ブタからヒトへ、腎臓異種移植後の免疫反応/Lancet
ブタからヒトへの腎臓異種移植は、短期アウトカムは良好で超急性拒絶反応はみられなかったが、再灌流から54時間後の腎臓異種移植片では主に糸球体に抗体関連型拒絶反応が生じていることを、フランス・パリ・シテ大学のAlexandre Loupy氏らがマルチモーダルフェノタイプ解析の結果で明らかにした。異種間の免疫学的不適合がブタ-ヒト間の異種移植の妨げとなっていたが、ブタのゲノム工学によって、最近、初のブタ-ヒト間の腎臓異種移植が成功した。しかし、ブタの腎臓をヒトレシピエントに移植した後の免疫反応についてはほとんどわかっていなかった。著者は、「今回の結果は、次世代のブタ遺伝子編集を改良し、異種移植臨床試験における拒絶反応の液性機序を最適に制御するための研究の道筋や方向性を開くものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年8月17日号掲載の報告。