医療一般|page:230

臓器移植患者、ワクチン3回接種で抗体価が大幅上昇/NEJM

 固形臓器移植を受けた患者は、新型コロナワクチンを2回接種しても免疫応答が弱いことが報告されている。そして、移植患者はワクチン2回接種後であっても感染後の重症化リスクが高いことが報告されている。これらを受け、フランス公衆衛生庁は、免疫抑制状態の患者に3回目の接種を行うことを推奨している。NEJM誌オンライン版2021年6月23日号「CORRESPONDENCE」では、3回接種した臓器移植患者の抗体価が報告された。

片頭痛日数減少に対する抗CGRP抗体の有効性~ネットワークメタ解析

 2016年のGlobal burden of disease研究によると、片頭痛は世界の一般的な疾患の第6位にランキングされており、重大な社会的および経済的な影響を及ぼす。エジプト・Fayoum UniversityのAhmed Taher Masoud氏らは、片頭痛に対する潜在的な薬理学的アプローチとしてのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体遮断薬の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌オンライン版2021年5月21日号の報告。

統合失調症の再発に対する抗精神病薬の減量リスク~メタ解析

 統合失調症の維持療法において抗精神病薬の減量は、副作用発現を最小限にとどめるという点で望ましい方法であると考えられるが、この戦略に対するエビデンスは十分ではない。デンマーク・University of Southern DenmarkのMikkel Hojlund氏らは、抗精神病薬の標準用量での治療と減量によるリスクとベネフィットの比較を行った。The Lancet. Psychiatry誌2021年6月号の報告。  2020年6月17日までの成人の統合失調症または統合失調感情障害患者を対象とした24週以上のランダム化比較試験をEmbase、Medline、PsycINFO、Cochrane Libraryより検索した。ベースライン時に臨床的に安定している患者および同一抗精神病薬を2回以上投与し比較した研究を含めた。初回エピソードまたは治療抵抗性統合失調症を対象とした試験は除外した。標準用量は、国際コンセンサス研究によって推奨されている治療用量の下限よりも高用量と定義した。低用量(標準用量の下限の50~99%)および超低用量(標準用量の下限の50%未満)と標準用量との比較を行った。患者数、治療、性別、年齢、イベント数、精神病理学的スコアの変化に関する文献データは、2人以上の著者により独立して抽出した。不足しているデータを収集するため、研究者またはスポンサーに電子メールで連絡した。共通の主要アウトカムは、再発およびすべての原因による中止とした。研究レベルのデータは、ランダム効果モデルを用いてメタ解析し、二値データではリスク比(RR)、連続データではHedges' gを算出した。プロトコールは、OSF registriesに登録した。

新型コロナ治療に中和抗体カクテル療法を承認申請/中外

 中外製薬は6月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療のためのcasirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法について、国内における製造販売の承認申請を行ったことを発表した。COVID-19患者を対象とした海外臨床第III相試験(REGN-COV 2067)の成績と、日本人における安全性・忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験の成績に基づき、厚生労働省に特例承認の適用を求めた。  本抗体カクテル療法は、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(casirivimab+imdevimab)を組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米国・リジェネロン社などが開発したもの。

COVID-19に対する政府対応の質がメンタルヘルスに及ぼす影響

 COVID-19のパンデミックは、公衆衛生、経済、メンタルヘルスに深刻なダメージを与えている。カナダ・トロント大学のYena Lee氏らは、ウイルス感染を減少させるための政府の厳格な措置をタイムリーに実施することが、メンタルヘルスにベネフィットをもたらすと仮定し、抑うつ症状発現率の減少に影響するかを調査するためシステマティックレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌2021年7月1日号の報告。  政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの違いがうつ症状の発症をどの程度緩和するかを調査するため、33ヵ国の研究(114件、64万37例)のシステマティックレビューを実施した。高所得国18ヵ国、上位中所得国9ヵ国、下位中所得国6ヵ国からのデータが含まれた。政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの評価には、Oxford COVID-19 Government Response("Stringency")Indexを用いた。うつ病の定義は、PHQ-9スコア10以上またはPHQ-2スコア3以上とした。

新型コロナワクチン後、乳房インプラント施行例でみられた免疫反応

 COVID-19ワクチン接種後、ヒアルロン酸注入歴などを有する症例で、まれに痛みや腫脹などの反応が報告されている。皮膚充填剤のような異物は、免疫系が刺激されることで何らかの反応を引き起こす可能性があるという。ドイツ・Marienhospital StuttgartのLaurenzWeitgasser氏らは、COVID-19ワクチン接種後1~3日の間に乳房インプラント施行歴のある4例で注目すべき反応がみられたとし、その臨床的特徴や経過をThe Breast誌オンライン版2021年6月18日号に報告した。

夏バテ対策のトップはこまめな飲水/アイスタット

 例年にない暑さが予想されている今年の夏。夏の暑さによる「夏バテ」は、老若男女を問わず起きりうる、身近な体調の悪化であり、生活の質や仕事や勉強の質を落とすリスクとなる。  この「夏バテ」について、働く世代の実際の状況はどのようなものか、株式会社アイスタットは6月18日にアンケートを行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員30~69歳の300人が対象。 調査概要 形式:WEBアンケート方式 期日:2021年6月18日 対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(30~69歳/全国)を対象

EGFR exon20挿入変異肺がんに対するDZD9008の可能性/ASCO2021

 EGFR exon20挿入変異(exon20ins)変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するEGFR阻害薬DZD9008の第I相試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、台湾大学のJames Chin-Hsin Yang氏から報告された。  EGFR exon20insはNSCLCの2%以下だが、これまでもいくつかの研究が行われている。本報告は、国際共同の2つの第I相試験を合算した中間解析結果である。 ・対象:EGFRまたはHER2 exon 20insを有する既治療の進行NSCLC ・介入:用量漸増コホートでは、DZD9008 50mg/100mg/200mg/300mg/400mg/日を投与、用量拡大コホートでは200mgと300mg/日を投与 ・評価項目: [主要評価項目]安全性、忍容性 [副次的評価項目]体内薬物動態、全奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、病勢制御率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)

産後のうつ病やQOLに対するアクアエクササイズの効果

 産後うつ病の有病率は、約20%といわれており、女性、乳児、そしてその家族に深刻な影響を及ぼす疾患である。スペイン・Hospital Comarcal de IncaのAraceli Navas氏らは、出産後1ヵ月間の産後うつ病、睡眠障害、QOLに対する中~強度のアクアエクササイズプログラムの有効性および安全性を評価するため、ランダム化臨床試験を実施した。Journal of Clinical Medicine誌2021年5月30日号の報告。  プライマリケア環境下における評価者盲検多施設共同並行群間ランダム化対照試験を実施した。スペイン・マヨルカ島のSon Llatzer Hospital産科部門が管轄する5つのプライマリケアセンターより、合併症リスクの低い妊娠14~20週の妊婦を募集した。妊婦320人は、中~強度のアクアエクササイズケアを行う群(介入群)と通常ケアを行う群(対照群)にランダムに割り付けられた。出産後1ヵ月における睡眠の質(MOS睡眠尺度)、QOL(QOL評価尺度:EQ-5D)、不安または抑うつ症状(エジンバラ産後うつ病自己評価尺度:EPDS)を評価した。

COVID-19入院患者へのトシリズマブを緊急使用許可/FDA

 中外製薬は6月25日、同社創製の関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したと発表した。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、非侵襲的もしくは侵襲的な人工呼吸、またはECMOが必要な入院中の成人および2歳以上小児がその対象となる。  今回の緊急使用許可は、4つのランダム化比較試験におけるCOVID-19入院患者、計5,500例超の成績に基づいており、酸素補給または呼吸補助を必要とするコルチコステロイド投与中の患者の転帰を改善する可能性があることが示唆された。

妊婦、子供は?各学会のワクチン接種に対する声明まとめ

 新型コロナワクチンの接種が進む中、疾患等を理由として接種に対して不安を持つ人を対象に、各学会が声明を出している。主だったものを下記にまとめた。 ■日本感染症学会 「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」 対象:全般 要旨:ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性等の基本情報 ■日本小児科学会 「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」 対象:子供(12歳以上) 要旨:まずは子どもの周囲への成人の接種を進める。そのうえで、12歳以上の子供へのワクチン接種は本人と養育者が十分に理解したうえで進めることが望ましく、個別接種を推奨する。

抗精神病薬による体重増加と臨床効果との関係

 これまでの研究において、抗精神病薬で治療中の慢性期統合失調症患者では、体重増加と精神病理学的改善効果の関連が示唆されている。しかし、多くの交絡因子の影響により、その結果は一貫していない。中国・首都医科大学のYing Qi Chen氏らは、抗精神病薬未治療の初回エピソード統合失調症患者において、体重増加が抗精神病薬の治療効果と関連しているかについて、調査を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2021年5月11日号の報告。

コロナワクチン後に心筋炎、CDCが接種との関連性を指摘

 米国疾病予防管理センター(CDC)は6月23日、新型コロナワクチンを接種した若年層において、心筋炎などの副反応と見られる症状が、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)に1,000件以上報告されていることを明らかにした。CDCは接種と関連している可能性を指摘し、さらなる調査を進めるとしている。ただ、これまでに投与されたワクチン総量と比しても発症はまれであり、COVID-19のリスクおよび関連合併症を考慮した上で、ワクチン接種を引き続き推奨する方針だ。

日本人CVD高齢者のMCI検出に対するRDST-Jの有用性

 心血管疾患(CVD)を有する高齢者では、認知機能低下が認められることが多く、このことでセルフマネジメント能力を低下させる可能性がある。しかし、軽度認知障害(MCI)を鑑別するための方法は、臨床現場で常に実行可能であるとは限らない。名古屋大学の足立 拓史氏らは、認知症の認知機能低下を簡易的に判定する検査ツールRapid Dementia Screening Test日本語版(RDST-J)を用いることで、MCI検出が可能かを評価した。Journal of Geriatric Cardiology誌2021年4月28日号の報告。

ALK陽性肺がんにおけるct-DNAのバイオマーカーとしての可能性(CROWN)/ASCO2021

 未治療のALK陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)における第3世代ALK‐TKIロルラチニブの第III相CROWN試験。バイオマーカーとしての血中腫瘍DNA(ct-DNA)の追加解析がASCO2021で発表され、早期のct-DNAの変化がロルラチニブの効果予測と関係する可能性が示された。 CROWN試験・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mgx2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性、ct‐DNAバイオマーカー

マントル細胞リンパ腫1次治療、ベネトクラクス+レナリドミド+リツキシマブが有望/ASCO2021

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対し、レナリドミド+リツキシマブ(R2療法)とベネトクラクスの併用は、用量制限毒性(DLT)を認めず忍容性は良好で、高リスク患者の治療に有望であることが示された。米国・ミシガン大学 Rogel Cancer CenterのTycel Jovelle Phillips氏が、第Ib相試験の中間解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。 ・対象:未治療MCL成人患者(ECOG PS 0~2)28例

片頭痛発作を抑制する2つの新抗体製剤が承認取得

 2021年6月23日、新たな片頭痛予防薬2剤が国内製造販売承認を取得したことが発表された。大塚製薬株式会社の抗CGRPモノクローナル抗体製剤フレマネズマブ(遺伝子組換え)(商品名:アジョビ皮下注225mgシリンジ)、アムジェン株式会社の抗CGRP受容体モノクローナル抗体製剤エレヌマブ(遺伝子組換え)(商品名:アイモビーグ皮下注70mgペン)である。いずれも神経ペプチドのCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とする抗体製剤で、片頭痛薬として2021年1月に国内承認を取得したガルカネズマブ(遺伝子組換え)(商品名:エムガルティ)に続く承認となった。

二次性副甲状腺機能亢進症治療薬ウパシカルセトナトリウム水和物が承認取得/三和化学

 株式会社三和化学研究所は6月23日、ウパシカルセトナトリウム水和物(商品名:ウパシタ)が、血液透析下における二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬として厚生労働省より製造販売承認を受けたことを発表した。  ウパシカルセトナトリウム水和物は、透析回路から投与できる注射剤であるため、飲水量が厳しく制限されている透析患者への負担の軽減、確実な投与が期待される。  二次性副甲状腺機能亢進症は、慢性腎臓病の進行に伴い発症する合併症の1つで、副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される病態である。PTHが過剰に分泌されると骨からリンおよびカルシウムの血中への流出が促進され、その結果、骨折や心血管系の石灰化による動脈硬化などの発症リスクが高まり、生命予後に影響を及ぼすことが報告されている。

再発/難治性濾胞性リンパ腫、CAR-T(tisa-cel)は有望(ELARA)/ASCO2021

 複数回治療を受けた再発/難治性濾胞性リンパ腫(r/r FL)における抗CD19 CAR-T細胞療法薬tisagenlecleucel(tisa-cel)の有効性と安全性を評価した国際単群第II相試験「ELARA試験」の主要解析の結果を、米国・ペンシルベニア大学のStephen J. Schuster氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。高い奏効率と良好な安全性プロフィールが示され、r/r FL患者にとって有望な治療であることを報告した。  FL患者の約20%は初回治療後2年以内に再発し、治療ラインが増えるに従いアウトカムは不良となっていくことから、新たな治療が切望されている。tisa-celは、難治性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者において持続的奏効や良好な安全性プロファイルが示されていた。