医療一般|page:210

ビソプロロール錠0.625mg供給不足に伴う対応/日本心不全学会

 16日、ビソプロロール錠の供給が多くの地域で不足する事態となっていることを受け、日本心不全学会が提言を公表した。本剤は、左室駆出率が低下した心不全の標準治療薬として重要な役割を果たすものであり、供給が安定するまでの間の対応策として以下が提案された。 (1)供給不足に伴いβ遮断薬の投薬を中止することは避ける。 (2)ビソプロロール錠0.625mgを処方する場合、できる限り長期処方を避ける。 (3)ビソプロロール錠2.5mgの供給がある場合は、用量に応じて0.25錠(0.625mg)あるいは0.5錠(1.25mg)として同用量を継続する。 (4)投与継続が困難な場合、以下を参考にカルベジロール錠へ切り替える。

EGFR EXON20変異の非小細胞肺がんに対するEGFR-MET二重特異性抗体amivantamabの評価(CHRYSALIS)/JCO

 EGFR exon20挿入変異(Exon20ins)を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)は、従来のチロシンキナーゼ阻害薬に対して耐性を示す。一方、amivantamabはEGFRとMETの双方の受容体の細胞外ドメインに結合し、TKI結合部位での耐性を回避するEGFR-MET二重特異性抗体である。  韓国のKeunchil Park氏らは、化学療法進行後のEGFR Exon20insを有するNSCLC患者に対する第I相試験初回解析において、amivantamab単剤の有効性と忍容性を報告した。

抗CGRP抗体フレマネズマブ治療後の頭痛重症度と期間の変化

 フレマネズマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的としたヒト化モノクローナル抗体であり、片頭痛回数の減少が期待できる薬剤である。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは、慢性片頭痛(CM)または反復性片頭痛(EM)患者を対象に、抗CGRP抗体フレマネズマブ治療による頭痛発作の重症度と期間に対する影響を評価した。Headache誌2021年6月号の報告。  3つの12週間ランダム化二重盲検第III相試験(HALO CM、HALO EM、FOCUS)のデータを用いて、探索的事後分析を実施した。3つの試験いずれにおいても、CMまたはEM患者をフレマネズマブ3ヵ月に1回投与群(1ヵ月目:フレマネズマブ675mg、2ヵ月目:プラセボ、3ヵ月目:プラセボ)、フレマネズマブ月1回投与群(1ヵ月目[CM]:フレマネズマブ675mg、1ヵ月目[EM]:225mg、2ヵ月目以降:225mg)、プラセボ月1回投与群に1対1対1の割合で割り付けられた。中~重度の頭痛日数の割合、ピーク時の頭痛重症度、毎月の平均頭痛時間(任意の重症度および中等度以上の重症度)、1日当たりの平均頭痛時間(すべての重症度)について、ベースラインからの変化を評価した。

初発統合失調症に対する薬理学的治療アルゴリズム~日本臨床精神神経薬理学会

 初回エピソードの統合失調症に対する治療アルゴリズムは、十分ではない。さらに、すべてのアルゴリズムは、急性期治療の適応であって、維持療法には当てはまらない。慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、初回エピソード統合失調症のための急性期および維持期の治療アルゴリズムの作成を試みた。Human Psychopharmacology誌オンライン版2021年7月9日号の報告。  日本臨床精神神経薬理学会のアルゴリズム委員会は、初回エピソード統合失調症の急性期、興奮状態、維持期における薬理学的治療アルゴリズムを作成した。  主な結果は以下のとおり。

コロナ治療薬「ロナプリーブ」、短期入院や宿泊療養でも使用可/厚労省

 厚生労働省は8月13日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として先月、国内における製造販売を承認した「ロナプリーブ点滴静注セット300」「同1332」について、医療機関への配分を指示する事務連絡(2021年7月20日付で発出)の一部を改訂。主に軽症者~中等症を受け入れる医療機関における短期入院や、宿泊療養施設での使用も想定されるとの認識を示し、新たに記載を追加した。  今回の追記は、事務連絡の別添にある質疑応答集に加えられたもの。「ロナプリーブ」は、現状として安定的な供給が難しいことから、当面の間、重症化リスクのある入院患者が投与対象となり、本剤の配分を受けられる医療機関は、投与対象者を受け入れている病院または有床診療所とされていた。

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021、“腰痛の有無”を削除

 『腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021 改訂第2版』が5月に発刊された。2011年の初版を踏襲しつつも今版では新たに蓄積された知見を反映し、診断基準や治療・予後に至るまで構成を一新した。そこで、腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン(GL)策定委員長の川上 守氏(和歌山県立医科大学 名誉教授/済生会和歌山病院 院長)に、脊柱管狭窄症の評価方法や難渋例などについて話を聞いた。  腰部脊柱管狭窄症診療ガイドラインの目的の1つは、これを一読することで今後の臨床研究の課題を見つけてもらい、質の高い臨床研究が多く発表されるようになることだが、脊柱管狭窄症の“定義”自体に未だ完全な合意が得られていない。そのため診断基準も日進月歩で、明らかになった科学的根拠を基に随時更新を続けている。今回は腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン初版の診断基準で提示していた「歩行で増悪する腰痛は単独であれば除外する」を削除し、以下のとおりに「腰痛の有無は問わない」と明記された。

脊髄性筋萎縮症で初の経口治療薬エブリスディ発売/中外製薬

 中外製薬株式会社は、8月12日に乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬であるリスジプラム(商品名:エブリスディ)のドライシロップ60mgの販売を開始した。本製品はSMAで初の経口の治療薬であり、患者・患児の治療での利便性の向上が期待される。  SMAは、脊髄の運動神経細胞の変性により筋萎縮や筋力低下を示す遺伝性の神経筋疾患。乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患で、乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人とされる。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患。

片頭痛発作の発症抑制薬、アイモビーグ皮下注発売/アムジェン

 アムジェン株式会社は2021年8月12日、ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤 エレヌマブ(遺伝子組換え)(商品名:アイモビーグ)を発売したことを発表した。本剤は2021年6月に「片頭痛発作の発症抑制」の効能又は効果で製造販売承認を取得していた。  本剤はCGRP受容体を阻害することで片頭痛患者における片頭痛を予防できるように特異的にデザインされた完全ヒトモノクローナル抗体。複数の臨床試験で本剤の安全性および有効性が検討されている。4,000人以上の患者が本臨床試験プログラムに参加した。アイモビーグは、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、スイスメディック(Swissmedic)、オーストラリア医療製品管理局(TGA)など、世界の多くの規制当局から成人の片頭痛予防薬として承認されている。

PTSDに対する心理療法のための治療同盟~メタ解析

 治療を成功させるために、治療同盟は有用な要素である。恐怖、不信、回避などの症状を有するPTSD患者では、治療同盟がとくに重要であるにもかかわらず、包括的なシステマティックレビューによる検討は、行われていなかった。英国・マンチェスター大学のRuth Howard氏らは、PTSD患者における治療同盟を予測できる可能性のある因子および治療同盟がアウトカムに及ぼす影響について調査を行った。Clinical Psychology & Psychotherapy誌オンライン版2021年7月8日号の報告。

乾癬治療の生物学的製剤、重篤感染症リスクの違いは?

 乾癬治療の生物学的製剤と重篤感染症リスクについて、生物学的製剤を選択する際に有用な研究報告が、フランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)のLaetitia Penso氏らによる中等症~重症の乾癬患者を対象としたコホート研究で示された。 エタネルセプト新規使用者を比較対照とした重篤感染症リスクは、インフリキシマブ、アダリムマブでは高い一方、ウステキヌマブでは低かった。またIL-17およびIL-23阻害薬やアプレミラストでは重篤感染症リスクの増大は認められなかったものの、非ステロイド性抗炎症薬や全身性コルチコステロイドとの併用によって増大したという。著者らは、「さらなる観察研究で、最新の薬剤に関する結果を確認する必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年7月21日号掲載の報告。

日本の子宮頸がん、過去10年の罹患率増は世界ワースト

 子宮頸がんは、発症頻度は高いものの予防や制御のしやすいがんであり、先進国においては経済や社会の発展に伴って、罹患数や死亡数は減少トレンドにある。しかし、感染予防に最も効果的なHPVワクチンの接種が進んでいない日本においてはこの傾向と反する状況にあることが新たな研究で裏付けられた。子宮頸がんの罹患率・死亡率と、人間開発指数(HDI)との関連を調べた中国チームの調査によるもので、Cancer誌オンライン版8月9日号に掲載された。  研究チームは、2018年の子宮頸がんの罹患率と死亡率をGLOBOCANデータベースから抽出し、平均寿命、教育、国民総所得からなる平均的な社会経済的発展の指標である人間開発指数との相関関係を分析した。現在のトレンドはCancer Incidence in Five Continents PlusとWHO(世界保健機関)の死亡率データベースから経時的なデータが得られる31ヵ国を対象に、Joinpoint回帰法による年間変化率を用いて分析した。さらに、うち27ヵ国を対象に、今後15年間の将来の傾向についてAPCモデルを用いて予測した。

双極性障害に対する認知行動療法の有効性~システマティックレビュー

 双極性障害は、慢性的な経過をたどり、死亡リスクに重大な影響を及ぼす精神疾患である。双極性障害の生涯有病率は、1~1.5%といわれており、躁症状とうつ症状またはその両方が認められる混合状態の再発エピソードを特徴としている。双極性障害の治療には、薬理学的および心理学的治療があり、認知行動療法(CBT)の有用性が示されているものの、現在のエビデンスでは十分な臨床情報が得られていない。ペルー・Hospital de Emergencias Villa El SalvadorのGlauco Valdivieso-Jimenez氏は、双極性障害に対するCBT単独療法または薬理学的治療の補助療法としてのCBT併用療法の有効性を判断するため、システマティックレビューを実施した。Revista Colombiana de Psiquiatria誌オンライン版2021年7月6日号の報告。

新型コロナ治療薬「レムデシビル」が薬価収載、10月にも流通へ

 ギリアド・サイエンシズ株式会社は8月12日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ベクルリー点滴静注用100mg」(一般名:レムデシビル)が、同日付で薬価収載されたと発表した。薬価は1瓶(100mg)当たり63,342円。  ベクルリーは、2020年5月1日に米国食品医薬品局(FDA)よりCOVID-19治療薬としての緊急時使用許可を受け、日本では同年5月7日に特例承認された。投与の対象となるのは、ECMO装着患者、人工呼吸器装着患者、ICU入室中の患者であって除外基準や基礎疾患の有無を踏まえ、医師の判断により投与することが適当と考えられる患者、および「ECMO装着、人工呼吸器装着、ICU入室」以外の入院患者うち、酸素飽和度94%(室内気)以下または酸素吸入が必要で、除外基準や基礎疾患の有無を踏まえ、医師の判断により投与することが適当と考えられる患者、となっている。

米CDCが妊婦のコロナワクチン接種推奨「リスクよりベネフィット上回る」

 妊娠中および授乳中の女性にとって、新型コロナワクチン接種による副反応を含めた身体への影響は、もっとも懸念するところである。しかし、感染力が強く急激に悪化するデルタ株の世界的まん延は、接種をためらう猶予すら与えない脅威になっているようだ。米国・疾病対策センター(CDC)は8月11日付でウェブサイトを更新し、ワクチン接種によって流産などのリスクが高まる懸念は見られなかったとする新たなデータを公表した。CDCは「ワクチンによって得られるベネフィットがリスクを上回ることを示唆している」として、妊婦の接種を強く推奨している。

小児に対する向精神薬の使用とリスク

 メンタルヘルスの問題と関連する自殺企図は、成人および小児において増加している。メンタルヘルスに問題を抱える患者が増加しているため、成人だけでなく小児においても向精神薬の使用が増加している。しかし、小児に対する向精神薬の使用は、潜在的な有害リスクと関連している可能性がある。米国・Le Bonheur Children's HospitalのKiley Hunter氏らは、米国中毒管理センター協会(AAPCC)の国立中毒データシステム(NPDS)に報告されたデータを用いて、小児に対する向精神薬使用の傾向とアウトカムについて、調査を行った。Clinical Toxicology誌オンライン版2021年7月1日号の報告。

重症COVID-19入院患者への新たな治療薬検証する臨床試験開始へ/WHO

 WHOは、8月11日付で発表したプレスリリースにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した重症患者に対し、マラリアやがん治療などに使われている既存薬3種の治療効果を検証する臨床試験(Solidarity PLUS trial)を開始することを明らかにした。臨床試験は52ヵ国600超の病院から数千人規模の入院患者を登録し、実施される見通し。  WHOは、既存候補薬のCOVID-19入院患者への有効性を検証するため、オープンラベルのランダム化比較試験(Solidarity trial)を2020年3月から実施。単一のプロトコルを使用して同時に複数の治療法を評価するもので、試験の過程を通じて効果のない薬剤については評価を打ち切る一方、新たな候補薬を逐次追加できるデザインだ。これまでに、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル、インターフェロンβ-1aの4剤について評価が行われ、いずれも有効性が確認されず、すでに試験が打ち切られている。

周産期うつ病に対する心理学的介入の有効性~メタ解析

 周産期うつ病は、心身に重大な影響を及ぼすメンタルヘルスの問題であり、非常にまん延している疾患である。周産期うつ病の治療において、効果的な心理学的介入に関するエビデンスは増加しているものの、これらの調査結果は、包括的に評価されていない。ポルトガル・コインブラ大学のMariana Branquinho氏らは、周産期うつ病に対する心理学的介入の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年8月1日号の報告。

がん悪液質は非小細胞肺がんIO-Chemo治療の予後不良因子か

 がん悪液質は免疫チェックポイント阻害薬の単剤療法の予後不良因子であることが示されているが、化学免疫療法に関する、その関係の検討は少ない。京都府立医科大学の森本健司氏らは後ろ向き解析により、非小細胞肺がん(NSCLC)において、がん悪液質が化学免疫療法予後の不良因子である可能性を明らかにした。  わが国の12施設で化学免疫療法を受けたNSCLC患者を対象に医療記録を後ろ向きに解析した。がん悪液質の定義は、化学免疫療法開始前6ヵ月以内の、5%以上の全体重減少、BMI20 kg/m2の対象者では2%を超える全体重減少とした。

薬物乱用頭痛を伴う難治性慢性片頭痛に対するエレヌマブ

 薬物乱用頭痛を伴う難治性慢性片頭痛に対するエレヌマブの有効性および安全性について、イタリア・ボローニャ大学のUmberto Pensato氏らは、検討を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2021年7月5日号の報告。  薬物乱用頭痛を伴う難治性慢性片頭痛に対するエレヌマブの有効性および安全性を評価するため、実生活環境下におけるプロスペクティブ多施設共同試験を実施した。対象は、3クラス以上の薬理学的治療に加え、onabotulinumtoxinAによる治療が奏効しなかった慢性片頭痛患者。

統合失調症の認知機能障害とストレスや免疫系との関連~機械学習に基づく分析

 統合失調症の認知機能障害には、心理的ストレスと免疫系が関連しているといわれている。中国・電子科技大学のQi Zhang氏らは、機械学習アルゴリズムを用いて、慢性期統合失調症の認知機能障害とストレス免疫ネットワークパターンとの関連を調査した。Neuroscience Letters誌オンライン版2021年6月24日号の報告。  慢性期統合失調症患者37例および年齢、性別がマッチした健康対照者35例を対象に、認知機能障害とストレス免疫ネットワークパターンとの関連を明らかにするため、機械学習アルゴリズムを用いて分析を行った。統合失調症患者の心理的ストレスと免疫系に対する機能不全を反映する生化学的指標として、コルチゾール、腫瘍壊死因子(TNF)-α、インターロイキン(IL)-2、IL-6、IL-8を選択した。