ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:262

静脈血栓塞栓症予防に対するapixaban対エノキサパリン

うっ血性心不全、急性呼吸不全、急性関節リウマチなど内科疾患で入院した患者に対し、退院後も静脈血栓塞栓症の予防を目的にapixaban投与を延長して行っても、入院中のみに行うエノキサパリン(商品名:クレキサン)投与と比べて優位性は示されなかったことが報告された。apixaban投与群では、重大出血イベントがエノキサパリン投与群よりも有意に認められたという。米国・ブリガム&ウイメンズ病院のSamuel Z. Goldhaber氏らADOPT試験グループが行った二重盲検ダブルダミープラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2011年12月8日号(オンライン版2011年11月13日号)で発表された。

結核に対するrifapentine+イソニアジド、イソニアジド単独と予防効果同等

潜在性結核感染症に対するrifapentine+イソニアジド(商品名:イスコチンほか)の3ヵ月投与は、イソニアジド単独の9ヵ月投与と予防効果は同程度で、治療完遂率はより高いことが、オープンラベル無作為化非劣性試験の結果、報告された。現在有効とされる標準療法はイソニアジド単独9ヵ月投与だが、毒性作用(特に肝臓における)や、治癒完遂率が低い(30~64%)ことが懸念されていた。試験は米国CDCが資金提供し、米国・ヴァンダービルト医科大学のTimothy R. Sterling氏らPREVENT TB試験チームにより行われた。NEJM誌2011年12月8日号(オンライン版2011年11月13日号)掲載報告より。

出生前母体ステロイド投与、在胎23~25週の早産児の死亡・神経発達障害リスクを低減

 在胎23~25週の早産児について、出生前副腎皮質ステロイド投与により、生後18~22ヵ月の死亡または神経発達障害の発生リスクを低下することが明らかにされた。1995年に発表された最新ガイドラインでは、在胎24~34週での早期分娩に関して母体への出産前ステロイド投与が推奨されているが、24週以前の早産についてはデータが不足していた。一方でそれら早産児の多くが集中治療を受けていた。米国・アラバマ大学のWaldemar A. Carlo氏らが、早産児約1万児について追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2011年12月7日号で発表した。

JIA患者に対するエタネルセプト、より早期使用ほど治療反応良好

若年性特発性関節炎(JIA)患児に対するエタネルセプト(商品名:エンブレル)の治療反応が良好なのは、治療開始時点での障害スコアが低く、抗リウマチ薬(DMARD)の使用量が少なく、発症年齢が若い傾向があることが明らかになった。一方で反応不良は、全身性JIAや女児に認められたという。オランダ・エラスムスメディカルセンター・ソフィア小児病院のMarieke H. Otten氏らが、JIA患者262人について行った前向き観察研究の結果、報告したもので、JAMA誌2011年12月7日号(オンライン版2011年11月6日号)で発表した。

心血管バイオマーカーは本当に有望視できるのか?

心血管バイオマーカーについて、観察的研究からの結果報告と比べて、無作為化試験からの報告ではしばしば有望視できない結果が報告されることが、ギリシャ・Ioannina大学医学校のIoanna Tzoulaki氏らによるメタ疫学研究の結果、報告された。非常に多くの心血管アウトカム予測因子としてのバイオマーカーが開発されているが、一方で効果サイズやバイアスのつり上げに関する疑念が呈されている。Tzoulaki氏らは、開発報告では予後関連のデータ検証に、主として伝統的な観察疫学研究の母集団が利用されていることに着目。そのエビデンス検証は、無作為化試験の被験者を母集団として利用することも可能であり、その場合に観察疫学研究母集団から得られたものと同様の結果が得られるのかを検証した。BMJ誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月7日号)掲載報告より。

2型糖尿病患者への強化血糖コントロール、全死因死亡の低下を証明できず

2型糖尿病患者への強化血糖コントロールは、従来血糖コントロールと比べて、全死因死亡を低下するとは証明できなかったことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のBianca Hemmingsen氏らが検討した、システマティックレビューによる無作為化試験のメタ解析および系列分析の結果、報告された。心血管死亡、非致死的心筋梗塞、微小血管合併症の複合、網膜症についても、10%リスク減少を証明、論破するだけのデータを示すことはできなかった。一方で、強化血糖コントロールは、重度低血糖を30%増大することが実証されたという。BMJ誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月24日号)掲載報告より。

インフルエンザウイルスによる小児の急性下気道感染が世界的な疾病負担に

インフルエンザウイルスは、急性下気道感染(ALRI)罹患小児で同定される最も一般的な病原体であり、世界的な医療サービスの実質的な負担となっていることが、英国・エジンバラ大学のHarish Nair氏らの調査で明らかとなった。肺炎や気管支炎などのALRIは小児の罹病や死亡の主な原因であり、ALRIの新規罹患者は毎年、世界で約1億5,600万人に上り、2008年には約156万人の小児が感染の結果として死亡している。一方、小児における季節性インフルエンザウイルスに起因する世界疾病負担は明らかでなかった。Lancet誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月11日号)掲載の報告。

冠動脈疾患に対するアトルバスタチン、ロスバスタチン高用量投与の効果

冠動脈疾患患者に対しアトルバスタチン(商品名:リピトールなど)80mg/日、またはロスバスタチン(同:クレストール)40mg/日を104週間投与する強化スタチン療法は、いずれも病変部の冠動脈硬化を有意に退縮することが示された。アテローム容積率(PAV)の減少幅が両群で同等だった。米国・クリーブランドクリニックのStephen J. Nicholls氏らが、1,000人超について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2011年12月1月号(オンライン版2011年11月15日)で発表した。スタチン治療の低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させる能力に比例して、有害な心血管転帰が減少し冠動脈硬化の進展が抑制されることは知られている。しかしこれまで、強化スタチン療法による病変の退縮効果を検討した試験や、最大投与量同士を直接比較する試験は、ほとんど行われていなかった。

慢性移植片対宿主病(GVHD)、低用量IL-2投与でTreg細胞数増大

グルココルチコイド治療抵抗性の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対し、低用量インターロイキン2(IL-2)を投与することで制御性T(Treg)細胞数を増大することが報告された。IL-2投与に反応したグルココルチコイド投与量の減少にもつながる可能性があることが明らかにされた。米国・ダナファーバーがん研究所のJohn Koreth氏らによる報告で、NEJM誌2011年12月1日号で発表した。

新しい冠動脈疾患診断法CCTA、手術や医療費を増大、アウトカム効果はわずか

 冠動脈疾患診断の新しい非侵襲的診断検査法である冠動脈CT血管造影法(CCTA)について、米国メディケア受給者を対象に、ストレステストとの利用状況の比較および検査後の医療費支払いについての比較が行われた。結果、CCTAを受けた人のほうが、その後に侵襲的な手技を受けている割合が高く、冠動脈疾患関連の医療費支払いが高い傾向にあることが報告された。米国・スタンフォード大学のJacqueline Baras Shreibati氏らが2005~2008年の66歳以上メディケア受給者28万人超のデータを解析した結果、報告した。JAMA誌2011年11月16日号掲載報告より。  Shreibati氏らは、メディケア受給者を対象に、非侵襲的心臓検査を機能的検査(ストレステスト:心筋血流シンチグラフィー、負荷心エコー、運動負荷心電図)で受けた人と解剖学的検査(CCTA)で受けた人との利用状況およびその後の医療費支払いについて比較する後ろ向き観察コホート研究を行った。

冠動脈内への骨髄細胞移植、心筋梗塞後2~3週に施行では効果認められず

 心筋梗塞後の冠動脈内への骨髄単核球細胞(BMCs)移植について、プライマリ経皮的冠動脈介入(PCI)後2~3週での実施では、全体的にも局所的にも左室機能の改善はみられなかったことが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。米国・アボット・ノースウェスタン病院のJay H. Traverse氏ら心血管細胞療法研究ネットワーク(CCTRN)らが、米国NHLBIから研究委託を受け、本手技の至適施行時期を明らかとするために行った。本報告はLate TIME試験の結果で、先に行ったTIME試験(ST上昇型心筋梗塞後1週間以内、3日後施行と7日後施行を比較)では左室機能改善の可能性が示されたが、早期に細胞移植を行える患者が少ないことから、実施時期を遅らせた場合の有効性を検討するために行われた。JAMA誌2011年11月16日(オンライン版2011年11月14日号)掲載報告より。

研究論文の質を高め、インパクトあるものにするには?

STROBE(疫学で観察研究の報告を強化する)やCONSORT(試験報告の標準を強化)のようなレポートガイドラインに基づく付加的レビューを行えば、原稿の質を高めることができることが報告された。ただし、その質的向上はわずかで、明確に立証することはできなかったという。スペイン・Elsevier-Barcelona社Medicina ClinicaのE Cobo氏らが盲検無作為化試験を行い報告した。BMJ誌2011年11月26日号(オンライン版2011年11月22日号)掲載報告より。

食物繊維の豊富な摂取は、大腸がんのリスクを減少する

食物繊維の摂取量が多いこと、特にシリアル線維と全粒粉の摂取が多いことは、大腸がんのリスクを減少することが明らかにされた。英国・ロンドン大学公衆衛生校のDagfinn Aune氏らが行った前向き試験のシステマティックレビューと用量反応試験のメタ解析の結果、報告された。BMJ誌2011年11月26日号(オンライン版2011年11月10日号)掲載報告より。

自宅での自己採取HPV検査は子宮頸がん予防に有効か?

自宅で行う腟分泌物自己採取法によるヒトパピローマウイルス(HPV)DNA検査は、細胞診よりも陽性適中率は低いものの、医療資源に乏しく有効な細胞診プログラムを実施できない環境下では、グレード2以上の頸部上皮内がん(CIN)を検出するのに好ましい方法であることが報告された。メキシコ国立公衆衛生研究所のEduardo Lazcano-Ponce氏らによる。腟分泌物HPV DNA検査は、診療所で行う場合は、細胞診と同じかそれ以上の検出力があることが明らかになっていたが、自宅で行う場合の有効性については明らかにされていなかった。Lancet誌2011年11月26日号(オンライン版2011年11月2日号)掲載報告より。

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対する標準+リツキシマブvs. 強化+リツキシマブ

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対し、標準化学療法(CHOP)+リツキシマブ(R-CHOP)と比べて、強化化学療法(ACVBP)+リツキシマブ(R-ACVBP)が、18~59歳患者の生存を有意に改善することが第III相オープンラベル無作為化試験の結果、示された。フランス・トゥールーズ大学病院のChristian Recher氏らによる。強化療法の血液毒性は高まったが管理可能だったという。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫のアウトカムは、化学療法にリツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体、商品名:リツキサン)を加えることでかなり改善される。その知見を踏まえRecher氏らは、標準療法への追加と強化療法への追加について比較を行った。Lancet誌2011年11月26日号掲載報告より。

喘息リスク幼児へのグルココルチコイド、低用量連日 vs. 高用量間欠

前年に修正版喘息予測指標(API)陽性または喘息増悪を示した喘息リスクを有する幼児には、グルココルチコイドの連日吸入が推奨されている。米国・カイザーパーマネント南カリフォルニアのRobert S. Zeiger氏ら全米心臓・肺・血液治療ネットワークは、連日吸入に対して懸念される発育への影響について検討するため、12~53ヵ月児278例を対象に、低用量連日投与と高用量間欠投与とを比較する、1年間の無作為化二重盲検パラレル比較試験を行った。結果、増悪に関して、低用量連日投与の高用量間欠投与に対する優位性は示されず、低用量連日投与のほうが1年時点の薬剤曝露量が多かったことが報告された。NEJM誌2011年11月24日号掲載報告より。

プライマリ・ケアでの減量介入、「遠隔支援のみ」と「遠隔支援+対面支援」に有意差なし

プライマリ・ケアでの減量指導について、遠隔支援のみ(電話とWeb、e-mailで支援)介入群と、それらに対面支援(集団または個人セッションで支援)を加えた介入群とを比較した結果、両群間の基線から24ヵ月時点の体重減少は有意差を示さなかったことが報告された。肥満およびそれへの心血管疾患の合併は極めて一般的な医学的問題であるが、臨床での効果的な減量指導方法に関するエビデンスは乏しい。そこで米国・ジョンズ・ホプキンス大学Welch予防疫学臨床研究センターのLawrence J. Appel氏らが、6診療所・415例を被験者とした無作為化対照試験で方法論について検証を行った。米国では肥満関連の直接・間接コストが年間1,100億ドルに上るという。NEJM誌2011年11月24日号掲載報告より。

心不全による感染性心内膜炎、弁手術実施で入院死亡率、1年死亡率ともに大幅低下

心不全による感染性心内膜炎は、初回入院時に弁手術を実施することで、入院死亡率、1年死亡率ともに、およそ半減することが示された。米国デューク大学メディカルセンターのTodd Kiefer氏らが、4,000人超について行った前向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月23・30日号で発表した。

24時間ナトリウム排泄量、少な過ぎる場合も心血管イベントリスク上昇

24時間尿中ナトリウム排泄量は、少なすぎる場合も、多い場合と同様に、心血管死や心血管イベント発生リスクが上昇することが明らかになった。また、24時間尿中カリウム排泄量については、その量が多くなるほど、脳卒中リスクが低下することが示された。カナダ・McMaster大学ハミルトン総合病院公衆衛生部門のMartin J. O’Donnell氏らが、3万人弱について行った観察研究の結果から報告したもので、JAMA誌2011年11月23・30日号で発表した。

腹壁破裂児の1年アウトカム予測のベンチマーク

出生時に腹壁破裂を伴った新生児について、患児を単純群(腸が無傷、無損傷、連続している)と複雑群(腸に穿孔・壊死または閉塞が起きている)に階層化することで、1年アウトカムを確実に予測できることが明らかにされた。Bradnock氏英国・グラスゴー王立小児病院のTimothy J Bradnock氏らが、英国およびアイルランドで行った全国住民ベースのコホート研究からの報告による。Bradnock氏は、同方法が、各治療施設のアウトカムやパフォーマンスを評価するベンチマークになり得、次なるステップとして、同法を用いて、懸念されている腹壁破裂児の初期治療戦略や治療アルゴリズム開発のための無作為化試験を行うことも提言した。BMJ誌2011年11月19日号(オンライン版2011年11月15日号)掲載報告より。