医療一般|page:172

リブレの保険適用拡大で糖尿病学会が見解/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、2017年に発表した「間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM):FreeStyle リブレに関する見解」の内容を改訂し、4月1日に第4版を公表した。  今回の改訂は、「2022年4月より、リブレの使用に関する保険請求上の「C150-7」の対象者が『入院中の患者以外の患者であって、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っているもの』に拡大されたことを踏まえ、現在の医療環境に合わせた」と趣旨を示している。同時に「リブレは、糖尿病の日常の自己管理に有用であるが、必要時には血糖自己測定(SMBG)を行って血糖値を確認する必要がある。本品が有効かつ安全に用いられるよう、適正な使用方法について示す」としている。

抗精神病薬使用中の患者に対する心電図モニタリングの実践

 急性期および慢性期の精神症状の管理における抗精神病薬の使用は、不整脈による死亡率の増加と関連しているとされるが、心電図(ECG)モニタリングのタイミングや頻度に関するコンセンサスは十分に得られていない。米国・Zucker School of MedicineのLiron Sinvani氏らは、抗精神病薬を使用している成人患者(とくに入院患者)に対するECGモニタリングの現在の実施状況に関して調査を行った。Journal of Psychiatric Practice誌2022年3月3日号の報告。  2010~15年に8施設の医療機関で、入院中に抗精神病薬で治療された成人患者を対象に、マルチサイト・レトロスペクティブ・チャートレビューを実施した。主要アウトカムは、抗精神病薬使用後のECG実施とした。

MET exon14スキッピング肺がんにおけるsavolitinibの有望な結果/ELCC2022

 MET阻害薬savolitinibの非盲検第II相試験の結果が、欧州肺癌学会議(ELCC2022)で発表された。savolitinibは中国のMET exon14スキッピング変異を有する肺肉腫様がん(PSC)と非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し有望な成績を示した。  PSC(25例)とNSCLC(45例)全体の全生存期間(OS)中央値は12.5ヵ月という成績であった(追跡期間中央値28.4)。18ヵ月OS率は42%、24ヵ月OS率は31%である。

頭痛と認知症リスク~メタ解析

 頭痛とすべての原因による認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症との関連を明らかにするため、中国・人民解放軍北部戦区総医院のHuiling Qu氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2022年2月11日号の報告。  2021年10月8日までに公表されたコホート研究を、MeSH(medical subject headings)の用語およびキーワードを用いて、PubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Scienceより検索した。統計分析には、ソフトウェアStata ver.14.0を用いた。p>0.1およびI2≦50%の場合には固定効果モデルを、I2>50%(不均一性が大きい)の場合にはランダム効果モデルを用いた。出版バイアスの評価には、ファンネルプロットおよびEgger検定を用いた。

ニボルマブ、尿路上皮がん術後補助療法と切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん1次治療に対して欧州委員会より承認取得/BMS

 2022年4月5日、ブリストル マイヤーズ スクイブは、PD-L1発現レベル1%以上の根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がんの術後補助療法、切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)の1次治療薬として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が欧州委員会より承認を受けたことを発表した。ESCCに関してはニボルマブとイピリムマブの併用療法、ニボルマブとフルオロピリミジン系およびプラチナ系薬剤を含む化学療法の併用療法の2つで承認を取得した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(尿路上皮がん)、CheckMate-648試験(ESCC)の結果に基づいたものである。

会員医師の昨年度の最多年収帯は?/1,000人アンケート

 ケアネットでは、3月10日(木)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、82%の医師が昨年度の年収額を1,000万円以上と回答し、その中で最も多い年収帯は2,000~2,500万円であった(全体の15%)。また、全体の58%の医師が1,000~2,000万円の年収帯に分布し、2,000~3,000万円は20%、3,000万円以上は4%であった。  最多年収帯を年代別にみると、35歳以下が1,000~1,200万円(21%)、36~45歳が1,200~1,400万円(17%)、46~55歳が1,600~1,800万円および2,000~2,500万円(ともに19%)、56~65歳および66歳以上が2,000~2,500万円(22%、14%)だった。

HPVワクチン積極的勧奨再開にあわせたイベント&患者説明用フライヤー

 HPVワクチンは2013年に定期接種の対象となったが、その後に相次いで副反応疑いの事例が報告されたため、厚労省は接種を個別に呼びかける「積極的勧奨」を中断していた。その後、ワクチンの有効性に関するエビデンスが蓄積し、さらにはワクチン接種後の多様な症状とワクチン接種の関係を否定する報告などを背景に、今年4月より9年振りに積極的勧奨が再開されている。  今回の勧奨再開によって、定期接種の対象となる小学校6年生~中学3年生相当年齢の女子に対し、自治体から接種の案内が送付されるようになる。無料接種が可能なのは2価・4価ワクチンで、9価ワクチンや男性の接種は自費となる。併せて、積極的勧奨中断で接種機会を逃した1997~2006年生まれの女性が無料で接種を受けられる「キャッチアップ接種」や、定期接種の対象期間を過ぎて自費で接種を受けた人へ接種費用を払い戻す制度も用意されている。

SB623、外傷性脳損傷の第II相試験で良好な結果/サンバイオ

 サンバイオおよび子会社SanBio, Inc.は、2022年4月5日、外傷性脳損傷患者を対象に、ヒト(同種)骨髄由来加工間葉系幹細胞SB623と偽手術を比較した第II相試験(STEMTRA試験)の1年間の最終解析結果を発表。SB623は主要評価項目を達成した。  同臨床試験では61例の対象患者の46例にSB623が投与され15例が対照群として偽手術を受けた。主要評価項目である24週時点のFugl-Meyer Motor Scale(FMMS)は、SB623群で有意に改量し、運動機能の改善が認められた(SB623投与群8.3点、対照群2.3点、p=0.04)。

乳がん術前・術後補助療法、乳がん死亡率とその他の死亡率への影響~系統的レビュー

 乳がん治療における術前補助療法や術後補助療法は、乳がんによる死亡率を低下させる可能性がある一方、乳がん以外による死亡率を増加させる可能性がある。今回、英国・オックスフォード大学のAmanda J. Kerr氏らが系統的レビューを実施したところ、ほとんどの比較試験で、がんによる死亡率または再発率が10〜25%減少し、乳がん以外による死亡率の増加はみられなかったが、アントラサイクリンでの化学療法と放射線療法については乳がん以外による全死亡率が増加していた。Cancer Treatment Reviews誌オンライン版2022年3月4日号に掲載。

デュルバルマブのStageIII肺がん維持療法、逐次化学放射線療法後でも有望な結果(PACIFIC-6)/ELCC2022

 StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)の逐次化学放射線療法(SCRT)後のデュルバルマブ維持療法を評価する第II相PACIFIC-6試験の結果が、欧州肺癌学会議ELCC2022)で発表された。SCRT後のデュルバルマブ維持療法は、同時化学放射線療法(CCRT)後と同様の安全性プロファイルを示した。  切除不能なStageIII NSCLCでは、CCRTが標準治療である。しかし、高齢またはフレイルな患者などCCRTに耐えられない可能性のある患者には、SCRTが代替とされる。

高齢成人のうつ、不安、PTSDに対する性的虐待の影響

 性的暴力は、メンタルヘルスに重大な影響を及ぼすとされる。小児期の性的虐待は、その後の人生における内在化障害と関連しており、高齢の成人においては、性的暴力がこれまで考えられていた以上に多く発生している。後の人生における性的暴力への医療従事者の対応スキルは十分であるとは言えず、生涯(小児期、成人期、老年期)における性的暴力のメンタルヘルスへの影響に関する研究も不十分である。ベルギー・ゲント大学のAnne Nobels氏らは、高齢成人を対象に、性的虐待とメンタルヘルスへの影響について調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年2月28日号の報告。

3回目接種情報サイトを開設/モデルナ・ジャパン

 2022年4月4日、モデルナ・ジャパン株式会社(以下モデルナ社)はCOVID-19ワクチンの3回目接種を啓発・支援するため、新型コロナウイルスワクチン3回目接種情報サイト「どうする3回目接種?」を開設したことを公表した。  同サイトでは、ワクチン3回目の追加接種についての疑問や悩みに答えるべく、3つの知っておきたいこと(「3回目接種の必要性」、「交互接種について」、「3回目接種の副反応」)に関して、わかりやすい情報と動画を掲載。柔道家のウルフ・アロン氏、パラトライアスリートの谷真海氏がインタビュアーとしてそれぞれの目線で質問し、医師が解説する動画を視聴することができる。解説役はさくら・はるねクリニック銀座/順天堂大学 富坂美織氏、桜新町アーバンクリニック 遠矢純一郎氏の2名が務める。

無症状の濃厚接触者、「抗原検査が陰性なら出勤」は正しい?

 家庭内感染により自身が濃厚接触者になっても、医療者は抗原検査で陰性が確認されているなどの一定の要件を満たせば出勤することができる1)。ところが抗原検査キットには、有症状の患者データを基に承認されている物2)3)もある。また、海外では無症状者のみを対象にスクリーニングすると感度や特異性が低いとの評判も抗原検査キットにはある。そこで、米国・Weill Cornell MedicineのBradley A. Connor氏らはニューヨークのある企業の従業員をスクリーニングし、無症状者のPCR検査と抗原検査の結果の有効性と推定精度を比較・分析した。その結果、従業員スクリーニングのプログラム参加者に抗原検査を繰り返した場合、新型コロナウイルスのPCR検査で真陽性と判定される推定精度が38%から92%に増加したことが示唆された。JAMA Network Open誌3月18日号のリサーチレターでの報告。

片頭痛に対する抗CGRP抗体の有効性と安全性~メタ解析

 片頭痛治療に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした抗CGRP抗体の有効性および安全性を評価するため、中国・The First Affiliated Hospital of Wannan Medical CollageのTingting Huang氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2022年3月8日号の報告。  各データベース(PubMed、Embase、Cochrane Library、Chinese National Knowledge Infrastructure、WanFang Dataなど)より、片頭痛治療薬である抗CGRP抗体の2021年3月までのランダム化比較試験(RCT)を検索した。スクリーニング後、試験の方法論的質を評価した。メタ解析には、RevMan 5.3 softwareを用いた。

統合失調症患者の慢性期うつ病と臨床アウトカムとの関連

 統合失調症患者のうつ症状は、臨床アウトカムに影響を及ぼす重要な症状である。岡山大学のYuto Yamada氏らは、統合失調症患者の慢性的なうつ症状や自殺関連症状が将来の臨床アウトカムと関連しているか、向精神薬使用により臨床アウトカムの改善が認められるかについて、検討を行った。Psychopharmacology誌2022年3月号の報告。  対象は、2010~11年に岡山大学病院で治療を受けた15~64歳の統合失調症の外来患者462例。最終来院時(平均年齢19.2歳)での臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアと過去のうつ症状、自殺念慮、自殺企図との関連を調査した。病歴を含む複数の交絡因子による調整には、重回帰分析およびロジスティック回帰分析を用いた。

末梢動脈疾患ガイドライン、7年ぶりの改訂/日本循環器学会

 日本循環器学会と日本血管外科学会の合同ガイドライン『末梢動脈疾患ガイドライン(2022年改訂版)』が、7年ぶりの改訂となった。2度目の改訂となる今回は、末梢動脈疾患の疾病構造の変化と、それに伴う疾患概念の変遷、新たな診断アルゴリズムや分類法の登場、治療デバイスの進歩、患者背景にある生活習慣病管理やその治療薬の進歩などを踏まえた大幅な改訂となっている。第86回日本循環器学会学術集会(3月11~13日)で、末梢動脈疾患ガイドライン作成の合同研究班班長である東 信良氏(旭川医科大学外科学講座血管外科学分野)が、ガイドライン改訂のポイント、とくに第4章「慢性下肢動脈閉塞(下肢閉塞性動脈硬化症)」について重点的に解説した。

3回目接種後の心筋炎、若年者での発生状況とその転帰/JAMA

 とくに若い男性で、ごく稀ではあるもののmRNAワクチン接種後の心筋炎の発生が報告されている。1回目よりも2回目接種後に多い傾向が報告されているが、3回目接種後の発生率についてのデータは十分でない。イスラエル国防軍医療部隊のLimor Friedensohn氏らは、同軍の新兵における3 回目のワクチン接種と心筋炎リスクとの関連について、解析結果を報告。JAMA誌オンライン版2022年3月17日号にリサーチレターとして掲載された。  2021年8月15日、イスラエル国防軍(IDF)は、ファイザー社のBNT162b2ワクチンによる3回目接種を開始した。本研究では、2021年9月30日までにBNT162b2の3回目接種を受け、2021年10月14日までに心筋炎と診断されたすべての軍人を対象としている。心筋炎が疑われる症例はすべて病院に紹介され、診断は、臨床検査、心電図、心エコー、心臓MRI所見に基づき行われた。すべての診断は、独立した心臓専門医によって再確認されている。集計データをもとに、ワクチン接種後1週間と2週間における心筋炎発症率を算出した。

FDAがFGFR阻害薬futibatinibを胆管がんの優先審査に指定/大鵬薬品

 大鵬薬品とその米国子会社のTaiho Oncologyは、2022年3月30日、前治療歴を有するFGFR2遺伝子再構成(融合遺伝子を含む)を伴う進行胆管がんを対象とした共有結合型FGFR阻害薬futibatinib(TAS-120)の新薬承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)が優先審査指定で受理したと発表。  米国における同剤の申請は、FGFR2遺伝子融合またはその他の再構成を有する切除不能な局所進行・転移肝内胆管がん患者103例を対象とした第IIb相試験であるFOENIX-CCA2試験データに基づくもの。

第2世代抗精神病薬に関連する体重増加と併存疾患

 多くの第2世代抗精神病薬(SGA)は、体重増加や心血管代謝系の副作用の発現と関連している。抗精神病薬関連の体重増加は治療中断と関連しており、再発や入院のリスクを高める可能性がある。米国・AlkermesのMichael J. Doane氏らは、経口SGAによる治療を開始した統合失調症または双極I型障害で、中程度から重度の体重増加リスクを有する患者における臨床的に有意な体重増加、治療中断、心血管代謝系副作用の発症について評価した。BMC Psychiatry誌2022年2月14日号の報告。  患者レベルのレセプトデータおよび電気カルテデータ(2013年1月~2020年2月のOM1 Real-World Data Cloud)より、中程度から重度の体重増加リスクを有する経口SGAの使用経験のない患者を抽出した。SGAを開始する12ヵ月前と3ヵ月後の両方の時点で1回以上の体重測定を行った患者を対象に、体重の継続的な変化、臨床的に有意な体重増加(ベースラインから7%以上および10%以上の増加)、治療中断(切り替え、中止)、心血管代謝系副作用の発症について分析を行った。

オミクロン株への感染で他の変異株への感染を防げるか/NEJM

 新型コロナウイルスにおけるオミクロン株感染後の中和抗体プロファイルについては、ほとんどわかってない。オーストリア・Medical University of InnsbruckのAnnika Rossler氏らは、オミクロンBA.1株に感染した人の回復後の血清サンプルについて6つの変異株に対する中和抗体価を分析し、他の株への感染歴やワクチン接種歴別に検討した。その結果、オミクロンBA.1株にのみ感染したワクチン未接種者は、オミクロンBA.1株以外の株による感染を予防できない可能性があることが示唆された。NEJM誌オンライン版2022年3月23日号のCORRESPONDENCEに掲載。