ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:133

術直後ゲムシタビン膀胱内注入、膀胱がん再発リスク低減/JAMA

 低悪性度の筋層非浸潤性尿路上皮がん患者は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後の再発の頻度が高いという。米国・ロチェスター大学のEdward M. Messing氏らは、本症が疑われる患者では、術直後の単回ゲムシタビン膀胱内注入療法により、4年後の再発リスクが低減することを、多施設共同試験「SWOG S0337試験」で示した。ゲムシタビンを含むレジメンは、筋層浸潤性および高度に進行性の尿路上皮がんの全身療法に使用されており、予備的エビデンスではゲムシタビン膀胱内投与は安全であり、筋層非浸潤性尿路上皮がんでは他の薬剤と同等以上の有効性が示唆されている。JAMA誌2018年5月8日号掲載の報告。

心房細動、サイナスになっても 脳梗塞リスク 高いまま/BMJ

 正常洞調律を取り戻し回復した状態(resolved)であると診断された心房細動(AF)患者について、非AF患者と比べると、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)のリスクは有意に高いままであることが、英国・バーミンガム大学のNicola J. Adderley氏らによる、同国の一般診療所(GP)で集められたデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。リスクの増大は、再発の記録がなかった患者でも認められたという。AFは明らかな回復後も再発の可能性があるが、そのような患者で脳卒中/TIAリスクの増大が認められるのかは明らかになっておらず、ガイドラインでも、同患者に関する治療は明示されていない。BMJ誌2018年5月9日号掲載の報告。

握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。

執刀医別の術後死亡率公表は臨床成績に影響するか?/BMJ

 待機的大腸がん手術について、外科医ごとの術後90日死亡率の公表制度を導入しても、リスクを回避するような臨床行動やデータの不正操作(gaming)に結びつくというエビデンスは認められなかった。一方で、導入後に90日死亡率の有意な低下がみられたという。英国・イングランド王立外科医師会のAbigail E. Vallance氏らによる、住民ベースのコホート研究の結果で、BMJ誌2018年5月2日号で発表された。病院レベルのアウトカムデータの公表は、質の改善を推進することが示唆されている。個々の外科医のアウトカム公表の導入については意見が分かれている状況で、心臓手術についてのみ、米国の大半において検討されている。

水分摂取増やしても、CKDの進行抑制できず/JAMA

 成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、飲水量の増加を指導しても、通常の飲水量を維持するよう指導した場合と比較し、1年後の腎機能低下に有意な影響は認められなかった。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のWilliam F. Clark氏らが行った無作為化試験「CKD WIT(Chronic Kidney Disease Water Intake Trial)」の結果、明らかになった。これまで、観察研究では飲水量の増加が良好な腎機能と関連することが示唆されていたが、飲水量の増加がCKD患者にとって有益かどうかについては不明であった。JAMA誌2018年5月8日号掲載の報告。

心房細動の発症、リスク1つでも明らかに上昇/BMJ

 心房細動の生涯リスクは、指標年齢(55歳、65歳および75歳)にかかわらず、リスク因子を有していない場合で約5分の1、1つ以上のリスク因子があると約3分の1強に上昇することが、米国・ボストン大学のLaila Staerk氏らによるフラミンガム心臓研究を基にした解析の結果、明らかにされた。これまで、心房細動の生涯リスクは40歳以上で約4分の1と推定されてきた。心房細動の短期的なリスク因子は確立されているが、リスク因子の負荷が心房細動の生涯リスクにどれほど影響するかは不明であった。結果を踏まえて著者は、「心房細動の疾病負担を減らす予防的な取り組みは、修正可能な境界域および明らかなリスク因子を目標とし、複数の併存疾患を考慮すべきであろう」と述べている。BMJ誌2018年4月26日号掲載の報告。

CABGのグラフト、橈骨動脈が伏在静脈に優る/NEJM

 5年間のフォローアップにおいて、橈骨動脈グラフトを用いた冠動脈バイパス術(CABG)は伏在静脈グラフトを用いたCABGに比べ、主要有害心血管イベントのリスクが有意に低く、周術期のグラフト開存性が有意に良好であることが示された。米国・コーネル大学医学部循環器手術部門のMario Gaudino氏らが、6つの無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析で明らかにした。これまで、橈骨動脈グラフト使用のCABGが伏在静脈グラフト使用のCABGに比べ、術後アウトカムが良好である可能性を示唆する試験結果はあったが、個々の試験では臨床アウトカムの差を示すには統計学的に検出力が不足していたという。NEJM誌オンライン版2018年4月30日号掲載の報告。

BACE-1阻害薬、アルツハイマー病への効果認められず/NEJM

 軽度~中等度のアルツハイマー病に対し、経口アミロイドβ前駆体タンパク質切断酵素1(BACE-1)阻害薬verubecestatは、認知機能や日常生活動作の低下について抑制効果は認められないことが示された。米国・メルク社Research LaboratoriesのMichael F. Egan氏らがプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を、NEJM誌2018年5月3日号で発表した。BACE-1阻害薬は、アルツハイマー病患者に特徴的な脳脊髄液中アミロイドβ量を減少することが認められ、同疾患に対する臨床的効果が期待されていた。

ICD10に基づくフレイル評価、予後不良を予測/Lancet

 高齢の入院患者フレイルをスクリーニングし、予後不良のリスクが高い患者群を同定できる評価スコア「Hospital Frailty Risk Score:HFRS」が、フランス・Lyon Teaching HospitalのThomas Gilbert氏らによって開発された。HFRSは、病院の管理システムに国際疾病分類第10版(ICD-10)コーディングが用いられていれば利用可能で、システムに組み込めば自動的に判定できるようになるという。著者は、「低コストかつICD-10に基づく体系的な方法であり、予後不良のフレイルに対する適切なケアの提供に有用である」とまとめている。Lancet誌2018年5月5日号掲載の報告。

抗血小板薬2剤併用、CABG後グラフト開存率を改善/JAMA

 チカグレロル+アスピリンによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、アスピリン単剤に比べ、冠動脈バイパス術(CABG)後1年時の伏在静脈グラフトの開存率を改善することが、中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のQiang Zhao氏らが行った多施設共同試験(DACAB試験)で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年4月24日号に掲載された。CABG後の伏在静脈グラフトの開存に及ぼす、アスピリン+P2Y12受容体拮抗薬によるDAPTの効果については、いくつかの小規模な短期的臨床試験で相反する結果が報告されているという。

下腿潰瘍、表在静脈逆流への早期焼灼術で迅速な治癒/NEJM

 静脈疾患は、下腿の潰瘍形成の最も一般的な原因である。英国・ケンブリッジ大学病院のManjit S. Gohel氏らは、表在静脈逆流への早期の静脈内焼灼術は待機的な静脈内焼灼術に比べ、静脈性下腿潰瘍の治癒を迅速化し、潰瘍のない期間を延長することを示した(EVRA試験)。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年4月24日号に掲載された。圧迫療法は、静脈性潰瘍の治癒を改善するものの、静脈高血圧の根本原因を治療するものではない。表在静脈逆流の治療は潰瘍の再発率を低下させるが、表在静脈逆流への早期静脈内焼灼術が、潰瘍の治癒に及ぼす効果は明らかにされていない。

手術関連死、最も少ないのは50代女性外科医/BMJ

 手術の技能は、外科医が職歴を重ね、技術や経験を蓄積することで向上するが、手先の器用さの衰えや知識の旧態化により低下する可能性が指摘されている。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の津川 友介氏らは、メディケア受給者のデータを解析し、年長の外科医による治療を受けた患者は、若年外科医の治療を受けた患者に比べ死亡率が低く、外科医の性別で手術関連死に差はないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2018年4月25日号に掲載された。年長の外科医と若い外科医の技能の優劣については相反するエビデンスがあり、最近のカナダの1州で実施された研究では、女性外科医は男性外科医に比べ手術関連死が少ないことが示唆されているという。

単純性尿路感染症、nitrofurantoin vs.ホスホマイシン/JAMA

 単純性下部尿路感染症(UTI)の女性患者において、nitrofurantoin5日間投与はホスホマイシン単回投与と比較して、治療終了後28日時の臨床的および微生物学的改善が有意に大きいことが示された。スイス・ジュネーブ大学医学部のAngela Huttner氏らが、多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。nitrofurantoinとホスホマイシンは、米国およびヨーロッパの臨床微生物感染症学会による2010年のガイドライン改訂で、下部UTIの第一選択薬として推奨されるようになってから、その使用が増加してきたが、これまで両者を比較した無作為化試験はほとんどなかった。JAMA誌2018年4月22日号掲載の報告。

抗コリン薬、認知症発症と強く関連/BMJ

 英国・イースト・アングリア大学のKathryn Richardson氏らによる症例対照研究の結果、うつ病、泌尿器系およびパーキンソン病の治療に用いられる抗コリン薬の使用が、将来的な認知症発症と強く関連していることが明らかとなった。この関連は、認知症と診断される15~20年前の曝露でさえ観察されたという。ただし、消化器および心血管系の抗コリン薬では認知症との明らかな関連は認められなかった。これまで、抗コリン作用のある薬剤の使用が、短期的な認知障害と関連があることは知られていた。しかし、報告されている抗コリン薬の使用と将来的な認知機能低下や認知症発症との関連が、抗コリン作用に起因するかどうかは不明であった。BMJ誌2018年4月25日号掲載の報告。

PAD患者の歩行指導、ウエアラブル活動モニターは有用?/JAMA

 末梢動脈疾患(PAD)の患者に対する、ウエアラブル活動モニターと電話でのコーチングによる歩行指導において、そうした装置の使用や指導を行わない通常のケアと比較し、9ヵ月後の歩行機能の改善効果は認められなかった。また、患者報告による痛みに関するスコアについて、歩行指導の介入群で悪化が認められた。米国・ノースウエスタン大学フェインバーグ医学院のMary M. McDermott氏らが、PAD患者200例を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年4月24日号で発表した。

術前血栓溶解、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/NEJM

 虚血性脳卒中の患者に対し、発症後4.5時間以内の血栓除去術前のtenecteplase投与は、アルテプラーゼ投与より再灌流率が高くアウトカムが良好であることが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のB.C.V. Campbell氏らが、202例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年4月26日号で発表した。虚血性脳卒中に対する血管内血栓除去術前の血栓溶解にはアルテプラーゼの静脈内投与が行われている。tenecteplaseは、アルテプラーゼと比べてフィブリン特異性が高く、作用時間が長く、ボーラス投与ができ、血管再灌流率が上昇する可能性が示唆されていた。

2040年のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成には?/Lancet

 米国・ワシントン大学のJoseph L. Dieleman氏らGlobal Burden of Disease Health Financing Collaborator Networkは、保健医療費、および保健医療費とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage:UHC)との関連について、将来のシナリオを作成し、すべての国が持続可能な保険財源を持つことが、UHCの達成に重要であることを報告した。UHCの達成には、家計への過度の金銭的負担を強いることなく主要な医療サービスを提供する、保険医療システムが必要とされている。しかし、どのような財源が将来的なUHC達成を可能とするのか、あるいは制限するかについては、明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2018年4月17日号掲載の報告。

高リスク悪性黒色腫の術後補助療法でのペムブロリズマブ:第III相試験/NEJM

 再発リスクが高いStageIIIの悪性黒色腫に対する術後補助療法において、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと、最長1年間)はプラセボと比較して無再発生存期間(RFS)を有意に延長し、新たな毒性はないことが認められた。フランス・サクレー大学のAlexander M. M. Eggermont氏らが、術後補助療法としてペムブロリズマブの有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検第III相試験「EORTC 1325/KEYNOTE-054試験」の結果を報告した。ペムブロリズマブは、進行悪性黒色腫患者の無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を延長することが、これまでの研究で確認されていた。NEJM誌オンライン版2018年4月15日号掲載の報告。

早期NSCLC、ニボルマブによる術前免疫療法が有望/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の治療法には、過去10年間、ほとんど進展がないという。米国ジョンズ・ホプキンス大学のPatrick M. Forde氏らは、ニボルマブによる術前補助療法は副作用が少なく、計画された手術を遅延させず、切除腫瘍の45%に病理学的奏効をもたらしたとの研究結果を、NEJM誌オンライン版2018年4月16日号で報告した。早期肺がん患者では、PD-1経路の遮断により、宿主免疫の適合能が増大し、腫瘍のクローン不均一性が減弱するため、抗腫瘍効果が増強する可能性がある。また、原発巣は、腫瘍特異的T細胞の増殖と活性化、および微小環境の全身的な監視の抗原源として活用される可能性があるため、術前免疫療法は興味深いアプローチとされる。

死亡リスクが低い飲酒量、ロング缶で週5本まで?/Lancet

 アルコール摂取の低リスク推奨量は、各国のガイドラインで大きな差があるという。英国・ケンブリッジ大学のAngela M. Wood氏らは、約60万人のアルコール摂取状況を解析し、死亡リスクが最も低い閾値は約100g*/週であることを示した。研究の成果は、Lancet誌2018年4月14日号に掲載された。国ごとで低リスク推奨量にばらつきがあるのは、最も死亡リスクが低い飲酒量の閾値の曖昧さや、心血管疾患のサブタイプに関連する、アルコール摂取に特異的な帰結の不確実性を反映している可能性があるためとされる。