ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:36

腎結石再発予防にヒドロクロロチアジドは有効か?/NEJM

 再発リスクの高い腎結石患者において、ヒドロクロロチアジド(1日1回12.5mg、25mg、50mgいずれかの用量)の投与を受けた患者とプラセボの投与を受けた患者との間で、再発率に実質的な違いはみられないことが、スイス・ベルン大学のNasser A. Dhayat氏らの検討で示された。腎結石は、腎臓に影響する最もよくみられる疾患で再発のリスクが高いという特徴がある。腎結石再発にはサイアザイド系利尿薬が広く使用されているが、プラセボと比較した有効性に関するデータは限られており、用量反応データも限定的であった。NEJM誌2023年3月2日号掲載の報告。

SLEへのバリシチニブ、SLE-BRAVE-II試験での有効性は?/Lancet

 全身性エリテマトーデス(SLE)の治療において、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1/2阻害薬バリシチニブはプラセボと比較して、疾患活動性を改善せず、グルココルチコイド漸減の達成や初回の重度フレア発現までの時間の延長をもたらさないことが、米国・ジョンズホプキンズ大学のMichelle Petri氏らが実施した「SLE-BRAVE-II試験」で示された。Lancet誌オンライン版2023年2月24日号掲載の報告。  SLE-BRAVE-II試験は、日本を含む15ヵ国162施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年8月~2020年8月の期間に参加者のスクリーニングが行われた(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。

SLEへのバリシチニブ、第III相SLE-BRAVE-I試験の結果/Lancet

 オーストラリア・モナシュ大学のEric F. Morand氏らは、活動性全身性エリテマトーデス(SLE)患者を対象としたバリシチニブの無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SLE-BRAVE-I試験」の結果、主要エンドポイントは達成されたものの、主要な副次エンドポイントは達成されなかったことを報告した。ヤヌスキナーゼ(JAK)1/JAK2の選択的阻害薬であるバリシチニブは、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎および円形脱毛症の治療薬として承認されている。SLE患者を対象にした24週間の第II相試験では、バリシチニブ4mgはプラセボと比較して、SLEの疾患活動性を有意に改善することが示されていた。Lancet誌オンライン版2023年2月24日号掲載の報告。

治療抵抗性高血圧、超音波腎デナベーションが有用性示す/JAMA

 治療抵抗性高血圧に対する超音波腎デナベーションは、シャムとの比較において降圧薬なしで2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧(SBP)を低下させ、重大な有害事象は認められなかったことが、フランス・Universite Paris CiteのMichel Azizi氏らが実施した多施設共同無作為化シャム対照臨床試験「RADIANCE II試験」の結果、示された。超音波腎デナベーションは、2件のシャム対照試験(RADIANCE-HTN SOLOおよびTRIO試験)において、軽度~中等度の高血圧および治療抵抗性高血圧患者の血圧を低下させることが認められていた。JAMA誌2023年2月28日号掲載の報告。

尿路感染症疑い高齢者への抗菌薬、医師への適正使用支援で6割減/BMJ

 尿路感染症が疑われる70歳以上のフレイル高齢者について、医療者に対して適切な抗菌薬使用決定ツールの提供や教育セッションなどの多面的抗菌薬管理介入を行うことで、合併症や入院の発生率などを上げずに、安全に抗菌薬投与を低減できることが示された。オランダ・アムステルダム自由大学のEsther A. R. Hartman氏らが、ポーランドやオランダなど4ヵ国の診療所などで行ったプラグマティックなクラスター無作為化試験の結果を報告した。ガイドラインでは限定的な抗菌薬使用が推奨されているが、高齢患者においては、処方決定の複雑さや異質性のため推奨使用の実施には困難を伴うとされていた。BMJ誌2023年2月22日号掲載の報告。

コロナへのイベルメクチン、最大用量でも効果認められず/JAMA

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのイベルメクチン治療について、最大目標用量600μg/kgの6日間投与はプラセボ投与と比較して、持続的回復までの期間を改善しなかった。米国・デューク大学のSusanna Naggie氏らが、約1,200例を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV-6試験」の結果を報告した。著者は、「結果は、軽症~中等症のCOVID-19患者へのイベルメクチン使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。

アルツハイマー病、APOEε3/ε4遺伝子型を持つ民族で上昇か/JAMA

 米国のアフリカ系の家系で、APOEε3/ε4遺伝子型を持つ集団では、APOEε3のR145Cミスセンス変異体がアルツハイマー病(AD)のリスク上昇と関連するとともに、ADの早期発症をもたらす可能性があることが、米国・スタンフォード大学のYann Le Guen氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年2月21日号に掲載された。  研究グループは、アフリカ系の家系における2つのAPOEミスセンス変異体(R145CとR150H)がADリスクと関連するかを評価する目的で、3万1,929人を対象とする探索的な症例対照研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。

BRCA/ATM遺伝子変異陽性の転移を有する前立腺がん、rucaparibが有効/NEJM

 第2世代アンドロゲン受容体経路遮断薬(ARPI)による治療後に増悪した、BRCAまたはATM遺伝子変異陽性の転移性前立腺がんの治療において、ポリ(アデノシン二リン酸[ADP]リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬rucaparibは、医師が選択した対照薬と比較して、画像所見に基づく無増悪生存期間が有意に長く、BRCA変異陽性例で最大の効果が認められたが、ATM変異陽性例では両群で同程度であったことが、フランス・パリサクレー大学のKarim Fizazi氏らが実施した「TRITON3試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年2月23日号で報告された。

血友病A、遺伝子治療のvaloctocogene roxaparvovecが有効/NEJM

 アデノ随伴ウイルスベクターを用いてBドメイン欠損第VIII因子のコード配列を送達し、重症血友病A患者の出血を予防するとされるvaloctocogene roxaparvovecについて、安全性と有効性を検証した第III相非盲検単群試験「GENEr8-1試験」の結果が、南アフリカ共和国・ウィットウォーターズランド大学のJohnny Mahlangu氏らにより示された。本薬投与から2年の時点で治療を要する出血の発生率は大幅に低下し、52週以降に新たな安全性シグナルの発現は認められなかったという。研究の成果は、NEJM誌2023年2月23日号に掲載された。

早期妊娠高血圧腎症予防のアスピリンを24~28週で中止、発生率は?/JAMA

 アスピリンは、早期妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦においてその発生率を抑制するが、周産期出血のリスクを上昇させる可能性があるという。スペイン・バルセロナ自治大学のManel Mendoza氏らは、可溶性fms様チロシンキナーゼ1(sFlt-1)と胎盤増殖因子(PlGF)の比が正常な妊婦では、妊娠36週までアスピリンの投与を継続した場合と比較して、24~28週での投与中止は、早期妊娠高血圧腎症の発生に関して非劣性であり、出血性合併症は減少することを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年2月21日号で報告された。

血友病B、AAV5ベクターを用いた遺伝子治療が有効/NEJM

 血友病Bの成人患者において、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療薬etranacogene dezaparvovecは、年間出血率に関して第IX因子定期補充療法に対する優越性が認められ、安全性プロファイルは良好であることが、米国・ミシガン大学のSteven W. Pipe氏らが実施した非盲検第III相試験「Health Outcomes with Padua Gene; Evaluation in Hemophilia B:HOPE-B試験」の結果、示された。中等症~重症の血友病Bに対しては、出血予防のため生涯にわたり血液凝固第IX因子を補充する治療を継続する。血友病Bの遺伝子治療は、第IX因子活性を維持することで、第IX因子の補充療法なしで出血を予防できる可能性があった。著者は、「遺伝子治療が血友病B患者の治療の負担を軽減し、QOLを改善する可能性がある」とまとめている。NEJM誌2023年2月23日号掲載の報告。

リファンピシン感受性肺結核、8週レジメンが標準治療に非劣性/NEJM

 結核の治療において、8週間のベダキリン+リネゾリドレジメンによる初期治療を含む治療戦略は標準治療に対して非劣性であり、治療期間の短縮にもつながり、安全性に明らかな懸念はないことを、シンガポール・シンガポール国立大学のNicholas I. Paton氏らがアダプティブ第II/III相無作為化非盲検非劣性試験「Two-Month Regimens Using Novel Combinations to Augment Treatment Effectiveness for Drug-Sensitive Tuberculosis trial:TRUNCATE-TB試験」の結果、報告した。結核は、通常6ヵ月間のリファンピシンベースのレジメンで治療されるが、初期治療期間の短縮を含む治療戦略により同様の治療成績が得られるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。

コロナ感染による免疫、変異株ごとの効果は~メタ解析/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)既感染のその後の再感染に対する予防効果は、デルタ株までの変異株に対しては非常に高く40週後も高いままであったが、オミクロンBA.1株については時間と共に急速に低下した。一方、再感染での重症化予防効果は、オミクロンBA.1株までの変異株すべてにおいて、既感染1年後まで比較的高いレベルで維持されていた。米国・保健指標評価研究所(IHME)のCaroline Stein氏らCOVID-19 Forecasting Teamが実施したメタ解析の結果で示された。著者は、「今回の解析から、過去の感染による変異株別ならびに経時的な予防効果は、mRNAワクチン2回接種と同等以上であることが示唆された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年2月16日号掲載の報告。

パーキンソン病、片側淡蒼球内節の集束超音波で運動機能改善/NEJM

 パーキンソン病患者に対する片側淡蒼球内節の集束超音波アブレーション(FUSA)は、3ヵ月後に運動機能やジスキネジアが改善した患者の割合が高かったものの、有害事象を伴った。米国・University of North CarolinaのVibhor Krishna氏らが北米、アジアおよび欧州の16施設で実施した無作為化二重盲検シャム対照比較試験の結果を報告した。片側淡蒼球内節のFUSAは、ジスキネジアや運動変動のあるパーキンソン病患者を対象とした小規模の非盲検試験において有効性が示唆されていた。著者は、「パーキンソン病患者におけるFUSAの有効性と安全性を明らかにするためには、より長期の大規模臨床試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2023年2月23日号掲載の報告。

広範囲脳梗塞、血栓回収療法の併用で身体機能が改善/NEJM

 広範囲脳梗塞患者の治療において、血管内血栓回収療法と標準的な内科的治療の併用は内科的治療単独と比較して、身体機能が有意に改善する一方で、手技に関連した血管合併症の増加を伴うことが、米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが実施した「SELECT2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年2月10日号に掲載された。  SELECT2試験は、米国、カナダ、欧州、オーストラリア、ニュージーランドの31施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2019年9月~2022年9月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Stryker Neurovascularの助成を受けた)。  対象は、年齢18~85歳、内頸動脈または中大脳動脈M1セグメント、あるいはこれら双方の閉塞による急性期脳梗塞で、発症から24時間以内であり、虚血コア体積が大きい(Alberta Stroke Program Early CTスコア[ASPECTS、0~10点、点数が低いほど梗塞が広範囲]が3~5点)、あるいはCT灌流画像またはMRI拡散強調画像でコア体積が50mL以上、脳梗塞発症前の修正Rankin尺度スコア(0~6点、点数が高いほど機能障害が重度、6点は死亡)が0または1点(機能障害なし)の患者であった。

CAR-T ide-cel、再発・難治性多発性骨髄腫への第III相試験結果(KarMMa-3)/NEJM

 2~4レジメンの前治療を受けた再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療において、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬であるイデカブタゲン ビクルユーセル(idecabtagene vicleucel:ide-cel)は標準治療と比較して、無増悪生存期間を約7ヵ月有意に延長するとともに深い奏効をもたらし、安全性プロファイルは先行研究と一致し新たな安全性シグナルは認められないことが、スペイン・Clinica Universidad de NavarraのPaula Rodriguez-Otero氏らが実施した「KarMMa-3試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年2月10日号で報告された。

腎がん術後補助療法、ニボルマブ+イピリムマブはDFS延長せず(CheckMate 914)/Lancet

 術後再発リスクが中等度から高度の限局性腎細胞がん患者において、プラセボと比較してニボルマブ+イピリムマブによる無病生存期間(DFS)の延長は認められなかった。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert J. Motzer氏らが、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアの20ヵ国145施設で実施した無作為化二重盲検試験「CheckMate 914試験」パートAの結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「腎細胞がんの術後補助療法としてニボルマブ+イピリムマブは支持されない」と述べている。限局性腎細胞がんの術後補助療法はアンメットニーズであり、サーベイランスが標準治療となっている。Lancet誌オンライン版2023年2月9日号掲載の報告。

広範囲脳梗塞にも24h以内の血管内治療が有効/NEJM

 中国で行われた試験で、主幹動脈閉塞を伴う梗塞が大きい患者において、発症後24時間以内の血管内治療と薬物治療の併用は薬物治療のみと比較して、頭蓋内出血の発生は多かったものの3ヵ月後の機能予後は良好であった。中国・Beijing Tiantan HospitalのXiaochuan Huo氏らが、無作為化非盲検試験「ANGEL-ASPECT試験」の結果を報告した。日本で行われたRESCUE-Japan LIMITでは、ASPECTS(Alberta Stroke Program Early Computed Tomographic Score)が3~5の患者において血管内治療の有効性が示されていた。ANGEL-ASPECT試験も、従来の試験とは異なり大きな梗塞を有する急性期虚血性脳卒中患者における血管内治療の有効性の検証が目的であった。NEJM誌オンライン版2023年2月10日号掲載の報告。

65歳以上低リスク早期乳がん、乳房温存術後の放射線療法は省略可/NEJM

 65歳以上の再発リスクが低いホルモン受容体陽性早期乳がん女性患者において、乳房温存術後の放射線療法非施行は、局所再発率の増加と関連していたものの初回イベントとしての遠隔再発や全生存には影響しないことが、英国など4ヵ国76施設で実施された第III相無作為化比較試験「PRIME II試験」の10年時解析で示され、英国・エディンバラ大学のIan H. Kunkler氏らが報告した。著者は、「今回の試験は、乳房温存術を受けたGrade1または2でエストロゲン受容体(ER)高発現の65歳以上の女性では、5年間の術後内分泌療法を受けることを条件に放射線療法を省略できることを示す確かなエビデンスを提供している」とまとめている。NEJM誌2023年2月16日号掲載の報告。

急性脳梗塞の血栓溶解、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/Lancet

 標準的な経静脈的血栓溶解療法の適応であるが血管内血栓除去術の対象外あるいは拒否した急性虚血性脳卒中患者において、tenecteplaseはアルテプラーゼに対して非劣性であることが、中国・首都医科大学のYongjun Wang氏らによる第III相無作為化非盲検非劣性試験「Tenecteplase Reperfusion therapy in Acute ischaemic Cerebrovascular Events-2 trial:TRACE-2試験」の結果、示された。アルテプラーゼに代わる急性虚血性脳卒中に対する望ましい血栓溶解療法として、tenecteplaseへの関心が高まっていた。Lancet誌オンライン版2023年2月9日号掲載の報告。  研究グループは、2021年6月12日~2022年5月29日の期間に中国53施設において、標準的な経静脈的血栓溶解療法の適応ではあるが血管内血栓除去術は適さない急性虚血性脳卒中(発症後4.5時間以内、mRSスコア1以下、NIHSSスコア5~25)の成人(18歳以上)患者1,430例を登録し、tenecteplase(0.25mg/kg、最大25mg)静脈投与群(716例)またはアルテプラーゼ(0.9mg/kg、最大90mg)静脈投与群(714例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。患者および治療担当医師は割り付けについて盲検化されなかったが、アウトカム評価医師は盲検化された。  有効性の主要アウトカムは、修正intention-to-treat(ITT)集団(無作為化され割り付けられた治験薬の投与を受けた全患者)における90日後のmRSスコアが0~1の患者の割合で、リスク比(RR)の非劣性マージンを0.937とした。安全性の主要アウトカムは、36時間以内の症候性頭蓋内出血で、治験薬の投与を受け安全性評価が可能であった全患者を解析対象集団とした。