク質をそれぞれコードする2種類のmRNAを含む2価ワクチンで、生理食塩水での希釈が不要なRTU製剤となっている。  同社の2価ワクチンの効果については、6月25日付の米国でのプレスリリースによると、56歳以上を対象とした第II/III相試験において、現行のワクチンと比較してオミクロン株BA.1に対して大幅に高い中和抗体反応を示し、中和抗体価の幾何平均比(GMR)は、2価ワクチン30μgで1.56(95%信頼区間[CI]:1.17~2.08)、60μgで1.97(95%CI:1.45~2.68)であった。追加接種から1ヵ月後では、オミクロンBA.1に対する中和幾何平均抗体価(GMT)が、30μgで9.1倍、60μgで10.9倍に追加接種以前より増加した。

「BA.1対応型」で10月接種開始予定、小児へのワクチンは「努力義務」に変更/厚労省

 オミクロン株対応ワクチンについて、本邦では10月半ば以降、初回接種を完了したすべての住民を対象に接種を開始することを想定して「BA.1対応型」2価ワクチンの導入を進めることが、8月8日に開催された第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。また同会では、小児(5~11歳)の新型コロナワクチン接種について現行の取り扱いを変更し、努力義務の適用とすることも了承された。

スタチン服用の日本人患者で発がんリスクが有意に低下

 スタチン製剤の服用によって、日本人の脂質異常症患者の発がんリスクが低下したことが報告された。東京理科大学の前田絢子氏らが、保険請求データを用いた大規模な人口ベースの後ろ向きコホート研究を行い、スタチン製剤と日本人患者における発がんリスクの関係を調査した。近年の調査において、スタチン製剤が特定のがんの発生率を低下させる可能性が示唆されている。しかし、臨床試験では明らかにされておらず、日本人患者での調査も限定的であった。Cancer prevention research誌オンライン版2022年8月2日掲載。  本調査の対象は、2006~2015年に脂質異常症と新たに診断された患者。日本の保険請求データを用い、期間中にスタチン製剤を服用開始した群(服用群)と、年齢・性別・診断年に応じて無作為に抽出した非服用群を比較した。解析対象は各群23,746例で平均追跡期間は約2年、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。

レビー小体型認知症の初期症状~MEMENTO研究

 主観的認知障害(SCI)と軽度認知障害(MCI)は、レビー小体型認知症(DLB)の初期症状として知られている。フランス・ストラスブール大学病院のFrederic Blanc氏らは、ベースライン時にDLBの初期症状としてSCIおよびMCIを有する患者とそうでない患者の比較を行った。その結果、DLBの初期症状を有する患者では認知が遅く、行動障害、自律神経症状、羞明が多く認められ、脳MRIにおける後頭葉、前頭葉、嗅球の関与は、症状や既知の神経病理学的特徴と一致していたことが報告された。Alzheimer's Research & Therapy誌2022年7月19日号の報告。

10代女性における不眠症と地中海食との関係

 これまでの研究で、食事の質の低さと睡眠障害との関連が示唆されている。地中海式食事療法は、高品質の食事療法であり、健康全体に対し有益な効果があるといわれている。イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのZahra Yaghtin氏らは、思春期女性における地中海式食事パターンのアドヒアランスと不眠症スコアとの関連を調査した。その結果、イランの思春期女性では、修正済み地中海式食事スコアのアドヒアランスと不眠症レベルとの間に逆相関が認められた。BMC Nutrition誌2022年6月29日号の報告。

コロナ感染後の心筋梗塞・脳卒中発生率、ワクチン接種者vs.未接種者/JAMA

 韓国・国民健康保険公団(National Health Insurance Service)のKim Young-Eun氏らが、新型コロナウイルス感染後のワクチン接種と急性心筋梗塞(AMI)および虚血性脳卒中との関連を調査した。その結果、新型コロナ感染後のAMIおよび虚血性脳卒中の発生率の増加は、血栓症のリスク増加に関連しており、ワクチンを完全接種することでワクチン接種が感染後の二次合併症のうちAMIおよび虚血性脳卒中のリスク低下に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版2022年7月22日号リサーチレターに掲載。

大気汚染と認知症リスク~メタ解析

 大気汚染と認知症リスクとの関連を調査した疫学研究の結果は、矛盾している。インド・National Institute for Research in Environmental HealthのVikas Dhiman氏らは、大気汚染による認知症発症リスクのプールされた推定値を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、微小粒子状物質PM2.5はすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症のリスク因子であり、オゾン(O3)はアルツハイマー病のリスク因子である可能性が示唆された。Neurology India誌2022年5-6月号の報告。

ニボルマブ+イピリムマブによる腎がんアジュバントの成績(CheckMate -914)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは2022年7月29日、限局性腎細胞がん(RCC)の術後補助療法として、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した第III相CheckMate-914試験のパートAにおいて、同併用療法が盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価による無病生存期間(DFS)の主要評価項目を達成しなかったことを発表した。  CheckMate -914試験は、根治的腎摘除術または腎部分切除術後の再発リスクが中等度から高度の限局性RCC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をプラセボと比較評価(パートA)およびニボルマブ単剤療法をプラセボと比較評価(パートB)した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験である。同試験の両パートの主要評価項目は、BICRの評価によるDFS、主な副次評価項目は、全生存期間(OS)および有害事象(AE)の発現率である。

未接種者とブレークスルー感染者、臨床転帰と免疫の違いは?

 国内における新型コロナ感染流行の第7波においては、ワクチン接種後の感染、いわゆるブレークスルー感染も多数報告されている。ワクチン接種を受けた感染者の大半は軽症か無症状だが、入院を要する者もいる。ワクチン接種者または未接種者で重症化した患者について免疫および臨床的特徴を調べたイタリア・フローレンス大学のGiulia Lamacchia氏らの研究がJournal of Clinical Immunology誌2022年7月9日号オンライン版に掲載された。

コロナ禍で医療資源確保のために国民へのお願い/4学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の流行拡大が深刻な様相を呈している。発熱外来には連日長蛇の受診者がならび診療予約の電話が鳴りやまない。また、救急搬送は大都市圏で稼働率9割を超え、受け入れ先医療機関の不足や長い待機時間などが大きな問題となっている。  こうした事態を鑑み、日本感染症学会(理事長:四柳 宏)、日本救急医学会(代表理事:坂本 哲也)、日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)、日本臨床救急医学会(代表理事:溝端 康光)の4学会は連名で「限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」を8月2日に急遽発表した。

コロナワクチン、医師はいくらまで払う?/1,000人アンケート

 第7波の到来により、医療者へもコロナワクチン4回目接種が始まった。6月にCareNet.comが会員医師に行った『ワクチン4回目接種、あなたは受けたい?/会員医師1,000人アンケート』の結果によると、回答者の7割が接種したいと回答していた(対象となったらすぐに接種したい:33%、対象となったら時期をみて接種したい:36%)。  ところで、ワクチン接種は現時点では全額公費負担(厚生労働大臣の指示に基づき国の負担により実施することを踏まえ、全国統一の単価で接種1回あたり2,070円[消費税については、定期接種の予防接種と同様の取り扱い。ワクチン代はワクチンを国が確保し供給するため含まれていない1)])であり、自分の懐が痛むことはない。だが、将来的に新型コロナワクチン接種が定着した場合は自己負担になる可能性が高く、もしも費用負担が発生したら、医師も接種を控えたいと考えるのだろうか。さらには、ほかのワクチンとの兼ね合いを考慮した適正価格や、患者負担の許容範囲はいくらが妥当と捉えているのだろうかー。

全粒粉穀物がもたらす身体への効果/日本糖尿病学会

 5月12日~14日まで神戸市で「第65回 日本糖尿病学会年次学術集会」(会長:小川 渉氏[神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学 教授])が「知の輝きと技の高みへ」をテーマに開催された。  本稿では「シンポジウム 糖尿病食事療法研究の最前線」より「穀物由来の食物繊維の生活習慣病予防効果」(青江 誠一郎氏 [大妻女子大学家政学部食物学科])をお届けする。  食物繊維の摂取量と糖尿病などの生活習慣病の発症には負の相関関係があることは知られているが、どういった穀物の摂取が勧められるのであろうか。

4回目接種、感染予防は限定的だが重症化・死亡に高い効果

 国内ではワクチン4回目接種の対象が医療者等に拡大されたが、接種が先行する海外では4回目接種の有効性の検証が行われている。世界に先駆けてワクチン接種を開始したイスラエルにおいて、施設に入居する高齢者を対象とした4回目接種の有効性を見たコホート試験の結果が、JAMA Internal Medicine誌オンライン版6月23日号に掲載された。 本試験はオミクロン株による感染が主流となった2022年1月10日~3月31日にイスラエルで実施され、当時の接種対象となった60歳以上で、高齢者施設に入居または通所している人を対象とした。BNT162b2(ファイザー製)の3回接種者と4回接種から7日以上経過した者を対象とし、COVID-19の感染、入院、死亡の累積発生数を比較した。

日本人統合失調症患者における社会認知の認識調査

 社会認知は、統合失調症患者の社会機能に影響を及ぼす。しかし、患者自身が社会認知をどのように認識しているかは、ほとんど知られていない。東邦大学の内野 敬氏らは、統合失調症患者に対し、社会認知に関する知識、社会認知関連の臨床経験、社会生活における社会認知の役割の認識、社会認知の主観的困難感と社会機能の関係についてのインターネット調査を行った。その結果、統合失調症患者は社会認知に関して強く主観的困難を感じており、それが社会機能と関連していることを認識していたことが明らかとなった。しかし、「社会認知」という言葉やそれらに関する認識は十分とはいえず、社会認知の評価や治療は通常の臨床現場で普及していない可能性が示唆された。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年6月29日号の報告。

ペグフィルグラスチム自動投与デバイスが承認取得、化学療法後の通院不要に/協和キリン

 協和キリンは、2022年8月1日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス(製品名:ジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッド)について、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした製造販売承認を7月28日付で取得したことを発表した。  ジーラスタはAmgen K-A 社より導入した持続型 G-CSF 製剤。がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として日本にて2014年より販売しており、医療機関では通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与される。同デバイスは、薬剤が一定時間後に自動で投与される機能を搭載している。がん化学療法と同日に使用することでジーラスタ投与のための通院が不要となることから、患者さんの通院と医療従事者の業務の負担軽減が期待される。