ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:139

MGUS、M蛋白の違いで多発性骨髄腫などへの進行リスクに差/NEJM

 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)において、IgM型MGUS患者と非IgM型MGUS患者では、進行リスクに大きな違いがあることが確認された。また、MGUS患者の全生存期間(OS)は、対照集団の予測OSより短いことも示された。米国・メイヨー・クリニックのRobert A. Kyle氏らが、中央値で約34年という長期にわたる追跡調査の結果を報告した。MGUSは50歳以上の約3%に生じ、患者の7~19%で5~10年後にがん化することが示唆されている。これまでの研究は症例数が少なく追跡期間も短期で、OSに関する情報は限定的であった。NEJM誌2018年1月18日号掲載の報告。

病的肥満に対する袖状胃切除術 vs.ルーワイ胃バイパス術/JAMA

 病的肥満患者を対象とした、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術と腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術の比較検討で、術後5年時点での超過BMI減少率に有意差は確認されなかったことが示された。スイス・St ClaraspitalのRalph Peterli氏らが、減量、併存疾患の変化、QOLの改善、有害事象という点で、両手術の間で違いがあるかを検証した無作為化比較試験「SM-BOSS試験」の結果を報告した。病的肥満の治療において、スリーブ状胃切除術の使用が増加しているが、標準治療であるルーワイ胃バイパス術と比較した場合の、スリーブ状胃切除術の長期成績は不明であった。JAMA誌2018年1月16日号掲載の報告。

病的肥満にスリーブ状胃切除術vs.ルーワイ胃バイパス術/JAMA

 病的肥満患者に対し、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術に比べ、5年後の超過体重減少率において、その効果は同等ではないことが明らかにされた。また、ルーワイ胃バイパス術のほうがスリーブ状胃切除術と比べて5年後の超過体重減少率はより大きかったが、その差は事前規定の同等性マージンに照らして統計的に有意ではなかった。フィンランド・トゥルク大学のPaulina Salminen氏らが、240例を対象に行った多施設共同非盲検無作為化試験「SLEEVEPASS試験」の結果で、JAMA誌2018年1月16日号で発表された。同研究グループによれば、腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術と比較した長期的エビデンスがないにもかかわらず、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の施術件数は急増しているという。

卵巣がんアジュバント、腹腔内温熱化療で生存延長/NEJM

 StageIII上皮性卵巣がんの患者において、術前補助化学療法後の中間期腫瘍減量手術に、シスプラチンによる腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで、無再発生存期間、全生存期間ともに延長することが示された。副作用の発現率も有意に高率とはならなかった。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのWillemien J.van Driel氏らが、245例を対象に行った第III相多施設共同非盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年1月18日号で発表した。新規診断の進行卵巣がんでは、通常、腫瘍減量手術と全身化学療法が行われる。

ウイルス抑制HIVの維持療法、ドルテグラビル+リルピビリンが有望/Lancet

 ウイルスが抑制されているHIV-1感染患者の維持療法において、ドルテグラビル+リルピビリン療法は、現在の抗レトロウイルス療法(ART)レジメン(current ART regimen:CAR)に対し非劣性であることが、スペイン・Germans Trias大学病院のJosep M. Llibre氏らが行ったSWORD-1とSWORD-2試験のプール解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年1月5日号に掲載された。HIV-1感染の1次および2次治療では、3剤によるARTが標準とされるが、投与は生涯にわたることから、累積的な薬剤の曝露や毒性を最小化するために、2剤併用レジメンへの関心が高まっている。ドルテグラビル(インテグラーゼ鎖転移阻害薬)とリルピビリン(非核酸系逆転写酵素阻害薬)の安全性、忍容性、有効性は、この2剤に併用レジメンとしての適合性があり、実質的に有効である可能性を示唆していた。

経済的インセンティブで、医療の質は改善しない/BMJ

 OECD加盟国では医療の質改善に経済的インセンティブを用いており、低・中所得国でその傾向が増大している。ただ、先頭を走っているのは米国と英国であり、他国は両国の施策をモニタリングし導入を決定している状況にある。米国ではここ10年で、病院医療の質改善にインセンティブを与えることは一般的になっているが、先行研究で「P4P(Pay for Performance)プログラムは、臨床的プロセスへの影響は限定的で、患者アウトカム改善や医療費削減に影響を及ぼさない」ことが示されている。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のIgna Bonfrer氏らは、これまで行われていなかった、米国における時期の異なる2つのプログラム(HQID[2003~09年]、HVBP[2011年~])参加病院の、インセンティブの影響について比較する検討を行った。その結果、HQIDから参加し10年以上インセンティブを受けている病院が、HVBPからの参加病院と比べて、医療の質が優れているというエビデンスは認められなかったという。BMJ誌2018年1月3日号掲載の報告。

術中の麻酔医交代で、術後の有害転帰が増大/JAMA

 大手術を受ける成人患者では、術中に麻酔科医の引き継ぎが行われた場合、引き継ぎがない場合に比べ、術後の有害な転帰のリスクが増加することが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のPhilip M. Jones氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年1月9日号に掲載された。個人的または職業的な義務、体調不良や疲労により、術中に麻酔科医が別の麻酔科医に交代することがある(一時的引き継ぎ[引き継いで、後で戻る場合]と完全な引き継ぎがある)。多忙な環境で安全な麻酔診療の全情報を医師間で伝達する必要があるため、引き継ぎ中は患者にとって危険な時間となる可能性があるという。

健康的な食事の順守、肥満遺伝リスクの高い人ほど有効/BMJ

 健康的な食事パターンの順守は、体重増加との遺伝的関連性を弱める可能性が示された。米国・テュレーン大学のTiange Wang氏らによる、遺伝的素因と食事の相互作用解析の結果で、その有益な影響は、とくに肥満の遺伝的リスクの高い人々で明確にみられたことも示された。多くの先行試験で、健康的な食事パターンの順守が体重減と関連することは明らかになっていたが、そうした食事の質のスコアと肥満の遺伝的素因(BMIや体重の長期的な変化に関連するもの)との関連性については、これまで検討されていなかったという。BMJ誌2018年1月10日号掲載の報告。

米国で乳がん死減少、寄与した因子は?/JAMA

 米国女性の乳がん死亡率は2000年から2012年にかけて減少しており、乳がんの分子サブタイプで異なるものの、その減少にはマンモグラフィ検診および術後補助療法の進歩が寄与していることが示された。米国・スタンフォード大学のSylvia K. Plevritis氏らが、シミュレーションモデル研究により明らかにした。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。

軽~中等度アルツハイマー病に新薬idalopirdineは有効か/JAMA

 選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬idalopirdineは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能を改善しないことが、米国・California Pacific Medical CenterのAlireza Atri氏らが、idalopirdineの24週間投与の有効性を検証した3件の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(STARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT)の結果を報告した。アルツハイマー病は、高齢者での有病率が上昇し、治療費も増加していることから、新たな治療法が必要とされているが、今回の結果を受けて著者は、「アルツハイマー病の治療にidalopirdineを用いることは支持されない」とまとめている。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。

1型DMリスク乳児に加水分解粉ミルクの影響は?/JAMA

 遺伝的に1型糖尿病のリスクがある乳児に対し、離乳後にカゼイン完全加水分解粉ミルクを与えても、通常の粉ミルクを与えた場合と比べて1型糖尿病発症リスクは変わらないことが示された。フィンランド・ヘルシンキ大学のMikael Knip氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「TRIGR」の結果で、JAMA誌2018年1月2日号で発表された。これまでの研究で、複合的な食品含有タンパク質の早期曝露が、1型糖尿病のリスクを高める可能性が示されていたが、今回の結果を踏まえて著者は、「1型糖尿病リスクのある乳児に対する食事の推奨を、修正する必要性を支持する所見は示されなかった」とまとめている。

高リスク重度ASへのTAVR、MEV vs.SEV/JAMA

 症候性の重度大動脈弁狭窄症の高リスク患者への経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)において、機械的拡張型カテーテル心臓弁(MEV)は自己拡張型経カテーテル心臓弁(SEV)に対し、安全性や有効性について非劣性であることが示された。有効性や中等度以上の弁周囲漏出率については、MEVのSEVに対する優越性も示された。米国・エバンストン病院(ノースショア大学ヘルスケアシステム)のTed E.Feldman氏らが、北米や欧州など55ヵ所の医療機関と共同で行った無作為化比較試験「REPRISEIII」で明らかにしたもので、JAMA誌2018年1月2日号で発表した。

骨折治療用インプラント除去後感染に術前抗菌薬は有用か/JAMA

 膝下の骨折の治療に用いた整形外科用インプラント除去後の手術部位感染の予防において、手術前に抗菌薬投与を行っても感染リスクは低減しないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのManouk Backes氏らが実施したWound Infections Following Implant Removal(WIFI)試験で示された。整形外科用インプラント除去術の手技は“clean(皮膚の菌汚染や局所感染がない)”とされ、手術部位感染率は2~3.3%と予測されるため、米国疾病管理予防センター(CDC)の最新のガイドラインでは抗菌薬の予防投与の適応はない。その一方で、予測を超える高い感染率が複数の研究で報告されている。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。

ビッグデータの分析による正常体温の個体差/BMJ

 正常体温は、加齢とともに低下し、正常体温が高いことはがんやBMIの増加と関連する可能性があることが、米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のZiad Obermeyer氏らによる、長期的なビッグデータを用いた検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。19世紀に開始されたヒトの深部体温の研究には長い伝統があるが、主に特定の集団の平均体温の確立に重点が置かれてきた。一方、体温は、患者によって大きく異なる多彩な因子(年齢と体内時計、代謝、排卵周期など)の影響を受けることが知られ、個々の患者のベースラインの正常体温には系統的な差異がある可能性が高まっているという。

心臓デバイス装着例へのMRI検査の安全性/NEJM

 米国では、心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)を使用中の患者は、デバイスが米国食品医薬品局(FDA)の規定する基準を満たさない限り、安全上の懸念からMRI検査を受けられないことが多く、FDA基準を満たすデバイスは「MRI-conditional(条件付きでMRI可能)」と呼ばれる。米国・ペンシルベニア大学のSaman Nazarian氏らは、このような条件を満たさず、FDAによりMRI禁忌とされる従来の心臓デバイス(レガシー・デバイス)の装着例で、MRI検査を受けた患者を前向きに調査し、臨床的に問題となる有害事象は発現していないと明らかにした。NEJM誌2017年12月28日号掲載の報告。

ペットは老化の進行を抑制する?/BMJ

 動物との交遊は、老化の修正可能な特性である可能性があるが、高齢者がペットを飼うことと老化のバイオマーカーとの関連はほとんど知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG. David Batty氏らは、約8,800例の高齢者を調査し、ペットの飼育は老化のバイオマーカーに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。英国では高齢者の半数がペットを飼っており、オーストラリアの調査では高齢者の12%が「動物は交遊の主要形態」と答えているという。

高齢者のCaやビタミンD補給、骨折を予防せず/JAMA

 自宅で生活する高齢者について、カルシウム、ビタミンD、またはその両方を含むサプリメントの使用は、プラセボや無治療と比較して骨折リスクの低下と関連しないことが、中国・天津病院のJia-Guo Zhao氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果で明らかにされた。骨粗鬆症関連の骨折による社会的および経済的負荷が世界的に増加しており、骨折を予防することは公衆衛生上の大きな目標であるが、カルシウム、ビタミンDまたはそれらの併用と、高齢者における骨折の発生との関連性については、これまで一貫した結果が得られていなかった。著者は、「施設外で暮らす一般地域住民である高齢者に対し、こうしたサプリメントの定期的な使用は支持されない」と結論付けている。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。

高齢者の大気汚染物質への曝露、基準値以下・短期でも死亡リスク増/JAMA

 微小粒子状物質(PM2.5)や暖候期オゾンへの曝露について、現行の米国環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standards:NAAQS)よりも低濃度かつ短期間であっても、死亡リスクの上昇と有意に関連していることが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のQian Di氏らが、メディケア受給者を対象としたケース・クロスオーバー研究の結果を報告した。米国環境保護局は5年ごとにNAAQSを再検証しているが、非監視地域や感受性が高い集団における、現在のNAAQS基準を下回るレベルの大気汚染での死亡リスクに関するエビデンスは不足していた。結果を踏まえて著者は、「現行のNAAQS基準を見直す必要があるだろう」と提言している。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。

黄色ブドウ球菌菌血症へのリファンピシン併用、効果は?/Lancet

 黄色ブドウ球菌菌血症の成人患者において、標準抗菌薬治療にリファンピシンの補助的投与を行っても、全体的なベネフィットは変わらないことが確認された。英国・オックスフォード大学のGuy E Thwaites氏ら英国臨床感染症研究グループ(UKCIRG)による多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ARREST試験」の結果として、Lancet誌オンライン版2017年12月14日号で発表された。黄色ブドウ球菌は、世界中で重症市中感染症や院内感染の原因としてよくみられる。研究グループは、リファンピシンの補助的投与は、黄色ブドウ球菌の死滅を早め、原病巣や感染血液を速やかに除菌し伝播や転移のリスクを減じることで、細菌学的定義の治療失敗や菌血症の再燃、死亡を減らせるのではないかと仮説を立て、検証試験を行った。

スクリーニング実施で高齢女性の骨折リスクが低減/Lancet

 高齢女性の骨折リスクを評価する地域ベースのスクリーニングプログラムは、骨折全般の発症は抑制しないものの、大腿骨近位部骨折のリスク低減には有効であることが、英国・イースト・アングリア大学のLee Shepstone氏らが実施したSCOOP試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年12月15日号に掲載された。骨粗鬆症およびその関連骨折については、有効な評価法や薬物療法があるが、英国では現在、骨折リスクのスクリーニングは提唱されていない。