術後に2~3年のタモキシフェン投与を受け、無病状態にあったホルモン受容体(HR)陽性の閉経後乳がん患者において、続いてアナストロゾールを投与した場合の効果を複数の期間で検討した結果が報告された。オランダ・マーストリヒト大学病院のVivianne Tjan-Heijnen氏が、第III相非盲検無作為化比較試験(DATA試験)の最終解析結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。
・対象:ER+および/またはPR+、2~3年の術後タモキシフェン投与を受け、再発のない閉経後乳がん患者1,660例
・試験群:
アナストロゾール(1mg/日)を6年間投与 827例
アナストロゾール(1mg/日)を3年間投与 833例
・評価項目:
[主要評価項目]無作為化後3年以降の調整無病生存率(aDFS)
[副次評価項目]調整全生存期間(aOS)
[層別化因子]リンパ節転移の状態、ホルモン受容体・HER2の発現状況、タモキシフェンの投与期間
主な結果は以下のとおり。
・2006年6月~2009年8月にオランダの79施設から1,660例が登録され、6年群(827例)または3年群(833例)に無作為に割り付けられた。
・調整追跡期間中央値は10.1年であった。
・ベースライン時の特性は両群でバランスがとれており、ER+およびPR+が6年群75.8% vs.3年群76.0%、pN1が52.5% vs.54.9%だった。
・10年aDFSは6年群で69.1% vs.3年群で66.0%となり、統計学的に有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.72~1.01、p=0.073)。
・10年aDFSのサブグループ解析の結果、ER+およびPR+の患者において、6年群で70.8% vs.3年群で64.4%(HR:0.77、95%CI:0.63~0.93)だったのに対し、ER+またはPR+の患者では、63.7% vs.70.9%(HR:1.22、95%CI:0.86~1.73)だった(相互作用のp=0.018)。さらに、ER+およびPR+かつリンパ節転移陽性の患者では68.7% vs.60.7%(HR:0.74、95%CI:0.59~0.93、p=0.011)、ER+およびPR+かつリンパ節転移陽性かつ腫瘍サイズ≧2cmの患者では70.0% vs.56.4%(HR:0.64、95%CI:0.47~0.88、p=0.005)だった。
・aOSは6年群で80.9% vs.3年群で79.2%となり、統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.93、95%CI:0.75~1.16、p=0.53)。
・aOSのサブグループ解析の結果、ER+およびPR+の患者においては6年群で82.7% vs.3年群で78.7%(HR:0.83、95%CI:0.65~1.07)、ER+またはPR+の患者では、75.2% vs.81.0%(HR:1.33、95%CI:0.86~2.05)だった(相互作用のp=0.051)。
Tjan-Heijnen氏は結論として、ホルモン受容体陽性乳がんのすべての閉経後女性において、アロマターゼ阻害薬による5年以上の延長治療を行うことは推奨できないとした。ただし、ホルモン受容体の状態(ER+およびPR+)、リンパ節転移の状態(リンパ節転移陽性)については、延長治療を行うにあたっての予測因子となる可能性があるとしている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)