ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:256

虫垂炎疑いへの低線量CT、標準量CTと比べて非劣性

虫垂炎が疑われる患者に対し、低線量CTによる診断は標準量CTに対して非劣性であることが明らかにされた。韓国・国立ソウル大学のKyuseok Kim氏らが行った15~44歳の若年成人891例を対象とする単施設単盲検非劣性試験の結果による。成人では、虫垂炎診断ではCT検査が優勢を占めるようになってきているが、子どもや若者では、CT放射線被曝についての不安がある。Kim氏らは、低線量CTと標準量CTとによる診断結果に基づく不必要な虫垂炎手術の実施割合について評価を行った。NEJM誌2012年4月26号掲載報告より。

2型糖尿病肥満、薬物療法+外科的肥満手術で血糖コントロール有意に改善

2型糖尿病非コントロールの肥満患者について、薬物療法に加えて胃バイパス術など外科的肥満手術を行うことが、薬物療法単独よりも有意に血糖コントロールを達成するとの報告が発表された。米国・Bariatric and Metabolic InstituteのPhilip R. Schauer氏らが、無作為化非盲検単独施設試験の結果、報告したもので、これまでは観察研究においては、胃バイパス術などを受けた2型糖尿病患者における病状の改善が認められていた。NEJM誌2012年4月26日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。

心臓デバイス感染性心内膜炎、早期デバイス摘出で死亡率は半減

心臓デバイス感染性心内膜炎(cardiac device infective endocarditis:CDIE)の患者では、弁病変を併発している割合が高く1年死亡率が約15%と高いこと、一方で早期にデバイス摘出を行うことで、同死亡リスクは半分以下に減少することが報告された。オーストラリア・Barwon HealthのEugene Athan氏らが、28ヵ国の医療機関を通じて行った前向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月25日号で発表した。

慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞の経心内膜注入、改善効果は?

慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞(BMC)の経心内膜注入手技について、左室収縮終末期容積(LVESV)や最大酸素消費量などの心機能の改善は認められなかったことが報告された。米国・Texas Heart InstituteのEmerson C. Perin氏らが行った、2つのプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月25日号で発表した。

英医学部入試に導入された臨床適性試験UKCATの影響

英国では、医学部新入生の社会的背景枠を広げるための一つのイニシアティブとして、2006年より医学部入学者選考過程に、言語理解力や定量的推論、抽象的推論、決定分析の能力を試す臨床適性試験(UKCAT)を導入した。ダーラム大学のPaul A .Tiffin氏らは、UKCATが、特定の社会階層出身志願者の不利益を減少させたかを評価するため、2009年入学者選考を対象に前向きコホート研究を行った。結果、公正な機会を与えるものとなっており、「全員とまではいかないが、今よりも多くの、社会経済的低階層の学生を英国医師集団に迎え入れていくことになるだろう」と結論している。BMJ誌(オンライン版2012年4月17日号)掲載報告より。

低量分割ゲムツズマブ・オゾガマイシン追加療法、AMLの1次治療アウトカムを改善

ゲムツズマブ・オゾガマイシン(GO、商品名:マイロターグ)の低量分割投与法は、急性骨髄性白血病(AML)の1次治療において安全に施行可能で、標準的な化学療法との併用により、標準治療単独に比べアウトカムを実質的に改善することが、フランスVersailles-Saint Quentin大学Mignot病院のSylvie Castaigne氏らが行ったALFA-0701試験で示された。標準治療と、ヒト化抗CD33モノクローナル抗体とカリケアマイシンの複合体であるGOの併用療法は、第III相試験で相反する結果が報告されている。一方、GOは当初、9mg/m2を第1、14日に投与するレジメンが用いられたが、血液毒性や肝中心静脈閉塞(VOD)に起因する肝毒性が高頻度に発現したことから、低量分割レジメン(3mg/m2[最大5mg/m2]、第1、4、7日)が開発されたという。Lancet誌2012年4月21日号(オンライン版2012年4月5日号)掲載の報告。

インスリン デグルデク、2型糖尿病の低血糖、夜間低血糖を改善

 2型糖尿病に対する基礎・追加インスリン療法の基礎インスリンとして、インスリン デグルデクはインスリン グラルギン(商品名:ランタス)と同等の血糖コントロールを示し、夜間低血糖の発現率は有意に低いことが、アメリカ・ベイラー医科大学のAlan J Garber氏らが行ったBEGIN Basal-Bolus Type 2試験で示された。2型糖尿病における膵β細胞の機能不全の進行は、従来の基礎インスリン療法では阻止されず、病態は不可避的に増悪するという。デグルデクは新規の超持効型基礎インスリン製剤で、皮下投与するとマルチヘキサマー(多数の六量体からなる集合体)を形成し、緩徐かつ持続的に循環血中に吸収されるため、超長時間のPK/PDプロフィールを示し、グラルギンに比べインスリン作用の変動が小さいことが示唆されている。Lancet誌2012年4月21日号掲載の報告。

オフポンプCABG対オンポンプCABGの30日アウトカム

冠動脈バイパス術(CABG)の施行について、心拍動下(オフポンプ)CABGの人工心肺(オンポンプ)CABGに対する相対的な有益性とリスクを検討する国際多施設共同無作為化対照試験が行われた。カナダ・マクマスター大学のAndre Lamy氏ら研究グループによるもので、血液製剤や術中出血、合併症の減少など周術期の有益性は認められる一方、血行再建術の早期再施行リスクの上昇が認められたと報告している。NEJM誌2012年4月19日号掲載報告より。

PCI対CABG、長期生存はCABGが優れる

 血行再建戦略の有効性について、多枝冠動脈疾患65歳以上患者を対象に経皮的冠動脈介入(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)の長期生存について比較した結果、CABGを受けた患者のほうがPCIを受けた患者よりも、長期生存に優れることが見いだされたと結論する報告が発表された。米国心臓病学会財団(ACCF)と米国胸部外科医学会(STS)による共同研究で、研究グループの筆頭著者としてChristiana Care Health SystemのWilliam S. Weintraubが報告を行った。NEJM誌2012年4月19日号(オンライン版2012年3月27日号)掲載より。

洞調律の心不全患者にはワルファリンとアスピリンのどちらを投与すべきか?(5月2日掲載NEJMオンライン速報版より)

心不全では洞調律であっても、血栓塞栓イベントリスクが高く、ワルファリンやアスピリンが投与されることは少なくない。WARCEF(Warfarin vs. Aspirin in Reduced Cardiac Ejection Fraction)試験の結果、ワルファリンはアスピリンに比べ、虚血性脳卒中の発症リスクを軽減するものの、出血の発症リスクを増大させ、洞調律の心不全患者に対してワルファリン、またはアスピリンのどちらを投与すべきかという疑問に対する決定的なエビデンスは依然存在せず、個々の患者によって考慮すべきであることが、5月2日NEJM誌オンライン速報版に発表された。

高齢者早期腎臓がん、腎部分切除の方が根治的腎摘出術より死亡率をおよそ半減

高齢者の早期腎臓がんは、腎部分切除のほうが根治的腎摘出術よりも生存率が高いことが示された。全死亡リスクは、腎部分切除が根治的腎摘出術に比べ、およそ半減するという。米国・ミシガン大学のHung-Jui Tan氏らが、ステージT1aの腎臓がん患者7,000人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月18日号で発表した。

臨床試験のサブグループ解析は信頼できるか?

臨床試験の著者は報告でサブグループ効果を主張することが多いが、その信頼性は主張が強力な場合でも一般に低いことが、米国・Kaiser Permanente Northwest(ポートランド市)のXin Sun氏らの検討で示された。臨床試験のサブグループ解析では、サブグループに関する仮説が事前に規定されていなかったり、統計学的な検証が適切に行われない場合があるという。近年、無作為化比較試験におけるサブグループ解析の限界や、予測されるサブグループ効果の信頼性の評価基準の検討が進められてきた。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月15日号)掲載の報告。

健康リテラシーが低い高齢者は死亡率が高い:イギリス

イギリスの高齢者の約3分の1は健康リテラシーが十分でなく基本的な健康関連の書面の読解が困難であり、理解力が低いほど死亡率が高くなることが、英国・ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのSophie Bostock氏らの調査で明らかとなった。健康リテラシー(基本的な健康関連情報を読解する能力)の低さが、有害な健康アウトカムと関連することが示されている。アメリカの2つの試験が、低い健康リテラシーにより高齢者の死亡率が上昇することを報告しているが、イギリスでは高齢者の健康リテラシーの問題は検討されていなかったという。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月16日号)掲載の報告。

青少年の慢性疲労症候群に、インターネットベースの認知行動療法プログラムが有効

青少年の慢性疲労症候群の治療法として、インターネットベースの認知行動療法プログラム(FITNET)が有効なことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターWilhelmina子ども病院のSanne L Nijhof氏らの検討で示された。慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎、筋痛性脳症)は持続的な疲労感と重度の身体機能低下を特徴とし、青少年では長期化することが多く、学業や社会的発育に悪影響を及ぼす。治療法として有望と考えられる認知行動療法は、専門的な技能を要するためその利用は限定的なのが現状だが、インターネットの使用によってアクセスが容易になる可能性が示唆されている。Lancet誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月1日号)掲載の報告。

ステント血栓症の抑制効果、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステントが最も高い

コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)は、ベアメタルステント(BMS)や他の薬剤溶出ステントに比べステント血栓症のリスクが低いことが、イタリアPoliclinico S Orsola(ボローニャ市)のTullio Palmerini氏らの検討で示された。薬剤溶出ステントとBMSのステント血栓症のリスクについては議論が続いているが、ステント血栓症の総発生率の低さを考慮すると、各ステントの差を正確に評価するには、膨大なサンプル数が必要とされる。ネットワークメタ解析は、共通の治療法をレファランスとして個々の治療法の間接的な比較を可能にする新しい研究法で、サンプル数を増やすことができるという。Lancet誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月23日号)掲載の報告。

ERCP後、インドメタシン直腸投与で膵炎発症を有意に低下

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)後にインドメタシンの直腸内投与をすることで、ERCP後膵炎の発生率を有意に低下することが、米国・ミシガン大学医療センターのB. Joseph Elmunzer氏らによる多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、明らかにされた。ERCP後の急性膵炎は、米国では最も頻度の高い重大合併症で、毎年相当な罹患者と場合によっては死亡を伴うケースが発生しており、年間約1億5,000万ドルの保健医療費が投じらていると推計されているという。これまでの予備的研究で、ERCP後にNSAIDsを直腸投与することで膵炎の発生率を低下させる可能性があることが示唆されていた。NEJM誌2012年4月12日号掲載報告より。

急性冠症候群疑いの救急搬送患者にはCCTA戦略が有用

 救急搬送されてきた急性冠症候群の疑い患者に対しては、冠動脈CT血管造影(CCTA)を基本として診断スクリーニング戦略が有用であることが、米国・ペンシルベニア大学のHarold I. Litt氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。Litt氏は「他の診断スクリーニング戦略では入院したであろう患者が、CCCT戦略であれば安全かつ早期退院できる可能性がある」と結論している。急性冠症候群の疑いの救急搬送患者の入院率は高いが、最終的には心臓に起因する症状ではないことが判明するケースがほとんどである。一方で、CCTAは冠動脈疾患の陰性的中率は非常に高いが、救急部門での判定に有用かどうかはこれまで確立されていなかった。NEJM誌2012年4月12日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。

高齢者の心電図異常、冠動脈性心疾患イベントリスクを40~50%増

高齢者の心電図異常は、その程度にかかわらず、冠動脈性心疾患イベント発生リスク増大と関連することが明らかにされた。軽度の場合は約1.4倍に、重度では約1.5倍に、それぞれ同リスクが増大するという。また、従来のリスク因子による予測モデルに、心電図異常の要素を盛り込むことで、同イベント発生に関する予測能が向上することも示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のReto Auer氏らが、高齢者2,000人超について約8年間追跡して明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月11日号で発表した。

高血圧患者、上腕収縮期血圧の左右差10mmHg以上で死亡リスクが3倍以上に

高血圧症患者の上腕収縮期血圧の左右差が10mmHg以上ある人は、全死因死亡リスクが3倍以上増大するという。英国Exeter大学のChristopher E Clark氏らが、高血圧症の治療を受ける230例を約10年間追跡して明らかにした。同左右差は、心血管イベントや心血管死リスクの増大にも関与しており、Clark氏は、「同左右差は、心血管リスク増大の有用なインジケーターとなり得る」と結論している。BMJ誌2012年4月7日号(オンライン版2012年3月20日号)掲載報告より。