医療監視下違法薬物注射施設は薬物使用者の多い地域に:バンクーバー市の調査

注射薬物使用者(injecting drug user:IDU)が、事前に入手した非合法薬物を持参して医療従事者の監視下に注射する施設(supervised injecting facilities:SIF)の開設が世界的に進んでいるが、このような施設は薬物使用者が多く居住する地域に設置するほうが高い死亡抑制効果が期待できることが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のBrandon D L Marshall氏らがバンクーバー市で行った調査で示された。IDUの主な死因は偶発的な薬物過量摂取であり、北米における若年死の主な原因ともなっている。1990年代に過量摂取による高い死亡率が確認されたバンクーバー市は、2003年、北米で初のSIFを開設。薬物使用の助長を懸念する声もある中、SIFは現在、世界に65施設以上が存在し、薬物使用の害を抑制する種々の戦略の一翼を担っているという。Lancet誌2011年4月23日号(オンライン版2011年4月18日号)掲載の報告。