医療一般|page:229

ファイザー/モデルナワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARSCoV-2))であるコミナティ筋注(ファイザー)とCOVID-19ワクチンモデルナ筋注(武田薬品工業)について、使用上の注意の「重要な基本的注意」の項に心筋炎および心膜炎に関する注意喚起を追記するよう、7月7日付けで改訂指示が発出された。  今回の改訂指示は、国内ではこれらのワクチンとの因果関係が否定できない心筋炎および心膜炎の副反応疑い報告はないものの、以下の状況を考慮し、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断されたことによる。 ・海外において、因果関係は不明であるが、これらのワクチンの接種後に心筋炎および心膜炎が報告されていること ・海外において、心筋炎および心膜炎の注意喚起がなされていること ・国内においても、因果関係は不明であるが、症例集積が認められること ・心筋炎、心膜炎が疑われる症状が認められた場合には医師の診察を受ける旨をあらかじめ被接種者に指導することが、早期発見および重症化への対処の上で重要であると考えること ・接種対象者の拡大に伴うAYA世代への接種数増加が予想されること

タンパク質の効果的な摂取方法とは?

 昨年、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」において、65歳以上のタンパク質目標摂取量が総エネルギー量の15~20%に改定された(以前は、18歳以上の全年代で13~20%)。  これを受け、6月28日に一般社団法人Jミルク主催のメディアミルクセミナーが開催され、藤田 聡氏(立命館大学 スポーツ健康科学部 教授)が「タンパク質の“質“と効果的な摂取法」をテーマに講演を行った。  加齢と共にアミノ酸から合成される筋肉量が減少する。十分な運動を行った場合でも加齢に伴う筋肉量の低下を防ぐことは難しい。筋肉量の低下は、内臓脂肪の増加やインスリン抵抗性に関与し糖尿病のリスクとなることが報告されている。また、筋肉量の低下は心疾患や死亡のリスクを高めるとの報告もある。

中国製不活化ワクチン、3~17歳に良好な安全性と免疫応答

 新型コロナワクチンの成人に対する接種が世界的に広がっているが、小児に対する有用性を検証することを目的とした臨床試験も進んでいる。中国において3~17歳の小児および青年を対象とした研究の結果が発表された。The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版6月28日号掲載の報告。  中国・河北省にある疾病対策センターで、3~17歳の健康な小児および青年を対象に、中国Sinovac Biotech社の不活化ワクチン「CoronaVac」(WHO緊急使用リストおよび33ヵ国で承認済み)の二重盲検無作為化比較第I/II相試験を行った。

日本人反復性片頭痛患者に対するガルカネズマブの治療満足度~第II相試験

 京都・立岡神経内科の立岡 良久氏らは、反復性片頭痛の予防に対しガルカネズマブ(GMB)を投与された日本人患者の治療満足度(4~14ヵ月間の1ヵ月当たりの片頭痛日数)について、評価を行った。Neurology and Therapy誌2021年6月号の報告。  この第II相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、日本の医療機関40施設において、18~65歳の片頭痛患者が登録された。対象患者は、プラセボ群230例、GMB皮下注120mg(GMB120群)115例、GMB皮下注240mg(GMB240群)114例にランダムに割り付けられ、6ヵ月間の投与を行った。治療に対する印象は、患者による重症度の改善度(PGI-S)、患者による全般印象度の改善度(PGI-I)、薬剤に対する患者の満足度質問票(PSMQ-M)を用いて評価した。PGI-Sはベースライン時および1~6ヵ月、PGI-Iは1~6ヵ月、PSMQ-Mは1および6ヵ月目に評価を行った。GMB群とプラセボ群におけるPGI-Iスコアの違い、PGI-Sスコアのベースラインからの変化、PGI-IとPSMQ-Mのポジティブな反応を評価するため、分析を行った。

抗精神病薬で治療された統合失調症患者における非アルコール性脂肪性肝疾患リスク

 統合失調症患者のメタボリックシンドローム有病率は、一般集団よりも高いことはよく知られているが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率については、あまり知られていない。下総精神医療センターの是木 明宏氏らは、抗精神病薬で治療された統合失調症患者におけるNAFLDリスクについて、調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年6月4日号の報告。  腹部エコー検査を実施した統合失調症および統合失調感情障害患者253例の医療記録を分析した。

ラロトレクチニブがNTRK陽性固形がん治療薬として発売/バイエル

 バイエル薬品は、2021年7月7日、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんの治療薬として、ラロトレクチニブ(製品名:ヴァイトラックビ)を発売したと発表。  ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子融合陽性の進行・再発の固形がん治療に特化したトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬として開発された。同剤は、NTRK遺伝子融合を有する成人および小児固形がん患者に対する高い奏効割合と持続的な奏効、NTRK遺伝子融合を有する中枢神経系原発腫瘍に対する高い病勢コントロール率を示している。

COVID-19診療手引きを更新、デルタ株や後遺症などを追記/厚労省

 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」について、最新の知見を踏まえて更新した「第5.1版」を作成し、6月5日付で都道府県などに周知した。最新版では、懸念される変異株の概要を更新し、インドで最初に検出された「デルタ株」について、推定される感染性や重篤度、ワクチンへの影響などが詳しく記載された。また、症状の遷延(いわゆる後遺症)について、日本国内の複数の調査(厚生労働科学特別研究事業)の中間集計報告が追記されている。  新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第5.1版の主な改訂ポイントは以下のとおり

日本人進行乳がん患者でのアベマシクリブの安全性(MONARCH2、3)/日本乳癌学会

 ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに対するアベマシクリブの国際共同第III相試験であるMONARCH2試験(内分泌療法既治療例におけるフルベストラントとの併用)とMONARCH3試験(1次治療における非ステロイド性アロマターゼ阻害薬との併用)で、日本人集団で多く発現した有害事象を詳細に検討した結果について、国立病院機構大阪医療センターの増田 慎三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で発表した。  2つの試験における日本人の割合は、MONARCH2試験では14.2%(669例中95例)、MONARCH3試験では10.8%(493例中53例)であった。アベマシクリブ群でみられた有害事象において、日本人集団では下痢、好中球減少症、ALT上昇、AST上昇が比較的多く観察されている。増田氏らは、実地診療でアベマシクリブを使用する際の毒性管理に有用な情報を見いだすために、これらの有害事象について詳細に検討した。

日本における婚姻状況と認知機能との関連~富山県認知症高齢者実態調査

 敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、日本における婚姻状況と認知症との関連について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年5月25日号の報告。  分析には、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた。富山県在住の65歳以上の高齢者より1,171人(サンプリング率:0.5%)をランダムに選択し、分析を行った。対象者の婚姻状況、社会経済的状況、ライフスタイル要因、生活習慣病について評価を行った。各ライフスタイル要因と病歴に対する婚姻状況のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。認知症に対する婚姻状況のORも、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。

世界初、がん治療用ウイルスG47Δテセルパツレブが国内承認/第一三共

 第一三共は、2021年6月11日、東京大学医科学研究所 藤堂具紀氏と共同で開発したがん治療用ウイルスG47Δテセルパツレブ(製品名:デリタクト)について、悪性神経膠腫の治療を目的とした再生医療等製品として国内で条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を取得したと発表。  G47Δは、藤堂氏らにより創製された、がん細胞でのみ増殖可能となるよう設計された人為的三重変異を有する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型である。

ふるさと納税、最も高額な寄付金と返礼品は?/医師1,000人に聞きました

 2008年から始まった「ふるさと納税」。言葉としては定着しているようだが、実際に医師の間にはどの程度浸透しているのだろうか。今回、医師の1回あたりの最高寄付金額や申込みの多い返礼品についてアンケート調査を行った。その結果、利用率は83%、人気の返礼品は肉類であることが明らかになった。また、1回の寄付金額が100万円以上と回答したのは14人(利用者の1.7%)だった。一方、ふるさと納税を利用していない17%における大半の理由は“面倒くさい”だったが、「地元の税収を減らしたくない」「趣旨に賛同できない」などの意見も挙げられた。

アトピー性皮膚炎、黄色ブドウ球菌自家株を用いた細菌療法で重症度改善

 近年、アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚マイクロバイオーム(微生物叢)に注目した研究が進んでおり、その中でも検出頻度の高い黄色ブドウ球菌(S. aureus)について、繰り返す皮膚炎症状との関連が指摘されるようになっている。  米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のTeruaki Nakatsuji氏らは、成人11例を対象とした無作為化二重盲検試験において、AD患者の皮膚から培養したS. aureus自家株を用いた細菌療法が、S. aureusのコロニー形成を安全に減少し、疾患重症度を改善する可能性が示されたと報告した。著者は、「より大規模な研究が必要だが、S. aureusを減らすというこの個別化アプローチは、抗菌薬、免疫抑制剤、免疫モジュレーションに代わるAD患者の治療法となりうるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年6月16日号掲載の報告。

PTSDの悪夢やフラッシュバックに対するトリヘキシフェニジル治療の有効性

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、悪夢やフラッシュバックを特徴とする、外傷性イベント後に発症する可能性のある不安障害である。この悪夢やフラッシュバックの根底にあるメカニズムは解明されておらず、抗うつ薬や抗精神病薬を含むいくつかの薬剤が治療に用いられている。そごうPTSD研究所の十河 勝正氏らは、抗コリン薬ブチルスコポラミン臭化物によるケーススタディに続いて、PTSD関連の悪夢やフラッシュバックに対する中枢性抗コリン薬の効果について、検討を行った。Brain and Behavior誌2021年6月号の報告。

新型コロナ家庭内感染におけるワクチンの効果/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種は、家庭内感染を減少させるのだろうか。英国の全国データを分析した結果、検査陽性となる21日以上前にワクチンを接種していた感染者では未接種の感染者に比べ、家庭内感染のオッズ比が0.52~0.54と低かった。また、14日以上前に接種していた場合に家庭内感染の予防効果が認められた。英国・Public Health EnglandのRoss J. Harris氏らが、NEJM誌オンライン版2021年6月23日号のCORRESPONDENCEに報告した。

日本のトラック運転手の不眠症に関連する因子

 トラック運転手の不眠症は、交通事故リスクの増加につながる重大な問題である。秋田大学の宮地 貴士氏らは、日本のトラック運転手における不眠症の有病率を調査し、不眠症に関連する因子を特定するため、検討を行った。Nature and Science of Sleep誌2021年5月18日号の報告。  対象は、65歳未満の男性トラック運転手2,927人。自己記入式質問票を用いて、不眠症状、状態-特性不安尺度(State-Trait Anxiety Inventory:STAI)、飲酒・喫煙習慣、BMI、カフェイン摂取量、毎日の運転時間、連続して自宅から離れた日数、走行距離に関する情報を収集した。不眠症状には、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒を含め、これらいずれかの症状が毎日観察された場合を不眠症と定義した。

AZ製ワクチン接種後の血栓症の診療の手引き・第2版/日本脳卒中学会・日本血栓止血学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まり、全国で一般市民に対しても接種が急速に進んでいる。その一方で、2021年3月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベクターワクチン(商品名:バキスゼブリア)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症を来すことが報道され、4月に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態とした。また、ドイツとノルウェー、イギリスなどからもバキスゼブリア接種後に生じた血栓症のケースシリーズが相次いで報告され、ワクチン接種後の副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となった。この血栓症は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と類似した病態と捉えられ、VITTやVIPITという名称が用いられた(本手引きでは血小板減少症を伴う血栓症[TTS]を用いる)が、本症の医学的に適切な名称についてはいまだ議論があるところである。

東洋人のうつ病関連因子~日本での調査

 地域コミュニティにおけるうつ病に対する効果的な対策を検討するうえで、国や文化圏において、うつ病に関連する個人的および社会経済的要因を包括的に特定する必要がある。しかし、日本および東洋諸国の中年住民を対象とした研究は、十分ではない。慶應義塾大学の吹田 晋氏らは、東洋の日本における中年住民のうつ病に関連する要因を特定するため、横断研究を行った。Medicine誌2021年5月14日号の報告。  西日本の地方自治体で生活する40~59歳のすべての地域住民を対象に、アンケート調査を実施した。アンケートには、人口統計学的特徴、心理的要因、健康関連行動、社会経済的要因に関する項目を含めた。まず、うつ病と各因子との関連を分析するため、カイ二乗検定またはフィッシャーの正確確率検定を行った。次に、うつ病と関連因子の包括的な関連を特定するため、ロジスティック回帰分析を実施した。

誕生日会のCOVID-19リスクは?

 COVID-19の蔓延阻止のための政策の多くは、職場や食事の場などの集いに対応しているが、身内の集いが感染の場として重要かもしれない。米国・ランド研究所のChristopher M. Whaley氏らは、家族の誕生日後にCOVID-19が増加するかどうか調査することにより、パーティーと新型コロナウイルス感染との関連を調べた。その結果、COVID-19有病率の高い郡の世帯では、誕生日がCOVID-19診断の増加と関連していることが示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年6月21日号に掲載。

COVID-19後遺障害に関する実態調査/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として定期的に厚生労働省で開催されている「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の第39回(令和3年6月16日)において、「COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等」が報告された。  本報告は、2つの中間報告と1つの最終報告で構成され、(1)中等症以上を対象としたCOVID-19の後遺障害、(2)COVID-19の長期合併症の実態把握と病態理解解明、(3)COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明の3つが報告された。

関節リウマチ診療ガイドライン改訂、新導入の治療アルゴリズムとは

 2014年に初版が発刊された関節リウマチ診療ガイドライン。その後、新たな生物学的製剤やJAK阻害薬などが発売され、治療方法も大きく変遷を遂げている。今回、6年ぶりに改訂された本ガイドライン(GL)のポイントや活用法について、編集を担った針谷 正祥氏(東京女子医科大学医学部内科学講座膠原病リウマチ内科学分野)にインタビューした。  本GLは4つの章で構成されている。主軸となる第3章には治療方針と題し治療目標や治療アルゴリズム、55のクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨が掲載。第4章では高額医療費による長期治療を余儀なくされる疾患ならではの医療経済的な側面について触れられている。