手首膨隆骨折での疼痛・機能差、包帯vs.硬性固定/Lancet
橈骨遠位端骨折の小児において、包帯固定vs.スプリントやギプスによる硬性固定の3日後の疼痛は同等であり、6週間の追跡期間中、疼痛や機能に差はないことが、英国・Kadoorie Research CentreのDaniel C. Perry氏らが英国の23施設で実施した無作為化比較同等性試験「Forearm Fracture Recovery in Children Evaluation trial:FORCE試験」の結果、示された。手首の膨隆(隆起)骨折は小児に最も多い骨折であるが、治療は副子固定、ギプス固定、経過観察などさまざまで、議論が分かれている。著者は、「今回の結果は、橈骨遠位端の膨隆骨折の小児に対しては、包帯を巻いて帰宅させるという戦略を支持するものである」とまとめている。Lancet誌2022年7月2日号掲載の報告。
研究グループは、橈骨遠位端膨隆骨折の小児965例(4~15歳)を、特注のウェブベースの無作為化ソフトウエアを用いて、包帯群または硬性固定群に1対1の割合で無作為に割り付け、6週間追跡した。除外基準は、受傷後36時間以降での診断、患側手首以外にも骨折がある場合などとした。治療を行った医師、患者およびその家族は割り付けに関して盲検化できなかった。治療に当たった臨床チームは追跡評価に参加しなかった。
包帯群にはガーゼロール包帯などの簡単な包帯を提供し、包帯の使用・中止の決定は家族の自由裁量とした。硬性固定群では、手首用スプリントまたは治療医師が成形したギプスなどが救急外来で装着された。